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化粧品を語ります~ピンチをチャンスに変えるリフレーミング!

「世界の分断が始まる」と言っている人が多い。僕は反対に世界が本当につながっていくと考えている。世界のあらゆる事件が即座に日本や個人に関係してくる。今までなかったことだ。
(日本経済新聞1月17日3面「ピンチの今こそ“大移動”」)より引用)

心理学を学びコーチングの資格を有する新進気鋭の若手A課長と、部長職を長く経験し、定年再雇用でA課長のチームに配属された実践派のSさんとによる、2023年3回目の1on1ミーティングです。

「このところ元旦を迎えても正月らしくない」は共有できない!?

(A課長)
新年1月も下旬に入りました。私の父親はSさんより1歳年上ですが、この10年、いや、それよりもっと前から、正月を迎えるたびに同じことを言っています。

(Sさん)
それは気になる。同世代ということは、私もAさんのお父さんと同じことを口にしているかもしれない。

(A課長)
実はそう思って、アイスブレイクの話題にしています(笑)

(Sさん)
はは~ん、わかりましたよ(笑)
「昔と違って、このところ元旦を迎えても正月らしくなくなったなぁ~」でしょ?

(A課長)
ご名答です!(笑)
30半ばの私にとっては、その“昔”という世界は未知なので、毎年が特に変化を感じない元旦の景色です。遠くを見つめて、ノスタルジアの風情を漂わせている父親には、ちょっと共感できない(笑)

(Sさん)
私は共感そのものです(笑) バブルが始まる前くらいまでは、1年のうち正月の3日間だけは、社会全体が止まっていました。非日常の景色を体験できましたよ。おせち料理も買うものという概念はなかった。
それが… コンビニが街中で目立つようになるのと歩調をあわせるように、とにかく世の中全体が忙しなく変化していくのです。

(A課長)
「流通業態の変遷」をシリーズテーマとして始めた最初の1on1だったと思うのですが、鈴木敏文さんがアメリカから導入したセブンイレブンのことを、Sさんは詳しく解説してくれました。
国内セブンの売上高営業利益率が25パーセントであることを知って、驚きました。そのときSさんは、「 “日本”のコンビニエンスストアは流通業態における芸術作品!」と言っています。

(Sさん)
「地元埼玉がいかに買い物天国か!」を熱弁する1on1になってしまったので、「次回はクールダウンです」と、反省至極でしたよ。

(A課長)
それもSさんです(笑)

日本の元旦の景色を根本から変えたのは「7-ELEVEN」!?

(Sさん)
プロコーチのAさんには救われてばかりです(笑)
セブンの正式名称であるロゴは「7-ELEVEN」です。つまり、朝7時から夜の11時まで営業している、というのが由来です。それが24時間になったのは…いつからかな?
ネットで調べてみましょうか。

24時間営業の実証実験は1975年ですね。1000店舗になったのは…1980年です。現在セブンの店舗数は…直近だと21350店だ。日本のセブンが本家本元の米国セブンをM&Aで買い取って、世界のセブンを手中に収めていますが、世界全体では71800店です。とんでもないスケールだ。

(A課長)
私たちの世代にとって、物心ついたときには24時間のコンビニが街に溢れていましたし、スーパーも元日営業を始めていましたから、父親の言葉はまさにノスタルジアです。

(Sさん)
世代によって感受性が異なることを改めて実感します。今思い出しています。以前の1on1で、Aさんからしっかりコーチングをやってもらったときのテーマが「ノスタルジア」でした。人はそれぞれ価値観を有しています。それはよいと思うのですね。ただ、それを知らず知らずに押し付けていることがある。クライアントになった私は、そのことを気づかされました。

(A課長)
ああ…あの時ですね。

(Sさん)
人は、そもそも自分のことを分かっていない。コーチングを受けると、自分の心を腑分けしていくような感覚になっていく。

(A課長)
プロのコーチは、クライアントの鏡のような存在です。的確なフィードバックをクライアントに返すことで、クライアントは、他者が自分をどう見て、どう捉えているのかを知ることになります。
コーチングは単発ではなく、一定期間の継続を前提に契約を結びます。その過程で、等身大の自分に… 自己一致の自分がイメージできるようになっていきます。

(Sさん)
そのおかげで、私もコーチャブルになってきた(笑)
アイスブレイクはここまでとして、新年3回目の1on1のテーマを何にするか、この2~3日考えました。毎週1回をベースにやってきたAさんとの1on1は60回になるのですが、これまで何をテーマとしてやってきたか… 振り返ってみました。
その結果は……

(A課長)
その結果は?

(Sさん)
「灯台下暮らし」、でした。

(A課長)
……

60回続けてきた1on1を「灯台下暗し」と語るそのわけとは?

(Sさん)
私たちは化粧品会社に勤めていながら、「化粧品という商材について考えてみる」という1on1をほとんどやっていないのですね。

(A課長)
なるほど… Sさんの経験談や、そこからSさんが導き出したリーダーシップの考え方などは、結構深く語り合ってきましたが、「化粧品とは何ぞや?」という、私たちの生活を支えてくれている商品については、ほとんどテーマにしていない…

(Sさん)
業務報告や業務目標の設定といった一般的な面談とは性格が異なるのが1on1ミーティングなので、何となくそういう流れになったのではないでしょうか?
ただ、資生堂、カネボウ、花王の歴史と、わが社の「アウト・オブ・ブランド戦略」については、テーマにしましたね。

(A課長)
Sさんは、中国を含めた現場のリーダー、指揮官のイメージが強かったので、若いころ商品企画部に在籍されていたことは知りませんでした。
若いころ…という言い方は、ちょっと失礼ですね、スミマセン。

(Sさん)
いえいえ、40年一つの会社にいれば、そうなりますよ。私は入社して最初が研究所総務部、次が本社商品企画部です。私の会社人生の骨格は、若かったころの10年でつくられたというのが実感です。振り返ると、感謝ですね。
現役バリバリの商品企画部課長であるAさんとも、何とか化粧品のことを話題にできるのも、そのおかげです。

(A課長)
Sさんの想いが伝わってきました。「灯台下暗し」の意味も…

(Sさん)
ありがとうございます。これからしばらく1on1のテーマを「化粧品そのものを語ってみる」というのはいかがでしょうか?
マーケティングの側面として、化粧品ほど面白いというか、アパレルのようにファッション商品としても語れます。

(A課長)
Sさんは資生堂が世界ブランドになっていく過程を、「資生堂は日本のソフトパワーとしてのフロントランナー!」と、リスペクトを込めて、その歴史を語ってくれました。
つまり化粧品とは、美・ソフト・文化というカタチとして説明しにくいものを実体として表現してくれる商材ということになりますね。

化粧品は美・ソフト・文化を象徴する商品!

(Sさん)
グッドな解釈だ。そのように化粧品を定義づけると「化粧品は社会に貢献できている」ことを実感することができる。私は40年この会社にいますから、人生の多くの時間が化粧品と共にあった、ということです。何だか感慨深いですね(笑)

(A課長)
私が商品企画部に異動したのは5年前です。新型コロナが、WHOのテドロス・アダノム事務局長によって「パンデミックである」と宣言されたのが3年前の3月11日でした。「3.11」という誰もが記憶に残る日です。そのときのことは鮮明に覚えています。

そのタイミングで見つけたコーチビジネス研究所のコラムが、とても印象に残っており、先が読めないときこそ、流言飛語に惑わされることなく、情報リテラシーを高めていかなければ、と肝に銘じた日々でした。

(Sさん)
どういった内容のコラムですか?

(A課長)
その時は、「新型コロナウイルス 集団心理」でグーグル検索するとトップに出ていました。今はどうかな? …集団心理では、なかなか出てこないようなので、パニックでググってみましょう… おっ、13番目にヒットしました。

(Sさん)
なるほど… 当時の雰囲気が伝わってきますね。マスクの購入をめぐって取っ組み合いの喧嘩も起こっている… コラムは、1938年のラジオドラマの『火星からの侵入』で、パニックが引き起こされた、ということと新型コロナを関連付けている。

『火星からの侵入』は米国をパニックに陥れた?

(A課長)
私は大学の時、社会心理学の講義で耳にした、キャントリルという名前が頭の片隅に残っていたので、詳しく説明しているこのコラムをじっくり読んでみました。

当時はテレビがまだ世に登場していなかったので、ラジオが情報収集の手段として最も信頼できるメディアでした。ドラマの脚本を書いたオーソン・ウェルズ自ら、迫真のナレーションで「火星人の侵略を受けている!」と、あくまでもドラマを前提に語った番組です。

(Sさん)
ところが… 火星人の侵略をマジだと信じてしまった人が一定数いた、ということですね。「まさか!」と思うけど… キャントリルはそのことを報告している。

(A課長)
キャントリルは、「与えられた情報が真実なのかどうか、どう判断しているのか」という観点で、リスナーを4つに分類しています。ここは「なるほど…」とも感じさせる分析です。

  1. 番組を聴くなかで自らが「事実ではないドラマ」だと判断した人
  2. 番組以外の外部情報を得て「事実ではないドラマ」だと判断した人
  3. 外部情報の取得を試みたが、それがうまく機能せず「事実である」と信じてしまった人
  4. そもそも外部情報の取得を思いつかず、一貫して「事実である」と信じた人

(Sさん)
面白いなぁ~

(A課長)
そうなんです。私は「冷静に情報を分析して判断する」という、導き出された教訓に感銘を受けています。新型コロナによって化粧品の需要、売れ方は変わっていくと予想されるので、それをふまえた企画を練っていこう、と取り組んだのです。とにかく正確な情報収集に努めました。

(Sさん)
3年前ですね。

(A課長)
分野別の売れ方にすぐ変化が表れています。とにかくメークの落ち込みが顕著でした。特に口紅…リップです。

新型コロナ禍は化粧品のメーク需要を激減させた! ところが…

(Sさん)
ただうちの会社はスキンケアが強いので、「まあしょうがないか…」といった捉え方で、メークよりもスキンケアをどうテコ入れしていくかが、会社全体のムードでしたね。

(A課長)
そうなんです。ただ私はメークの担当だったので、まいりました。データを追っていくと、すべてが悲観的です。「マスクをどんな時も付けているわけだから、リップは買わなくなるよなぁ~」と、企画者であるにもかかわらず、妙に納得してしまったのです。
痛恨の極みです。

(Sさん)
痛恨の極み…? 

(A課長)
KATEのリップモンスターです。パンデミックから1年後の2021年5月に発売されました。

(Sさん)
ああ… 爆発的ヒットした。

(A課長)
今もすごい売れ行きです。マスクが日本全国で日常化したその時期に発売され、私は「ヒットするとは思えないけど…」と、感じたのです。ところが、SNSでバズってからは、まさにモンスター化しました。コンセプトは「逆転の発想」です! 品質も見事にマッチしていた。花王の底力です。

KATEのリップモンスターは「発想の転換」によって誕生した!

カネボウのKATEは、誕生して四半世紀が経過したセルフブランドメークです。アイメークが得意分野なので、リップは資生堂のマキアージュとかの後塵を拝していました。
そのブランドのリップが歴史的大ヒットを飛ばしたのです。一時はプレステージ市場の百貨店を除く口紅の市場でトップ、5割のシェアを誇っていました。

(Sさん)
Aさんの思いが理解できました。

(A課長)
くやしいですね。シーズは研究所がもちろん持っています。落ちない口紅、コーヒーカップに色が移らない口紅については、各社とも発売しています。リップモンスターも同様ですが、口紅であってもスキンケアの発想をコンセプトに組み込んでいる。

発色とかがリップの魅力であり、売れ行きを左右しますが、リップをつけると唇が荒れる、というマイナスの効果を克服することも別視点のニーズとして存在しています。
現にメンソレータムのリップクリームとかは、化粧品という商品のイメージを全く意識することなく、赤ちゃんから後期高齢者まで男女問わず、すべての人が日常的に使っている商品です。

ファンデーションを限りなくスキンケア品として訴求する、というのはわが社の得意技です。ただシェアの小さいリップに私は力を入れていなかった…
企画者として猛省しました。コーチングを勉強していながら、リフレーミングができていなかった。「化粧品のことは知っている」と、専門家が陥ってしまいがちな「リアルなニーズから乖離してしまう現象」でした。

(Sさん)
「私たちにとって当たりまえすぎる化粧品をテーマにしてみよう」と、リフレーミングしてみた今回の1on1で、Aさんの化粧品企画マンとしての熱情がほとばしりました。
これまで私は、プロコーチとしてのAさんをイメージしながら、1on1に臨んできたようです。ところが、「化粧品とは何だろう?」という、日常業務とはまた別の視点、コンセプチュアルな思いで化粧品を語り合うと、リフレーミングされた1on1が展開できそうですね。

ピンチだからこそ、そこにチャンスがある!

(A課長)
ウイズコロナがいよいよ常態化していくと思います。それは昨年までとは異なる現実的な変化です。ピンチは昨年までで打ち止めにしたい、と思っています。
昨日の日本経済新聞に、リフレーミングを感じさせてくれる柳井正さんのインタビューが掲載されていました。見出しは「ピンチの今こそ“大移動”」です。

新型コロナウイルスが感染拡大したときも毎日、テレビ会議で人に会っていた。今は海外の人の来日が解禁されたことで、どんどん取引先が日本に来ている。僕らも海外に行っている。コロナをきっかけに、人と人がつながる意義を考えられるようになった。

(Sさん)
読みましたよ。後半の小見出しである「米中双方とも味方」からのコメントに、私は響いています。

世界を分断しようとしているのは国家だ。ただ分断は国にとっても良くない。戦争をする方が良いのか。平和的に共存する方が良いのか。覇権争いをやるのが良いのか。当事者は良いかもしれないが、周辺の国は困る。
日本は米中の間にいて、どっちの味方だと言われても、両方とも味方だとしかいえない。敵をつくる行為はやめてもらいたい。

柳井さんの発言は、忖度無用です。歯に衣着せぬ発言は、多くの人の共感を呼ぶのではないでしょうか。

(A課長)
前回の1on1は、「移民」がテーマになりました。柳井さんの最後の語りは、グローバル経営の本質であると、改めて感じさせられます。
とにかく発想は柔軟に! 化粧品の企画マンとして、柔らかい感覚を常に持ち続けていたいと思っています。
Sさん、次回も熱く語り合いましょう!

グローバル経営は海外に出ていく人が「僕はこの国でこういう仕事をしたい」という思いを実現するためにある。だから今こそ「世界大移動」を目指す。事業を通じて世界中のピンチをチャンスに変えていく。

坂本 樹志 (日向 薫)

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