心理学とコーチング ~河合隼雄と村上春樹 その2~
<村上>ぼくは実は今、ノンフィクションの本を書こうと思って、そのリサーチのようなことをしているところなんです。ちょっと小説のほうは一服して、この1年はそれに集中してやってみたいという気持ちでいます。テーマを定めて徹底的に...
<村上>ぼくは実は今、ノンフィクションの本を書こうと思って、そのリサーチのようなことをしているところなんです。ちょっと小説のほうは一服して、この1年はそれに集中してやってみたいという気持ちでいます。テーマを定めて徹底的に...
ロジャーズについてのコラムを8回続けたところで、今回は河合隼雄氏と村上春樹氏のコミュニケーションを取り上げたいと思います。コーチングの基盤となったロジャーズについては、理論を中心に専門的な内容がしばらく続きました。この後...
世界の文化は、そのあらゆる局面でますます科学的に、ますます相対的になっていくように思われ、過去から受けつがれる堅固で絶対的な価値観は、時代錯誤であるように見える。おそらくさらに重要なことは、現代人が、あらゆる角度から互い...
前回のコラムは、ロジャーズが1957年に発表した「セラピーによるパーソナリティ変化の必要にして十分な条件」を中心に解説しました。これは『ロジャーズ選集(上)』の第4部からの引用です。今回のコラムは、この冒頭で選者がコメン...
1956年にロジャーズは、米国で最も伝統があり最大の心理学の学会である、アメリカ心理学会(APA)の「Distinguished Scientific Contribution Award」を受賞します。この賞の日本語訳...
前回コラムの最後で、「…ロジャーズの考え方は時の流れと共に変遷していったことを指摘しました。その変遷は、ロジャーズの活動の足跡を踏まえ、いくつかの段階で説明されています。今回のコラムでは、その「段階の概説」を取り上げる予...
『ロジャーズ選集(上)』6章のタイトルは、「指示的アプローチ 対 非指示的アプローチ」です。内容は、ポーターによる『カウンセリング面接の手続きに関する測定尺度の展開とその評価(1941年)』という未公開論文のなかの資料を...
前回のコラムは、『ロジャーズ選集(上)』のなかの、「第1部 私を語る」を取り上げました。この第1部は、ロジャーズが59歳(1961年)、70歳(1972年)、78歳(1980年)、そして最晩年の85歳(1987年)のとき...
前回のコラムの最後に取り上げたロジャーズの言葉は、『ロジャーズ選集 カウンセラーなら一度は読んでおきたい厳選33論文(H.カーシェンバウム, V.L.ヘンダーソン編/誠信書房(2002年2月15日第3刷)』のなかの一節で...
今日コーチングが広がりを見せている、その背景に心理学が存在していることを、「心理学とコーチング」という大きなタイトルを冠にシリーズ化してきました。そのコラムの回数も34を数えます。その心理学の中でも、特にコーチングとの親...
今回のコラムは、奥の深いテーマを取り上げたいと思います。「女性と男性」です。まずは、アドラーの発言の紹介から始めましょう。『人間の本性 人間とはいったい何か(長谷川早苗訳)/興陽館(2020年2月15日)』の中からの引用...
これまでのコラムで、アドラーの無意識の捉え方が、フロイト、そしてユングと異なっていることを何度かコメントしています。アドラーは、意識と無意識をあえて分割しないで、全体的であるとし、「人は自然に形成される目的に向かって動い...
「遊ばないで、ちゃんと勉強しなさい!」この言葉を子どもに対して発したことのない親は、果たしているでしょうか? 今回のコラムは「子どもの遊び」について考えてみたいと思います。 アドラーによる1年間の連続講演(1926年)を...
前回のコラムではコーチングというより、カウンセリングに軸足を置いて記述しています。アドラー心理学においてもそのスタートは、臨床心理学(精神病理への対応)としてのカウンセリングです。ただしアドラー心理学は、そこにとどまって...
前回のコラムで「アドラー心理学のどのようなところが批判されているのか」、について取り上げました。その一つに「アドラー心理学は、健常者にだけ機能する」がありますが、裏を返せば「健常者以外、つまり病(やまい)の状態にある人に...
心理学とコーチングでアドラーを取り上げて以降8回目を数えることになりました。石川啄木の「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」ではありませんが、「アドラーの言葉」「アドラーの理論の概括」…と、大きなカテゴリー...
アドラーは大人向けのカウンセリングだけでなく、児童教育に強い関心を持ち、後継者たちもアドラーの考え方を引き継ぎ、発展させていきました。 今日、アドラー心理学では、児童教育の方法について、「勇気づけ」「子どもが行う不適切な...
アドラーについては、「アドラー心理学の理論」に基づいて、オーソドックスな解説を心がけてきました。今回のコラムは「インターミッション」という意味合いを持たせたいと思います。そこで恐縮ですが、以前私が執筆した『格闘するコーチ...
「劣等性」は客観的なものである…この捉え方は、すごい発見だと感じています。ただ、そもそもは心理学用語であるinferiorityを訳した際に「劣等」を用いたので、日本語の響きとしては、「劣等性」と言われても、どうしてもネ...
アドラー心理学は常に新鮮な気づきを与えてくれます。 私も折に触れ、アドラー、およびアドラーの後継者が書いた著作を引っ張り出して、自分を省みるのですが、そのたびに新鮮な気づきを得ることができます。面白いもので、昔読んだ本を...
前回は、ライフスタイルはどのようにして形成されるのか? ライフスタイル形成に影響を与える要因とは何なのか? というテーマについてアドラーの考え方を解説しています。では、それが理解できた次のステップはどのように展開していく...
アドラーが臨床医として、カウンセリングに臨む際に最も重視したのは、「クライアントのライフスタイルを見極めること」でした。今回のコラムでは、臨床医の側面として、アドラー最高の功績とされている「ライフスタイル」を取り上げます...
前回のコラムはアドラーの言葉を紹介しました。今回はアドラー心理学の理論を解説してまいります。構成は、最初に「どうしてアドラーはフロイトと袂を分かったのか」に触れます。その後で、アドラーの特徴的な理論についていくつかひも解...
心理学における3巨人のうち、フロイト、ユングについてコラムを進めてきました。今回からはアドラーを紹介してまいります。今日のコーチングが成立する過程において、アドラーの思想、そして提唱した理論の影響は大きなものがあります。...
今回のコラムは、前回に引き続き、ユングの無意識の世界を探訪してみましょう。ユングは無意識を、個人的無意識と普遍的無意識の2層に分けてとらえていることを前回のコラムで紹介しました。河合隼雄氏は、『ユング心理学入門(岩波現代...
今回のコラムは、ユングの「無意識」を深堀りしてみようと思います。無意識をフロイトは構造論で示し、図式化したことは以前のコラムで紹介しました。その図式とは、卵型の楕円を描き、中央を横切る破線で上下に区分し、下方を「エス(無...
今回は「発達心理学」にスポットを当てようと思います。(前回のコラムでは「家族心理学」をとりあげました。)人の問題行動を考える場合に、その生育過程における経験や周囲との関わり方が何らかの鍵を握っている、と指摘されています。...
私は心理学の知見をベースにして、そこからインスパイアしたノンフィクションや小説を読むのが好きなのですが、実に多くの作家が明瞭に、あるいは通奏低音のごとく抑えた響きで、ストーリーを展開しているのを感じることができます。村上...
心理学を学ぶにあたって、必ず登場するのが、フロイト、ユング、そしてアドラーです。3人とも医学者であり、心理学の源流は「精神医学」と言われています。もっともアドラーは眼科を専門として医学課程を修了しています。そして内科の医...
政治の世界では、数が影響力の源泉であることが自明のように語られます。確かに政党、派閥の変遷を見てみると常に集団の規模を大きくしようとする力学が見られます。さて今回のコラムは「数が論理」という中にあって、少数派(あるいは個...