
エグゼクティブコーチは、経営者の言葉を「急がせない」存在
エグゼクティブコーチングの現場で、沈黙が訪れることは珍しくありません。
言葉が止まり、目線が宙を漂い、時間だけがゆっくりと流れていく。
この時間を「気まずい」と感じてしまうとしたら、それはコーチが“埋めよう”としてしまっているからかもしれません。
しかし、沈黙はコーチングの“隠れた主役”です。
特に、経営者のように日々忙殺され、瞬時の判断と発信を求められる人々にとって、“何も話さずにいていい時間”は、ほとんど存在しません。
あるベテラン経営者が、セッション中に言葉を詰まらせ、長い沈黙のあとにこう言いました。
「……誰かにこんなに“待ってもらった”の、いつ以来だろう。」
この一言に、エグゼクティブコーチングの本質が凝縮されています。
コーチは、経営者の言葉を「急がせない」存在です。
焦らず、評価せず、言葉にならない思考や感情が静かに浮上するのを、沈黙の中で共に待つ。
エグゼクティブコーチの在り方の深さが問われる
多くの経営者は、「速く正しく話す」ことに長けています。
そのため、反射的に“正解っぽい答え”を返すことが習慣化している場合もあります。
でもその裏には、まだ言葉になっていない、もっと本質的な思いや葛藤が眠っていることがあるのです。
コーチがあえて沈黙に踏み込まず、空白を信じて待つとき、クライアントは初めて「自分の内側に深く潜る」ことができます。沈黙のあとに出てくる言葉は、往々にして最も本質的で、本音に近いものになります。
「本当は、もうやめたいと思っていたんです。」
「売上じゃなくて、信頼を大切にしたいんです。」
それらは、沈黙を経なければ届かなかった言葉です。
もちろん、沈黙はただ「黙る」こととは違います。沈黙の“質”を保つには、コーチの在り方の深さが問われます。焦らず、寄り添いながら、信頼して待つ。
そして、必要なときにだけ、そっと問いを差し出す。
「今、何が浮かんでいますか?」
「その沈黙には、どんな意味がありますか?」
「言葉にするとしたら、どんな感覚でしょうか?」
エグゼクティブコーチの“待つ勇気”と“沈黙を信じる力”
沈黙を破るのではなく、沈黙の中にある“声”を聴く。それが、プロフェッショナルなコーチの姿勢です。そして、沈黙があるからこそ、「語る」時間が意味を持ちます。
忙しさの中で見過ごされていた大切な価値観、誰にも言えなかった本当の願い、そして、「自分はどう在りたいか」という核心の問い、これらは、静寂の中でしか出会えないことが多いのです。
エグゼクティブコーチを目指す人に伝えたいのは、“話す技術”だけでなく、“待つ勇気”と“沈黙を信じる力”もまた、非常に重要なスキルだということです。
沈黙の時間にこそ、深い気づきが生まれ、言葉よりも雄弁に、経営者の本質が語られることがあります。だから、沈黙を怖がらないでください。それは、クライアントが自分とつながるための“扉”かもしれないのです。
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