無料相談・資料請求はこちら

第9回:配属前後をつなぐ“研修と現場の断絶”をどう埋めるか ─OJTをコーチングで進化させる─

OJTの再設計が鍵になる

新入社員研修を終えた後、しばしば聞かれる言葉があります。
「研修はよかった。でも、現場では全然違う」
「配属された途端、何をどうすればいいのか分からなくなった」
この“落差”こそが、新入社員育成における最大の落とし穴です。
多くの企業では、研修と現場が別々の世界として存在しています。
研修では「考えよう」「主体的に動こう」「失敗から学ぼう」と言われる。
しかし現場に出ると、「まずは言われた通りに」「余計なことはしないで」「ミスしないで」が優先される。
このメッセージの不一致に、新入社員は戸惑います。
どちらが“本当の会社の姿”なのか分からなくなり、結果として最も安全な行動――黙って指示を待つ――を選ぶようになるのです。
この断絶を埋める鍵が、OJTの再設計です。
OJTは本来、「仕事を通して人を育てる」ための仕組みです。
しかし実際には、「仕事を早く覚えさせる」「現場の負荷を減らす」ことが優先されがちで、育成の視点が後回しになってしまいます。
その結果、新入社員は“作業者”としては成長しても、“考える人”としては育ちにくくなります。

コーチング的OJTを導入する

ここで必要なのが、コーチング的OJTという発想です。
これは、仕事を教えないOJTではありません。
仕事を教えながら、同時に「考え方」「学び方」「振り返り方」を育てるOJTです。
その中心にあるのが、問いかけです。
たとえば、作業を教えた後に、こんな問いを添える。
「今の作業、どこが一番難しかった?」
「自分なりに工夫した点はあった?」
「次にやるとしたら、何を変えたい?」
これらの問いは、正解を求めるものではありません。
新入社員が“経験を意味づける”ための問いです。
この意味づけがあるかどうかで、学びの定着度は大きく変わります。
ある企業では、OJT担当者向けに「教えすぎないOJT研修」を実施しました。
内容は、作業説明の仕方ではなく、新入社員一人ひとりの可能性に目を向け、「何が大切なのか」「どこで問いを投げるか」「どこで待つか」等を学ぶものです。

新入社員にとって、OJT担当者は最初のロールモデルである

OJT担当者は最初、「遠回りになるのでは」と不安を感じていました。
しかし数カ月後、新入社員から「自分で考えて動けるようになった」「仕事の背景が分かるようになった」という声が上がり、結果的に手戻りやミスが減少しました。
コーチング的OJTは、短期的な効率を犠牲にするのではなく、中長期の自走力を高める投資なのです。
また、研修とOJTをつなぐためには、「共通言語」を持つことが重要です。
研修で使った問いやフレームを、現場でも使う。
たとえば、
「今回の学びは何だった?」
「今、どんなチャレンジにいると思う?」
こうした言葉が現場で自然に使われると、新入社員は「研修で学んだことが、ここでも生きている」と感じます。
この一貫性が、安心感と学習意欲を支えます。
配属後の新入社員にとって、OJT担当者は“最初のロールモデル”です。
その人が「答えを出す人」なのか、「一緒に考える人」なのか。
「ミスを責める人」なのか、「振り返りを促す人」なのか。
その関わり方一つで、新入社員の学び方は決まります。

コーチング的OJTで研修と現場をつなぐ

研修と現場をつなぐとは、制度を増やすことではありません。
関わり方をそろえることです。
研修で育てたい人材像を、現場でも同じ関わりで育てる。
このシンプルな一貫性が、新入社員の成長を加速させます。
新入社員が配属後につまずくのは、能力不足ではありません。
「どう学べばいいか」が分からなくなるからです。
研修とOJTがコーチングという共通の軸でつながったとき、新入社員は迷わず学び続けることができます。
研修は入口、OJTは本番。しかし両者は切り離されたものではなく、一本の成長の線でつながっていなければなりません。コーチングは、その線を切れ目なくつなぐ、最も実践的な方法なのです。
株式会社コーチビジネス研究所(CBL)は、エグゼクティブコーチの養成を行っているコーチング専門機関です。すべてプロフェッショナルコーチが講師を務める各種研修成プログラムを提供しています。詳しくは下記をご覧ください。

詳しくはこちら:新入社員コミュニケーション1日研修 ─コーチングのスキルで学ぶ 報連相力アップ─

国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

現在受付中の説明会・セミナー情報