
国の現行制度では年収590万円未満の世帯で、公立高校の場合は11万8800円、全日制の私立は同39万6000円まで出している。年収590万~910万円未満は公立・私立問わず年11万8800円を支給する。
維新が求める私立への支援金引き上げや所得制限の撤廃について小野寺氏は「26年度から撤廃する方向の議論を行っていく」と述べた。
(日本経済新聞2月7日「所得制限なし25年度から~自公、維新に提示)」より引用)
「手取りを増やす」から「高校無償化」にシフト!?
毎日のように新聞各紙が「高校無償化」について、熱のこもった記事を掲載しています。
ただし、年末から年初にかけては、国民民主党の「手取りを増やす」というスローガンが、多くの国民の心に刺さったことで、「所得税減税…基礎控除を103万円から178万円に引き上げる」を取り上げる記事が、多くの新聞紙面を飾りました。
ところが…少数野党に転じてしまった自民党ですが、粘り腰を発揮しています。「財源論」です。「住民税が4兆円減る」、という全国知事会の反対声明をアナウンスし、理論武装で対抗します。
バッシングの渦中にあるテレビ業界とは、また「異なる公平性」にプライドを持つ新聞ジャーナリズムは、「政局化」が漂う「手取りを増やす」を取り上げる熱を少し冷まし、財源的にイメージ可能で、かつ「日本の教育のあり方」という、喫緊の課題と認識できるテーマに、軸足を移しているようにも感じられます。
「日本維新の会」は、このあたり巧みですね。「高校無償化」は、維新に合流する前から、前原誠司共同代表が訴えていた主張です。ここにきて現実味を帯びてきました。
「高校無償化」という表現のみだと、「私立も無償にするの?」という、素朴な疑問が浮かびます。「公平じゃないよ!」ということです。
維新の主張は「世帯年収の所得制限を撤廃する。公立高校は全世帯で無償化し、私立高校については、年63万円支給に上限を引き上げる」です。「所得制限撤廃」に踏み込んでいるのです。その上で、上限を63万円とし、維新としての「公平感」を担保します。
前原誠司 維新共同代表は「所得制限撤廃」を主張している
これまでも「高校無償化」は、それなりに進められていました。公立高校の11万8000円の援助は、実質授業料がゼロとなる金額です。私立高校の場合も39万6000円まで支給されています(但し年収590万円未満)。与党自民党は、現行制度でも「公平感」は保てている、とのスタンスだったわけです。
ただ、100万円~200万円ともいわれる私立高校の負担(授業料以外にもさまざまな費用が加算されるのが私立の特徴です)を勘案すると、当該金額では「ほとんど意味をなさない」というのが、維新の「63万円まで支給を高める」という根拠です。
冒頭の引用にあるように、自民党政調会長の小野寺氏は「26年度から撤廃する方向の議論を行っていく」、と言葉にし、維新の提案に歩み寄るのです。その国の文化、価値観の影響を強く受ける「公平感とは?」について、議論が深まる印象が記事から伝わってきますね。
DIに公平性の「E」が加わるDEIがクローズアップされている!
さて、当該コラムはコーチングを語ることです。新聞が、熱を帯びて報道するのは「制度」です。より肝心な「教育の質」についてはスルーしている印象です。
もっとも「教育」は、国家の価値観とも緊密に結びついており(ナラティブ化?)、トランスフォーメーションの難易度は、極めて高い。このことをしっかり受けとめます。そのうえで、「コーチング思考」を駆使して、コラムにしてみようと思います。
「教育」というテーマは、すべての日本国民が「わたくしごと」として体験・体感します。さらに、親になると「子どもの教育という、最も崇高で、かつ最も難易度の高い“事業”」も加わります。
前回のコラムは、「日本は確実に変わった!」という実感を、森保一サッカー日本代表監督のリーダーシップ・トランスフォーメーションによって語ってみました。「教育」につても、そのことを感じたいのですが…なかなか事例が見つかりません。それどころか「日本の学校教育の荒廃(特に公教育)」は、行き着くところまで来てしまっているのでは…という悲観的な感情すら抱いてしまいます。
このようなよもやま話を長女と話していると…「私立は中高一貫校が当たり前だけど、公立も中高一貫校があって、ユニークな教育をやっているみたいよ」、と口にするのですね。
長女は、現在東京に住んでいますが、栃木、茨城との県境に近い埼玉の公立中学に入学しています。高校、大学も私立を経験していないので、娘についても中学受験は考えていないことを宣言(?)していました。ちょっと意外でした。
娘(私にとっては孫)も8歳となり、4月から3年生ですから、いろいろ考え始めているようです。
ちなみに「じじバカ」の勢いもあって、2023年11月1日公開のコラムの後半で、「Sさんの小学1年生の孫娘は英検の5級を取っていた!」の小見出しを付し(仮想の1on1です)、フィクションをまぶして書いてしまいましたが、孫娘は2年生になって英検4級も取得しています。英語が好きになっているようです。
東京に住む長女が「公立中高一貫校」を話題にしたので…
「公立中高一貫校はコラムの“種”になるかもしれない…」と嗅覚が働きました(笑)。ネットでチェックしたところ…結構興味深いことが書かれています。グーグルに「公立中高一貫校」と入力すると、トップ(Search Labs | AI による概要)に、次のようなコメントが現われます。
公立中高一貫校とは、中学と高校を連続して教育する公立の学校です。教育の多様化や個性を重視した教育を目的としており、大学受験を見据えた教育を早期から受けられます。
公立中高一貫校には、次のような特徴があります。
・授業料を含む学費が公立中高並みで安価
・高校受験がない学校が多く、大学受験を見据えた教育を早期から受けられる
・多様な学びで柔軟な思考力が身につけられる
・大学進学でも高い成果をあげている
公立中高一貫校を受験する場合は、作文や面接を含む適性検査が課されることが多く、思考力や表現力が重視されます。……
これだけを読むと、「いいかもしれない…」と感じられます。ただ、この公立中高一貫校が全国にいくつあるか調べてみると…
全国には673校の公立中高一貫校があります。また、全国の中学校数は9,944校です。したがって、公立中高一貫校は全中学校の約6.7%を占めています。
増えていない理由も何かありそうですね。
いろいろネットでチェックしていくと、『公立中高一貫校に合格させる塾は何を教えているのか(青春出版社)』という本が目に止まりました。「塾かあ…」と、今一つモチベーションは高まらなかったのですが、とりあえずアマゾンに注文して読んでみました。
帯に「ひとり勝ち『enaの授業』からわかること」とあるように、著者の「おおたとしまさ」さんが「ena」の授業に参加してみて、その内容をきめ細かく「実況中継」しています。以前書いたコラムの「行動経済学とコーチング 『ケースメソッドMBA実況中継04 行動経済学/岩澤誠一郎』」を思い出しつつ、読んでみました。「大人」と「子ども」の違いはありますが、「知的好奇心については大人も子供も違いはないな…」と、新鮮な気づきを得ています。
タイトルにあるように「ena」という塾の宣伝とも読み取れますが、おおたさんは、ジャーナリストの気概を持って取材に当たっています。
同書は全200ページです。「おわりに」の最後のパラグラフ(199-200ページ)を引用し、次回のコラムにつなげてみようと思います。
未来の社会は今より随分と良くなるのではないかと思う
enaの授業を見て、これは本来公教育の役割なのかもしれないと感じた。適性検査に合格させなければいけないという使命感ゆえ、受検テクニック的な部分も多分に含まれていることはいたしかたないと片目をつむったうえでの話だが。
客観的に問題文を読み、課題を見出し、解決の糸口を探し、自分の考えをわかりやすくまとめる。教科書に出てくる内容だけを使って、十分それができる。そのことを実証していた。
同じことが普通の小学校でもできるはずだ。
1人でも多くの小学生に、小学生のうちに実感してほしい。考える楽しさと、わかる喜びと、そして一生懸命やったからこそのできなかったときの悔しさもちょっとだけ。そうすれば、未来の社会は今より随分と良くなるのではないかと思う。
坂本 樹志 (日向 薫)
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