「長島明子さんへのインタビュー」をシリーズでお届けしています。今回はその6回目です。
「京都シルク」の経営者であった長島さんは、「一般社団法人コーチングスカイ」を設立し、多くのクライアント(経営者)を抱えるエグゼクティブコーチとして活躍されています。最終回は、長島さんの現在に至る3年の軌跡を紹介させていただきます。
(坂本)
ここまでお話を伺ってきて、思ったことをお伝えしていいですか?
(長島)
はい。
(坂本)
望んで自分で努力してその環境をつくったというより、コーチングに出遭うべくして出会った!…そのように感じています。
(長島)
ええ、呼ばれた感じがします(笑)。
五十嵐先生と初めてお話したときは(CBLの説明会…一対一のZoom)、お返事しなかったのかな? でも、「やらないと後悔するな」って思ったのと、退路を断っているじゃないですか。「京都シルクには帰らない」って。
(坂本)
はい。
(長島)
コロナが明けてみんなと会うときには、癌になったけど、でもその代わり「こんなものを手に入れました」って、できればみんなに披露したいと思っていたんですよね。
「あっこさん、かわいそう…」と思われたくなかった。実際、かわいそうじゃない(笑)。ちゃんと耐えて命あるし、「私生きてるし、全然かわいそうじゃない」っていうのを、みんなに見せたかった。
私生きてるし、全然かわいそうじゃない!
(坂本)
まさにコーチングじゃないですか。
(長島)
今言ったこと、会社の人はそんなこと思っていないと思いますよ。ただ、私が猛烈にコーチングを勉強したのは、それが原動力です。私のプライドです。
本当にみんなに心配かけて、応援してもらって、「京都シルク」が潰れないように、ちゃんと会社をまわしてくれたみんなに、「さすがあっこさん!」って、言わせんと申し訳ないなって、思ったんです。
(坂本)
あっこさんが「スーパーあっこさん」になっていく原点ですね。
そうやって、受講を決められた。では、ここから次の質問なのですが、講座そのものについては、いかがでした?
(長島)
第1講、第2講のころの私は、まだ経営者然としていました。「いや、そんなことはないでしょう?」とか、いろいろ感想を入れたりとか。
今思い出すと恥ずかしいんですが(笑)、たくさんの講座を、時間をかけて学ぶことで自分が変わっていきました。しっくりとなじんできたというか、身体のなかに沁みるというか、広がってくるのを感じたんです。
今26期がスタートしていますが、私は8期です。受講生はまさに「チーム」ですよね。お互いが刺激し合って、という環境です。「先生と生徒」という一方通行ではなく、メンバーも含めて「双方向」です。「同期」の意識も芽生えます。五十嵐先生は「講座そのものがコーチングです」って、おっしゃっているけど、本当にその通りですよね。
経営者然の長島さんは、コーチングによって変わっていく…
(坂本)
ありがとうございます。
さて、そうやって講座を修了され、資格も取られた。ただプロコーチとしてのスタートはまさにそこからですが、集客が一番のテーマになってきます。そのあたりをお話しいただけますか?
(長島)
これもいつも講座でも話しているんですけど、第1講「エグゼクティブコーチング・エッセンス講座」の1日目の最初の1時間くらいがオリエンテーションなんですが、「なるべく早く有料のクライアントを見つけてください」っていうのがあるんです。そして、「なるべく早く自分にもコーチを付けてください」って言います。
私は8期の初日に、その言葉を五十嵐先生から聞いて「そうなのか…」と思って、ただそれをしただけです。
(坂本)
その言葉を聞いて素直にアクションを起こす人と、「ちょっと…」っていう気持ちが先に立って、行動を起こさない人に分かれますよね。でもあっこさんは、当たり前にその言葉が「スッ」と入ってきた?
(長島)
そうです!
その日の夜に、五十嵐先生に連絡して、「私、コーチを付けたいです。ご紹介ください」ってお願いしたのと、そのときはクラスコーチの制度がなかったので…その日のうちに数人に、「私のコーチを受けてくれるかな?」ということを言うための連絡をしました。その場でそこまで言ったわけではなく、「ちょっと話があるんやけど、連絡してくれますか」と、何人かに伝えました。
“プロ”コーチのスタートは「集客」!
(坂本)
あっこさんには資格取得講座とは別途、集客セミナーもお願いしていますが、受講した新藤さんは、あっこさんの言葉に啓発されています。「なるほど…積極的に営業せなあかんなあ~」、と一念発起したようですよ。あっこさんの関西弁がうつったのか、そう言葉にされました(笑)。
(長島)
ありがとうございます(笑)。
それで、「いいですよ。お話し聞かせてください」って返事をいただいた人には、メールではなく電話をして、ちゃんとその人の状況をいろいろ訊ねてみて、「忙しくガンガンやってます!」と、時間がとれそうにない人には、あえて声を掛けずに、「コーチングを勉強しているので、何か協力してほしいようなことがあったら、よろしく!」と、言って終わっています。
(坂本)
その初日に連絡を取った人で、何人の人にコーチングをされたのか? それから、どのような人にまず連絡を取ったのか? そのあたりを。
(長島)
最初は2人と約束が取れました。これまで接触を持った人で、YESの返事がイメージできていた人です。ただ、一方的ではないですよ。相手の状況をしっかり聴いた上で、お願いしました。
(坂本)
お金をいただいて、という有料コーチングですね。
(長島)
そうです。ええっと… 1回ではなく複数回の合意でやっています。これがスタートですが「これを毎月重ねていく」、という方針を決めました。「毎月必ず新規2人ずつ増やしていく」、ということです。私も商売をしてきましたから、「その時だけ売上がたてばいい」というのはダメで、ですからその月の二人が見つかればすぐに翌月の二人に当たる、これを常に数カ月先の見通し立てながら動かす、という流れです。
「勉強を始めたばかりで未熟ですが、できる限りを尽くします」、という姿勢で向かうよう五十嵐先生に教えてもらったので、毎回誠心誠意セッションしました。「お金をいただくことでお互いにスイッチが入ります」、と五十嵐先生は言います。私もそう思っていましたから、お金のことはしっかりお伝えしました。
(坂本)
何ごとも積み重ねですよね。メキメキと力が付いてくる。
(長島)
セッション練習会で、コーチングを勉強している人とコーチングをすることも勉強にはなりますが、全然コーチングを知らない人とさせてもらうというのは、もう新鮮な学びがあるし、気が引き締まるというか、少額でもお金をいただいてやる分には「ちゃんとしなきゃあ」、っていう思いになれます。
お金をいただくとプロの自覚が生まれ、スイッチが入る!
(坂本)
そうやって着実に力を付けられていった。それでは修了されてからのアクションをお聴かせいただけますか?
(長島)
起業ということになりますかね? 2021年2月から始まって、2021年の7月ぐらいまで講座がありました。8月にCBLの試験を受けて認定をいただいて、その年の10月27日に「一般社団法人コーチングスカイ」を設立しました。
JEA(一般社団法人「日本エグゼクティブコーチ協会)の資格も取得し、おかげさまで、お話しているコーチング講座など、さまざまやらせていただいています。ICF(国際コーチング連盟)のPCCも取得しました。
(坂本)
設立3年を迎えられたわけだ。クライアントの構成についてですが、 エグゼクティブコーチング…経営者の割合は?
(長島)
半分以上が経営者です。トップですね。
(坂本)
「コーチングスカイ」のホームページに「PLAN(料金体系)」が紹介されていますね。「エグゼクティブコーチング」「パーソナルコーチング(ビジネス・ライフコーチング)」「起業・スタートアップコーチング」「法人研修」の4つが掲示されています。エグゼクティブコーチングは「6ヵ月44万円~」です。「カスタマイズ」のニーズにも対応されている。
法人としての現在の事業規模は以前お聴きしましたが、「コーチング」を事業として始められて3年間で、ここまでになるというのは、なかなか「ない」と思います。でもあっこさんは、そのことを実現されている。
(長島)
感謝そのものです。
(坂本)
そして…ここまでお話をお伺いして、コーチングビジネスに興味をもたれている読者の方に、もう一つの重要な内容をお伝えできている、という感触が高まっています。
アメリカでは「コーチング」が明快に事業・ビジネスとしてオーソライズされ、実際に経営者の6~7割にエグゼクティブコーチが付いています。ただ、日本は残念ながら、まだまだです。CBL、そしてJEAは、この日本で“本当の”コーチングを広めていきたいという、五十嵐代表の志が原点となって設立されました。そして、こうして長島さんともご縁を持つことができている。「長島さんだから」、というのはもちろんありますが、CBLを修了された長島さんは、「コーチングの価値」を事業性という視点でも証明されている。
コーチングをプロとして取り組みたい、と感じている方々に、長島さんの生きざまと言葉は、しっかり伝わっていると思います。
(長島)
ありがとうございます。今期はさらに手ごたえを感じています。繰り返しになりますが、本当に皆さまに感謝です。
(坂本)
さて、ここまでたくさんお話を伺いました。最後はビジョンをお聴きしたいと思います。
(長島)
わかりました。実はまだお話していないことが一つあるんです。大学院で学んでいた時、そのあとも2年ほど… ですから8年間かな? 大学受験予備校の講師もやっていたんです。後半は、医学部を目指す学生を主に担当していました。
(坂本)
医学部ですか。かなりのレベルが要求されますね。
「人の人生は生きられない」、そして「自分が変わらないと何も変わらない」
(長島)
いえいえ、私はそんなんじゃないですけど、ただ国立大学の医学部を目指す生徒さんは優秀でした。その人たちのやる気スイッチを押せるというのは、すごく楽しかったんです。
私が勉強するわけじゃないんです。私が代わりに試験を受けに行くわけではないので、つまり「人の人生は生きられない」というのは、その仕事をする中で、すごく思ったんですよ。「自分が変わらないと何も変わらない」、ということも。
そのことは、今コーチングにもすごく生きています。大学院の勉強だけじゃなく、真剣に取り組んできましたから。だから、そこがコーチングに結びついたところでもあるし、企業研修の講師についても、その経験のおかげです。あと…「私の得意な世代というのはあるな」と思えてきて、そういうのもこれからやっていきたい、と感じています。
コーチングでこうやってお仕事をさせていただいているわけですが、「あ~、大学院まで行っててよかったなあ」って、振り返っています。商売やっているときは一回も思ったことがなくて…本当ですよ(笑)。母には「大学院の勉強は忘れなさい」って、言われていました。「偉そうにするな」ということなんですけど(苦笑)、 でもここにきて、「勉強したことを思い出してもいいんだ…」という自己肯定感と自己効力感が生まれています。
今は本に囲まれて仕事をしていることがメチャメチャ楽しい。ワクワクの毎日です(笑)。
(坂本)
私も何だかワクワクしてきました(笑)。
あっこさんのこれまでの全部のものが生かされて、完成形… いえ、これからもどんどん成長されるわけですけど、なんかそんなことを感じています。
(長島)
そういう意味では、「私は成功することができているなあ」と思っています。お金じゃなくて、満たされているから(笑)。
これからのことなんですけど、努力を忘れないで積み重ねていけば、「成長しつづけることができる」というイメージが浮かんでいます。もっともっと上がるだろう、上がるところまで行ってみようと。
あとは何だろう……?
寿命は天に預けたつもりでいるんですよね。「死ぬまでちゃんと生きる」っていうのと、「どうせ生きるなら笑顔で生きる」ということ。これが私の「ありたい姿」なのかもしれません。このことを実現するために、今このコーチングを仕事として取組み、そしてやり続けている…… これってオートクラインですね(笑)。
長島さんのコーチングに至る人生を、6回にわたって紹介させていただきました。長島さんの最後の言葉は「ありたい姿」でした。「受容と共感」に包まれた3時間のインタビューを、こうやって再現しながら、今じっくりと振り返っています。
長島明子さん、本当にありがとうございました!
長島明子コーチ(大阪府大阪市)とのコーチング対話
- (2024.11.20)大阪のエグゼクティブコーチ長島明子さんの人生は、「自己実現」に向かって格闘し続けるプロセスだった!
- (2024.11.25)「学び」は人生の財産として確実に蓄積されている…長島明子さんインタビュー(その2)
- (2024.11.28)「自己実現」は、ほんとうに思いがけないところから起こってくる…長島明子さんインタビュー(その3)
- (2024.12.2)「禍福は糾える縄の如し」~絶頂期の経営者に過酷な「自己実現」が迫られた時、「綺麗な事業承継」がなされることもある!…長島明子さんインタビュー(その4)
- (2024.12.5)「コーチング知識ゼロ」の長島さんが、コーチングに見初められるプロセスが描かれます…長島さんのインタビュー(その5)
関連するおすすめのサイトや記事
- コーチングの3原則とは?(CBLコーチング情報局)
- コーチはクライアントの未来が「幸せな物語」となるよう伴走します!(CBLコーチング情報局)
- 自分を変える勇気を持てる経営者が、会社を変えていけるのです。(CBLコーチング情報局)
- 変わっている自分の未来を体験することがフューチャーペーシングです(CBLコーチング情報局)
現在受付中の説明会・セミナー情報
- 縦割り組織に悩む経営者・組織開発、人事担当者の皆様へ!「グループコーチングWA」体験会のご案内
- 【開催無料・中小企業経営者限定】エグゼクティブコーチングって何だ!できる社長こそコーチをつけている!
- 新『仕事と人生に役立つコーチング講座』がスタートします
- 2024年11月12日【無料】ハラスメントを意識しすぎていませんか? 叱れない上司のための 5Sとコーチングで関わる部下指導と職場づくり
- 人生が輝きだす最強のコミュニケーション術 無料講座
- 超入門初級コーチングいろは1DAY(10:00-17:00)セミナー
- ビジネスリーダーのための傾聴1DAYセミナー
- 1on1がうまくいかない・・なんとかしたいと思っているあなたへ上司として自信を取り戻す1on1スキル向上セミナー
- 【2024年12月5日、12月7日、12月8日、12月21日、12月22日、12月26日、12月28日、12月29日】コーチングスクールの説明会を開催します
- 【無料開催・経営者・人事担当者限定】これで会社を変える!社員の自律と成長を促すコーチング活用セミナー