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第2回:新入社員が“指示待ち”になる本当の理由 ─教えすぎる研修が、主体性を奪っている─

新入社員研修の育成プロセスに問題がある

「最近の新入社員は、指示を出さないと動かない」
「自分で考えず、正解を聞いてから行動しようとする」
こうした声は、業界や企業規模を問わず、広く聞かれます。
多くの場合、その原因は「若者の意識が変わったから」「主体性が足りないから」と片づけられがちです。
しかし本当にそうでしょうか。
実は、“指示待ち”という状態は、新入社員個人の性格ではなく、育成のプロセスの中でつくられる行動様式であることが少なくありません。
つまり、指示待ち人材は「最初からそうだった」のではなく、「そうならざるを得なかった」のです。
新入社員研修の多くは、「まずは正しくできるようにする」ことを重視します。
マニュアルを覚え、手順通りに行動し、失敗しないことが評価される。
この環境の中で、新入社員は次第に学びます。
「勝手に考えない方が安全だ」
「判断は上の人に任せた方が怒られない」
「正解を確認してから動くのが賢い」
これは合理的な適応であり、決して怠慢ではありません。
問題は、この“安全第一の学習”が、研修後も続いてしまうことです。
配属されても、「まず指示を待つ」「自分の意見は控える」という姿勢が抜けない。
その結果、現場では「主体性がない」「考えていない」と評価されてしまう。
しかし、本人の内側では「勝手に動いて失敗するより、聞いた方がいい」という論理が一貫しているのです。

新入社員研修の前提を問い直す

ここで私たちは、育成の前提を問い直す必要があります。
新入社員研修は、「間違えない人」を育てる場でしょうか。
それとも、「考えながら学ぶ人」を育てる場でしょうか。
もし前者に偏りすぎているとしたら、指示待ちは“当然の帰結”です。
コーチングの視点に立つと、主体性とは「最初から備わっている資質」ではありません。
それは、安心して考え、試し、振り返ることができる環境の中で育つ力です。
人は、自分の考えを受け止めてもらえると感じたとき、初めて自分の頭で考え始めます。
逆に、「間違えると評価が下がる」「正解を求められる」環境では、主体性は静かに萎縮していきます。
ある企業では、新入社員研修の中で、あえて「正解のない課題」を提示しました。
答えを教えず、「あなたはどう考えたか」「なぜそう思ったか」を言葉にする時間を重視したのです。
最初は戸惑い、沈黙もありました。
しかし数週間後、新入社員同士の議論が活発になり、「自分の考えを話してもいい」という感覚が育っていきました。配属後、上司からは「自分なりの仮説を持って相談に来るようになった」という声が上がりました。
主体性は、教えられたのではなく、引き出されたのです。

新入社員の中にある考える力を信じる

指示待ちを減らしたいなら、指示を増やすのではなく、問いを増やす必要があります。
「次に何をすべきだと思う?」
「いくつか選択肢があるとしたら?」
「自分なりの考えを聞かせて」
こうした問いは、すぐに完璧な答えを引き出すためのものではありません。
考える練習を重ねるための“余白”をつくる行為です。
新入社員が主体的に動き始めるかどうかは、能力の問題ではありません。
「考えてもいい」「未完成でも話していい」と感じられるかどうか。
その感覚は、研修という最初の体験で、ほぼ決まります。
教えすぎないことは、放置することではありません。
それは、新入社員の中にある「考える力」を信じるというメッセージです。
主体性とは、任せられた瞬間に芽生えるものではなく、
問いかけられ続けた結果として、静かに育っていく力なのです。

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国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

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