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第3回:新入社員に必要なのは即戦力ではなく成長力である ─不確実な時代の新人育成の本質─

新入社員育成の現場で、ここ数年、頻繁に聞かれる言葉があります。
それは「即戦力」です。
人手不足、変化の加速、現場の負荷増大。
こうした背景の中で、「できるだけ早く一人前に」「早期に成果を出せる人材を育てたい」という期待が、新入社員研修にも強く持ち込まれるようになりました。

しかし、ここで一度立ち止まって考える必要があります。
新入社員に“即戦力”を求めることは、本当に現実的なのでしょうか。
新入社員は、業務知識も経験も、社内の暗黙知も持っていません。
にもかかわらず、「早く成果を出してほしい」「自走してほしい」と期待される。
その結果、新入社員は「できない自分」に焦りを感じ、失敗を避け、無難な行動に終始するようになります。

ここでもまた、主体性が失われていく構造が生まれます。
そもそも、変化の激しい現代において、「即戦力」という言葉自体が危うさをはらんでいます。今日の正解が、半年後には通用しない。業務内容も、求められるスキルも、組織の戦略も変わり続ける。そんな時代において重要なのは、「今できること」よりも、「これから学び続けられるかどうか」です。

新入社員研修のポイントは「成長力(ラーニング・アジリティ)」という視点

ここで注目すべきなのが、「成長力(ラーニング・アジリティ)」という視点です。
成長力とは、新しい状況に直面したときに、経験から学び、失敗を振り返り、次の行動に活かす、このサイクルを自律的に回していく力のことです。
不確実な時代において、最も価値のある人材とは、「今、何ができるか」ではなく、「どれだけ速く学べるか」によって決まります。
では、その成長力はどこで育つのでしょうか。

答えは明確です。それは、最初の育成体験です。
新入社員研修が「正解を覚える場」「評価されないための場」になっていると、新人は学習を“防御的”に行うようになります。
一方で、研修が「試していい」「考えていい」「振り返っていい」場であれば、新人は学習を“探索的”に行います。
この違いが、数年後の成長スピードに決定的な差を生みます。

コーチングの視点は「学び方を学ぶ力」

コーチングの視点では、新入社員に最初に育てるべき力は「できること」ではなく、「学び方を学ぶ力」です。
たとえば、
「うまくいかなかったとき、何を振り返るか」
「誰に、どんな問いを投げれば前に進めるか」
「自分は今、何に戸惑っているのか」
こうした問いを自分に向けられるようになること自体が、成長力の核心です。

ある企業では、新入社員研修の評価項目から「成果」や「正確さ」を外し、代わりに「振り返りの質」「学びの言語化」を重視しました。研修の最後には、「この1カ月で自分は何を学び、何にまだ戸惑っているか」を発表させたのです。結果として、新入社員は配属後も自ら学習テーマを設定し、上司との対話の質が明らかに向上しました。
上司からは「教えなくても、学び方を知っている」という評価が生まれました。

新入社員研修の目的は「学び続けられる人を育てること」

即戦力を求める育成は、短期的には安心感を与えるかもしれません。
しかし長期的には、変化に弱い人材を育ててしまいます。
一方、成長力を育てる育成は、時間がかかるように見えて、結果的に組織を強くします。
新入社員研修の目的は、「早く戦力化すること」ではありません。
それは、この会社で、学び続けられる人を育てることです。
成長力を持った新入社員は、数年後、環境が変わっても、自ら考え、問い、進化し続けます。それこそが、不確実な時代における、最も信頼できる“戦力”なのです。

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詳しくはこちら:新入社員コミュニケーション1日研修 ─コーチングのスキルで学ぶ 報連相力アップ─

国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

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