前回に続き、友人H氏との会話からです。
「私はケータイを格安スマホの楽天モバイルに変えました、1年くらい前かな…その際、端末は迷うことなくHUAWEIを選んでいます」
茶目っ気の表情で“フアウェイジィーシュウ(華為技術)”と中国語を披歴したHさんは、手元のスマホをひっくり返し、2つある小さなカメラのレンズを指さします。
「HUAWEIのスマホのウリはデュアルカメラですね。撮影後フォーカスする位置を変えることができます。渋谷のスクランブル交差点をビル高層階から撮影し遠景を操作することで人と車がまるでジオラマに見えてしまう写真を以前見たことがありますが、そんな画像もつくることができます」
「私が中国で仕事をしていたのは10年以上前で、当時HUAWEIはまだそれほどメジャーではなく、中国人スタッフのほとんどはSUMSUNGのシャープなデザインの機種を使っていました。それがこの10年で米中貿易戦争のど真ん中に位置するある意味世界一有名な巨大企業に成長したわけですから感慨無量です…」
「想像力って自由に未来を描けるはずだけど、これまでのイメージ、つまり過去に縛られてしまっている、という自分の頭の固さを思い知らされました」
私はHさんのこの言葉こそ、コーチングの意義を説明してくれていると感じました。
コーチングを求め、そしてコーチングに触れ、自分が思い込みにとらわれていたと気づき、そこから自由になったことで、ギクシャクしていた人間関係が円滑に進むようになることもあります。
逆説的に言えば、
“自分は思い込んでいないと思い込んでいる人”こそ、成長の機会を阻害されているということです。
例えば、
「部下を指導するにあたって“率先垂範”が何よりも重要だ!」と考えているAさんが
ここにいるとします。
Aさんは、部下をぐいぐい引っ張り、お客様に対するプレゼンも自分ですべてやってしまいます。ところが…チームの成績は上がりません。部下の動きからも覇気が感じられません。
Aさんは悩みます。
そんなAさんからコーチングしてほしいと依頼があったとします。
コーチ:「Aさんにとっての率先垂範とはどういうことだと思いますか?」
Aさん:「先頭に立って模範を見せることですよね?彼に任せても失敗するだけだから、私のやり方を真似てほしいと思って、いつもやってあげているんです。」
コーチ:「彼に任せても失敗するだけと言いましたが、何回やらせてみました?」
Aさん:「そういえば、まだ1回もやらせていないですね。」
コーチ:「Aさんは優れたプレゼンターだと思いますが、初めの頃はどうでしたか?」
Aさん:「私も最初の頃は今のようにうまくできていたわけではありません。試行錯誤を繰り返しながらでしたね。
部下にも私のやり方を見て真似してほしいと思いましたが、私も先輩の良さを取り入れつつ、やりながら今の自分の型を作ってきたのを、すっかり忘れていました。・・・」
どうすることが部下の一番の成長につながるのか、部下の立場に立って考えることが必要です。
率先垂範は大事ですが、何でもかんでも自分がやってしまっては、部下の成長につながりません。背中を見せて、ただ「俺に付いて来い」という時代ではなくなっています。
信じて任せることが必要です。
コーチングの基本は相手を信じることからです。
率先垂範こそリーダーの役割だと思い込んでしまっていたAさんの例です。
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