無料相談・資料請求はこちら

あなたと私は違うのです。違った部分については、より理解しようとするとか、より尊敬するとかしなくてはいけないのではないでしょうか…

人類にとって最大規模となる「宇宙ごみ」の処分計画が動き出した。老朽化した重さ420トンの国際宇宙ステーション(ISS)を地球の大気圏に突入させて焼却するという。燃え残りは被害を起こさぬように「宇宙ごみの墓場」である特定の海域に落とさなければならない。廃棄に使う宇宙船の信頼性が鍵を握る。
(9月22日(日)日本経済新聞26面『科学の扉~宇宙基地落としを安全に』より)

前回に引き続き「宇宙」をテーマに語ってみます

前回のコラムは「地獄を見た打ち上げ<失敗>を経て<成功>を勝ち取ったH3ロケットのヒストリーを感受し、日本の宇宙開発事業の“夢”を語ってみます」をタイトルに、日本の行く末(ポジティブな未来)を語ってみました。
このところ私の頭の中は、「宇宙」が占めているようで、「宇宙」という文字に出くわすと、思わず前のめりになってしまいます。

9月22日(日)の早朝、いつものように日経新聞を1面から順に読み始め、ほぼ1時間経ったあたりで26面を開くと、大きな見出しの「宇宙基地落とし……」という、「宇宙基地」に「落とし」という、何が書いてあるのか「?」の文字群が目に飛び込んできました。
文字遣いのオーソリティである全国紙が生み出した「表現」なのですが、少し凝り過ぎた感もあり、それはそれで一興ですね(笑)

内容は、専門家ではない私たちにとって、日頃見聞きすることのないだろう「科学の世界」が紹介されており、日経新聞の幅広い知見(取材力)が感じられます。
現在運用されている「国際宇宙ステーション(ISS)」は、1998年に建設がスタートし、完全な姿(完成)となるのが2011年です。ISSの構成の一つに、日本がつくった実験棟の「きぼう」があります。

ISSは世界の国々が結集した人類究極のプロジェクト!

その規模は、「全長約73メートル。幅約109メートルと、サッカー場が収まるほどの大きさ」です。老朽化のため退役するのが2030年で、「さて、どうやって処分するか…」というわけで、その処分方法が詳細に記述されているのですね。

ISSは人類の有人宇宙活動を支えてきたが老朽化が進み、2030年に退役する。放っておけば徐々に高度を下げ、いつか地球に落ちてしまう。NASAは安全、確実な処分方法を詰めてきた。
宇宙ごみの処分は大気圏に落とすのが一般的だ。大気圏に突入すると、大気の圧縮によって空気中の分子が互いにぶつかり、熱が生じて、これで焼却処分する。ISSもこの方針で検討している。

「宇宙ごみ」については、去年の8月16日のコラムでも取り上げています。7月12日(土)の午後7時~に放映されたNHK教育テレビの「スペースデブリ~宇宙の新たな脅威」を視聴し、興味を覚えたので、「NHK+」のアーカイブから以下を引用してみました。

地球周辺の宇宙空間を飛び交う、1億個以上もの宇宙ゴミ「スペースデブリ」。宇宙開発の過程で人類が放置した。地球に落下した事例も。その実態と解決への模索を取材。
今、地球周辺の宇宙空間には、1億個以上もの宇宙ごみ「スペースデブリ」が超高速で飛び交っている。宇宙開発の過程で人類が放置した、使用済みの人工衛星やロケットがその正体だ。たとえ今、宇宙開発を中止したとしてもなくなることはない。巨大なゴミが運用中の人工衛星に衝突したり、地球に落下した事例もある。スペースデブリの実態と、解決に向けて立ち上がった世界中の科学者たちを追う。(フランス2023年)

『ゼロ・グラビティ』のリアル感に感動!

この箇所を引用しながら、「そういえばスペース・デブリを、臨場感というか、迫真の映像(VFX)で描いた映画があったな…」と思い出しました。タイトル名はすぐに思い浮かばなかったのですが、サンドラ・ブロックの演技に感動し、アカデミー賞(2014年に7部門受賞)も獲っていますから、ネット検索すると、たくさんの情報が飛び込んできます。『ゼロ・グラビティ』です。
「ワーナー・ブラザーズ」の公式サイトの冒頭3分弱の予告編を10年ぶりくらいに視聴し、感動を追体験しています。ただ、「善と悪を対置させたがるハリウッド映画」なので、そのスペースデブリは、ロシアが自国の人工衛星を破壊したことで大量に発生した、というストーリーを組んで創作されています。

2013年に視聴した際は、米国文化に多少影響を受けている私は(苦笑)、それほど違和感を覚えなかったのですが(あくまでもフィクションとして受けとめています)、「ロシアがウクライナに侵攻し今も戦争が続いている」という現実を知ってしまうと、名状しがたい想いに囚われます。

冒頭に引用した日経新聞の『科学の扉~宇宙基地落としを安全に』の最後は、囲み記事の「キーワード解説」です。ISSは、1998年から2011年まで14年をかけて、パーツを宇宙空間に運び(40数回)組み立てた、とあります。

ISSは宇宙活動の場としてだけでなく、国際協力や平和の象徴!

米国やロシア、日本、カナダ、欧州など15カ国が計画に参加し、施設を利用してきた。宇宙活動の場としてだけでなく、国際協力や平和の象徴でもあった。30年末に退役した後の地球近傍における実験施設の役割は、各国が運営する宇宙基地だけでなく、企業が運営する宇宙基地にも引き継がれる見通しだ。

改めて、最初にリンクを貼った「JAXAのサイト…国際宇宙ステーション(ISS)」をチェックしてみました。その中の「現在のISS滞在クルー(第71次長期滞在クルー)」を開くと、今現在滞在しているクルーが紹介されています。その数は9名で、アメリカが6人、ロシアが3人の構成です。

飛行名 : Crew8(クルードラゴン宇宙船)~2024年3月4日打上げ(帰還日;未定)
・Michael Barratt(NASA アメリカ)
・Jeanette Epps(NASA アメリカ)
・Alexander Grebenkin(ROSCOSMOS ロシア)
・Matthew Dominick(NASA アメリカ)
飛行名 : 71S(ソユーズMS-25宇宙船)~2024年3月23日打上げ(帰還日:未定)
・Oleg Kononenko(ROSCOSMOS ロシア)
・Nikolay Chub(ROSCOSMOS ロシア)
・Tracy Caldwell Dyson(NASA アメリカ)
飛行名 : CFT-1(スターライナー試験飛行)~2024年6月5日打上げ(帰還日:未定)
・Barry Wilmore(NASA アメリカ)
・Sunita Williams(NASA アメリカ)

少し意外感を覚えました。ロシアが一方的に侵攻して始まったウクライナ戦争の渦中にあって、宇宙、しかもとても狭い同一空間でアメリカとロシアのスタッフが長期で共棲している。ミッションも事細かく決められているでしょう。自分勝手な行動はもとより許されない。

戦争はさまざまな原因によって引き起こされます。政治的には、為政者は必死になって戦争継続のための策を弄するでしょう。ところが、遠く離れた宇宙空間では、アメリカとロシアのスタッフが共同で任務に当たっている。

「呉越同舟」ではなく、リスペクトがそこには存在する!

彼らの胸中を察するに、複雑な想いが去来しているのかもしれません。いや、そのようなことは思念から外し「お互いにリスペクトしながら日々の共同活動に勤しんでいる」…むしろ、この想像こそが真実のように感じられます。

もっとも、かなり前だったと記憶しているのですが、「ロシアはISSの活動から撤退する」という報道を耳にしていたので、チャットGPTに、「ISSにはロシアの宇宙飛行士が滞在していますが、ウクライナ戦争が続くなか、ロシアは今後もISSを活用するのでしょうか?」という質問を投げてみました。回答は…

ロシアは2024年以降、国際宇宙ステーション(ISS)から撤退し、自国の宇宙ステーションを建設する計画を発表しています。この決定は、ウクライナ戦争や西側諸国からの制裁が影響しているとされています。
しかし、ロシアとアメリカの協力関係は完全には断たれておらず、最近もロシアの宇宙飛行士がアメリカの宇宙船でISSに行く協定が結ばれています。そのため、ロシアが完全にISSから撤退するかどうかはまだ不透明な部分もあります。
ISSでのロシアの役割は重要であり、特に推進力の供給を担っています。このため、ロシアが撤退した場合、他のパートナー国がその役割を補完する必要があります。
今後の動向に注目が必要ですね。他に知りたいことがあれば教えてください。

「しかし、……」からの流れは「不透明」とありますが、日本のつくった「きぼう」のネーミングそのまま、「希望」を感じることが出来ます。プーチン大統領の「凝り固まったナラティブ」を、1億4千万人のロシア国民が等しく共有していると考えるのは非現実的であるし、どのようなカタチであれ、戦争はいつか終わります。
今回は、ウクライナ戦争まで広がりました。コラムは「コーチングを語る」ことが目的です。

緒方貞子さんの言葉には、コーチングの本質が宿っている!

これまで何度も引用している「コーチングの本質」を語る緒方貞子さんの言葉を引用し、今回のコーチング解説を終えることにします。

隣の人は自分と同じとは思わない方がいいですよ。あなたと私は違うのです。違った部分については、より理解しようとするとか、より尊敬するとかしなくてはいけないのではないでしょうか。“異人”という言葉。あれ、“異なる人”と書くでしょう。人間を見る時には、本当はにんべんの“偉人”でなくてはいけないのですよ。

坂本 樹志 (日向 薫)

現在受付中の説明会・セミナー情報