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「コーチング×子育て」について、河合隼雄さんの『Q&Aこころの子育て』を取り上げ、語ってみようと思います

Q12. 思い通りにならないのは、育て方が悪いからですか。
A. 生きているんだから思い通りになるはずがないのです。
……「上手に子育てしたら、思い通りになる」というのは、完全に迷信です。世の中に下手な子育てはあっても、どんな子にでもあてはまる「よい子育て」というのはありません。下手な子育てと言うのは、親がいつも怒っているとか、子どもをほったらかしにしているとか、食べ物をやらないとか、いろいろあります。でも、みんなに共通の便利な方法、よい方法、というのはない。だいたい便利な方法なんて大したことないんですよ。だれにもできるんだから。

「子育て」は、親にとって最も崇高で、かつ最も難易度の高い“事業”かもしれない

河合隼雄さんの『Q&Aこころの子育て~誕生から思春期までの48章』のQ12を引用してみました。48章とあるように、「おわりに」も含めた全228ページに、48の質問が掲示されています。その一つひとつに対して、河合さんが4ページほどで回答していくという体裁です。目次を見ると、実際に子育てを体験している渦中の人が、さまざま実感する(切実な)悩みが、ずらり並んでいます。 

同書は、最近手に取っています。「48の回答に通底している河合さんの視点はなんだろう?」と考えながら読み進めたのですが、私の行き着いた解釈は「リフレーミング」でした。
親子というこれ以上ない濃密な関係だからこそ、他者とは別次元の期待や想いを子供に投影してしまいます。したがって、そこには「思い込み」が必ずといってよいほど生じているのです。そのような私たちに、河合さんは見事にリフレーミングを提供してくれます。だからこそ「コーチング」と「子育て」は、極めて高い親和性がある、と実感できるのです。

「子育て」はコーチングの「リフレーミング」が鍵を握っている!

私はコラムの中で、自分の子育ての体験を折にふれ、書いてきました。多くの親が悩むように、私も子育てについては自問自答の歴史です。ただ、不思議なもので、二人の孫娘に対しては、「いい塩梅で交流できているなあ~」と感じることができるのですね。孫娘に対する一義的な責任は、長女次女夫妻が負っているのであり、私と妻(祖父母)は適度な距離感で接していればよい…と解釈していますから(笑)。

このコラムを書きながら、3年前に書いたコラムを振り返ってみました。タイトルは、「5歳の孫娘と“ともだち”の私が『自己肯定感と自己効力感』について考えてみる!」です。その孫娘も8歳に成長。そして下の孫娘は4歳。相も変わらず「ともだち」として遊びながら孫育てに勤しんでいます。

『Q&Aこころの子育て』は、各質問に河合さんによる一行の回答がまず示されます。その後に4ページの記述が続くという構成です。「リフレーミング」が見事に伝わってくる、その一行をいくつか紹介してみましょう。「リフレーミングの達人」こそ、優れたプロコーチの証です!

Q2. 子育てがうまくいかないのは母子関係が原因でしょうか。
A. 原因がわかっただけでは何の解決にもなりません。
Q5. 「お母さん」になると「私」でなくなるようで怖いです。
A. その両方を生きるのが、その人らしさです。
Q9. いまの子育てで気になることといったら何でしょうか。
A. 親としてのカンを磨くのをサボりすぎていることです。
Q13. 言うことを聞かないと、どうしても叩いてしまいます。
A. 親子だけで閉じてしまわない工夫や努力が大切です。
Q16 甘えん坊なので「自立できないのでは」と心配です。
A. 十分に甘えさせてやったら、ちゃんと自立していきます。
Q18. 「死」については、どのように教えるのがよいでしょう。
A. もう、自分が思っていることを言うしかないですね。

この後、「不登校」や「いじめ」に対する回答となります。まさに「箴言」だなあ…と迫ってきます。まだまだ紹介したいのですが、今回の解説の最後にQ31を紹介します。読者の皆さん、ぜひとも一読を!

Q31. 子どもがしていることがどうしても受け入れられません。
A. そういう状況を、親も一緒になって作ってきたわけです。

坂本 樹志 (日向 薫)

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