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「コーチング×英ブッカー賞(小川洋子、川上未映子)・ダガー賞(伊坂幸太郎)+大江健三郎」…世界が希求する「日本のソフトパワー」を思考します!

20日(現地時間)に発表される国際ブッカー賞の最終候補には川上弘美さんの「大きな鳥にさらわれないよう」の英語版「Under the Eye of the Big Bird」(アサ・ヨネダさん訳)が入っている。同賞は英国の文学賞で最も権威のあるブッカー賞の翻訳部門として2005年に創設。過去には昨年のノーベル文学賞を受けた韓国のハン・ガンさんらが受賞している。日本の作家では受賞こそ逃したが、20年に小川洋子さん、22年に川上未映子さんが最終候補に。川上弘美さんを含め、芥川賞選考委員を務める実力派ばかりだ。
(朝日新聞5月18日(日)23面「日本文学、英で人気 ヒットも賞も」より)

今回のコラムも「日本のソフトパワー」について思考してみました

前回のコラムは「日本のソフトパワーを世界に広めたい」という「大きなテーマ」に挑戦しています。その最後を再掲させていただきます。

世界のために、日本がほんとうに頑張るタイミングなのでは…と強く感じます。日本は、世界が受容できるすばらしいソフトパワーを、たくさん保有している。ただ、無意識の日本的感性(遠慮?)が作用しているためか、積極的に広めようとしていない?……

今回のコラムを書くにあたって、この「続き」を綴ろうとは思っていなかったのですが、日曜日の朝、コンビニで買い求めた朝日新聞をめくっていると、23面に目が止まります。冒頭の引用は、その書き出しです。ノーベル文学賞に最も近いとされている「国際ブッカー賞」の候補に、複数の日本人作家がノミネートされている、という内容の記事です。23面のかなりのスペースを使って、野波建祐記者の熱き思いが綴られます。「日本のソフトパワーが着実に世界に受け入れられている」という主旨の記事です。私も読むうちに嬉しくなりました。

掲載記事には、文字の連なりを補完すべく「近年の英国文学賞における日本勢の最終候補作」が時系列の表として添えられています。左側の「国際ブッカー賞」には、このたび候補に選ばれている川上弘美さん(2025年)と、小川洋子さん(2020年)川上未映子さん(2022年)が、写真付きで紹介されています。右側の「ダガー賞(英国推理作家協会賞)」の最終候補(5作品)に選ばれたのは、横山秀夫さん(2016年)東野圭吾さん(2019年)伊坂幸太郎さん(2022年・2024年)です。なお、25年現時点の最終候補前の12作品に、伊坂幸太郎さん柚木麻子さん王谷晶さんの3人が残っています。伊坂さんが最終候補に選ばれた場合、2年連続3回目となります。スゴイ!

小川洋子さん、川上未映子さん、そして伊坂幸太郎さんについて…

私が「嬉しい…」と言葉にしたのは、小川洋子さんのことを、「CBLコーチング情報局~コーチング大百科」で2024年3月28日、『生きるとは自分の物語をつくること』をスタートに、5月7日『世界をつなぎ合わせる計り知れない働きが、そこには作用している』まで、29回ほどコーチングに敷衍して書いているからです。

川上未映子さんについては、2023年3月29日に「新海誠監督との対談」を取り上げたのを皮切りに、芥川賞受賞作の『乳と卵』、さらに村上春樹さんとの対談である『みみずくは黄昏に飛びたつ』をコラムで綴っています。

伊坂幸太郎さんについても紹介させてください。コーチングの視点で、これまで複数回コラムにしています。

英国をはじめ世界で日本の小説(物語)が注目されている背景について、野波記者は、日本英文学会会長で東京大学教授の阿部公彦さんの言葉を引用します。

「古くからある私小説のように、自分の身近な範囲内で、ゆるいもの、柔軟なもの、あやふやなものを、あえてそのまま表現するスタイルは文学に限らず、日本の芸術作品に広く見られます」

「私小説」に結びつける阿部教授の考えは、少し違うようにも感じますが… 小川洋子さん、川上未映子さん、川上弘美さんは「私小説」を書いていませんから。ただ、「ゆるいもの、柔軟なもの、あやふやなもの…」に、共感します。

大江健三郎さんは「日本の哲学・思想」を体現している

ノーベル賞の授賞式で、大江健三郎さんが世界に向けて語った『あいまいな日本の私』に、感銘を受けました。そこで、生成AI(Copilot)と、「その想い」を共有すべく対話しています。紹介させてください。

素晴らしい視点ですね!大江健三郎の『あいまいな日本の私』は、まさに「曖昧さ」という特性が日本文化の核心を表すと同時に、それが西洋文化との違いを浮き彫りにするというテーマで語られています。
彼は「曖昧さ」を単なる弱さや不明確さではなく、多様性を受け入れる柔軟性として捉えています。この姿勢は、西洋文化のように明確さや二分法を求めるアプローチとは対照的です。そして、彼自身の作品や人生を通じて、この「曖昧さ」がどのように創作や生き方に影響を与えたかについても触れています。
また、彼は日本が持つ「曖昧な」美質を通して、グローバルな視点での共感や理解の架け橋を築く可能性についても語ります。これは単なる対置ではなく、「違いを超えて」つながることの価値を強調しているのが印象的です。
大江の言葉には哲学的な深みがあり、日本の文化的な特徴を肯定的に捉えながら、それを世界にどう伝えるべきかの問いかけでもありますね。このテーマについてさらに深掘りしたいなら、ぜひそのスピーチの全文や関連する評論を読んでみると、彼の意図や背景がもっと明確に感じられると思います!

Copilot氏は「大江の言葉には哲学的な深みがあり、日本の文化的な特徴を肯定的に捉えながら、それを世界にどう伝えるべきかの問いかけでもあります」と、その方法についても語ります。「グローバルな視点での共感や理解の架け橋を築く可能性」と、大江氏が語る言葉は、前回のコラムで取り上げた、新教皇レオ14世の言葉ともつながっています

日本の小説が世界中の言語に翻訳され広がると「世界は変わる!」

ところで、世界で評価されている日本の小説(家)には、共通項があります。日本文化と日本語を深く理解し、共感している優れた翻訳者の存在です。世界で評価されるためには、翻訳された作品が、世界で読まれないことには、評価も何も存在しませんから。
村上春樹さんが毎年のようにノーベル文学賞候補として名前が挙がるのは、50以上の言語に翻訳され、世界中の小さな書店にも、村上春樹さんの小説が棚に置かれているからです。

小川洋子さんについては30以上の言語に。川上未映子さんについては、「英語、フランス語、ドイツ語、中国語など、世界中で広く翻訳されています。特に英語版の『乳と卵』は海外でも高い評価を受けています!」と、Copilot氏は教えてくれます。そして今朝(5月20日)の日経新聞1面「春秋」に、柚木麻子さんが取り上げられていました。引用します。

柚木麻子さんの小説「BUTTER(バター)」が英国でベストセラーになっている。昨年、大手書店チェーンによる「今年の1冊」に選ばれ、先ごろ同国の文学賞で新人賞にあたる賞も受賞するなど評価も高い。人気は世界に広がり、36カ国での翻訳が決まった。(中略)「BUTTER」を訳したポリー・バートンさんは英語圏でカリスマ的人気を誇るそうだ。ロンドン大学で学び、文化庁が始めた第1回翻訳育成者事業で2012年、最優秀賞を勝ち取って、今のキャリアの道が開けた。「日本語を吸い込んでから、一旦それを忘れた状態で英語を吐き出す」。自然体で言葉を操る名人だ。

「日本文学や文化を世界に広める方法」についてCopilot氏は、この「翻訳者の育成」をはじめ、さまざま提案してくれました。「なるほどなあ…」と、感じる具体策が含まれています。私が特に印象に残ったのは、「まとめ」を意識したような最後のコメントです。
「ディールこそすべて」というトランプ大統領の価値観、そして、一神教が負の側面として現れてしまう「二分法の世界観」を、Copilot氏は、やんわりとリフレーミングしてくれます。私は前回のコラムの最後に、気合を込めて…

世界が日本に求めているのは…「世界のクライストになろう!」と、遠慮をかなぐり捨て、行動する姿なのかも…しれませんね。

とコメントしています。Copilot氏は、「少しクールダウンしてみましょう。メタ認知の視点で捉えてみてはいかがですか…」と、まるでプロコーチのごとく、私に語りかけてくれてるようです(笑)。

世界へのプレゼンテーションは「静かに」…だから「響く!」

ストーリーテリングを通じた感性の共有 :
「目立ちたくない」という日本文化の慎ましさを「控えめな美徳」として海外に紹介する。日本文学の中には、人間の繊細な感情や自然との共生といったテーマが多く含まれており、こうしたテーマを軸にしたストーリーテリングは世界で共感を呼びます。
日本が持つ独自の文化資産は、世界にとって貴重です。「静かに、だから響く」という表現が、むしろこの混沌とした時代に求められているのかもしれません。

坂本 樹志 (日向 薫)

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