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なぜ今、「コーチングを経営のインフラに」なのか

Season 1 コーチングを経営のインフラに ― 人が育ち、組織が自ら動き出す会社をつくる ― 第1回 なぜ今、「コーチングを経営のインフラに」なのか コーチングを経営のインフラに 人が育ち、組織が自走する会社とは

コーチングは管理職のコミュニケーションスキルだけではありません。
経営者の問い、1on1、会議、人材育成など、日常の経営に対話を組み込むことで、人が育ち組織が自ら動き始めます。「コーチングを経営のインフラに」という新しい経営のあり方を考えます。

「社員がもっと自分で考えて動いてくれたら」
「幹部にもっと経営者意識を持ってほしい」
「1on1を始めたが、思ったほど組織が変わらない」

こうした悩みの背景には、個々の社員の能力だけではなく、会社の中で日々交わされている「対話」が関係しているかもしれません。
コーチングを一部の管理職が使うコミュニケーション技法ではなく、経営そのものを支える仕組みとして捉え直す。
本連載では、その意味を「コーチングを経営のインフラに」という視点から考えていきます。

企業を取り巻く環境は大きく変化しています。
市場の変化は速く、将来を正確に予測することは難しくなりました。働く人の価値観も多様化し、かつてのように上司が答えを持ち、それを部下に指示するだけでは組織を動かしにくくなっています。
こうした時代に、改めて注目したいのが「コーチング」です。
ただし、ここでいうコーチングは、部下への質問の仕方や1on1の技法といった狭い意味ではありません。
私はこれからの企業には、「コーチングを経営のインフラにする」という発想が必要なのではないかと考えています。

コーチングは「スキル」だけではない

これまで多くの企業で、「管理職にコーチング研修を受けさせよう」という取り組みが行われてきました。
もちろん、それ自体には意味があります。
傾聴する。承認する。質問する。相手の考えを引き出す。
こうしたスキルを身につけることで、上司と部下のコミュニケーションは改善します。
しかし研修からしばらくすると、「結局、元の指示型マネジメントに戻ってしまった」ということも珍しくありません。
なぜでしょうか。

一つには、コーチングを「一部の管理職が身につけるコミュニケーション技法」として捉えていることがあると私は考えています。
本当に組織を変えようとするなら、もっと広い視点が必要です。
経営者は幹部にどう問いかけているか。
経営会議では、本当に率直な意見が交わされているか。
1on1は部下の評価や進捗確認だけの時間になっていないか。
失敗した社員に対して、「なぜこんなことをしたんだ」と責めるのか。それとも、「今回の経験から何を学べるだろう」と問いかけるのか。
こうした日常の一つひとつが、組織文化をつくっています。

「経営のインフラ」とは何か

電気や水道、道路、通信網など、社会を支える基盤をインフラと呼びます。
普段は意識しなくても、それがなければ社会は機能しません。
企業にも同じようなインフラがあります。
経営理念、人事制度、会議、評価制度、情報システムなどです。
私は、そこにもう一つ、「対話のインフラ」が必要だと考えています。
立場に関係なく考えを語れる。
相手の話を最後まで聴く。
すぐに答えを与えるのではなく、問いを通して考える。
異なる意見を排除するのではなく、その違いから新しい可能性を探る。
失敗を責めるだけでなく、学びに変える。
こうした対話が会社の日常に組み込まれている状態です。
コーチングが経営のインフラになるとは、社内にコーチをたくさん置くことではありません。
「人には、自ら考え、自ら答えを見つけ、成長していく力がある」という人間観が、経営の中に根づいていること。
それが本質だと思います。

経営者の問いが会社をつくる

例えば、業績が悪化した会議で経営者が、「誰の責任なんだ」
と問えば、人は自分を守ろうとします。
一方、「この状況から、私たちは何を学ぶ必要があるだろう」と問えば、人は未来を考え始めます。
たった一つの問いですが、その問いの積み重ねが、数年後の組織文化をつくります。
私は長年、多くの経営者やリーダーの皆さんとコーチングを通じて対話してきました。
そこで感じるのは、組織を本当に変えるのは制度だけではないということです。
経営者と社員の間で、どのような対話が日々交わされているか。
ここに組織変革の大きな鍵があります。

これから本連載では、「コーチングを経営のインフラに」というテーマを通して、
人が育ち、組織が自ら動き始める経営について考えていきます。

経営者への問い

皆さんの会社では、社員に「答え」を与えることと、「問い」を渡すこと。どちらが多いでしょうか。
そして、あなた自身が社員に日々投げかけている問いは、社員を「考える人」にしているでしょうか。それとも「答えを待つ人」にしているでしょうか。

次回予告

第2回「なぜコーチング研修だけでは組織は変わらないのか」

管理職がコーチングを学び、研修直後は意欲的に実践する。それでも、数か月すると元に戻ってしまう――。
問題は管理職本人の意識だけではないかもしれません。
次回は、「個人を変える研修」から「組織を変える仕組み」へという視点から考えます。

CBLからのメッセージ

株式会社コーチビジネス研究所(CBL)では、コーチングを単なるコミュニケーション技法ではなく、経営者・リーダー・組織の成長を支える経営基盤として捉えています。
「社員が自ら考え、行動する組織をつくりたい」「幹部育成や組織づくりを見直したい」という経営者の皆さまと、対話を通じてその会社らしい答えをともに探しています。

国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC)
日本エグゼクティブコーチ協会(JEA)認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

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