
── 卒業インタビューから抜粋。「ふてくされた顔」が180度変わるまで、本人は何を感じていたのか
第3回から5回まで、「外から見た彼女の変化」をお伝えしてきました。管理職未経験でタイに赴任し、孤軍奮闘していた女性リーダー。指示待ちだった現地スタッフが自ら動き始めるまでの物語です。
では、ご本人は何を感じていたのか。今回は卒業インタビューのお話から抜粋してお届けします。
Q1. TERAKO屋に出会う前、どんな状況にいましたか?
「毎日、目の前の緊急で重要な仕事に追われていました。本当は緊急度は低いけれど重要なこと── 方針をつくる、戦略を描く── そういうことが、置き去りになっていました」
「そして何より、スタッフが私を信頼していないという空気を感じていたんです。決定的だったのは、お取引先のお客様が会社を見学に来られたとき。スタッフが『なんでこの人たち来たの?』という顔で、ふてくされた表情を見せたんです」
「── ああ、この人たちには、私や会社のお客様を大事にしようという気持ちが、まるでない。すごくがっかりしました。そして気づいたんです。きっと、これは私に何か不満があるからだ、と」
Q2. なぜ参加を決めたのですか?
「タイに赴任する前は、マネジメントという職種をやったことがなかったんです。もちろん、マネージされる側の経験はあるので、『タスクとして何をすべきか』は分かっていました。でも──」
「どういう心構えでマネジメントすべきか。スタッフに、どう接したらいいのか。ソフトスキルというものだと思うんです。それを、学んだことがなかった」
「薄々そう感じていたときに、TERAKO屋のセミナーに出会ったんです。『承認欲求が非常に大事だ』という話を聞いた瞬間、── これだ、と」
「正直、不安はありました。ソフトスキルを、研修で本当に身につけられるのか。本当に、何かが変わるのか。でも、思い切って参加することにしました」
Q3. ご自身は、どう変わりましたか?
「私は、自分の弱いところを見せるのが、本当に苦手でした。仕事をお願いするときも、自分が完全にわかっていないとお願いできない。そんな心理状態でした」
「でも、変わりました。『ちょっとこれはお願いしすぎかな』と思っても、お願いしてみる。すると──『これは任せろ』と部下が言ってくれる」
「ある日、こんなフィードバックをもらったんです。『どんどん仕事を任せてもらえることが、〇〇さんが自分を信頼してくれている証だと感じます』── すごく、嬉しかった」
「それまでも、もちろん信頼していたつもりでした。でも、気づいたんです。信頼を、態度で示せていなかった。『お願いして失敗したらどうしよう』と思っていた自分は、本当に信頼していたとは言えなかった」
Q4. 心理的安全性について、何か気づいたことはありますか?
「過去の私は、『自分は心理的安全性を阻害するような悪いことは、何もしていない』と思っていたんです。でも、違いました」
「心理的安全性は、自分から積極的に何かをして、つくっていくもの。そう、いまは思います」
この一文に、私は何度も立ち止まりました。「悪くない自分」でいることと、「場をつくれる自分」になることは、まったく別のことです。
Q5. 現地スタッフと組織には、どんな変化がありましたか?
「私が見学のときに見た、あのふてくされた顔── その180度反対のことが起こり始めました」
「緊急度は低いけれど重要なことに、自分から積極的に参加してくれるスタッフが増えた。『自分の業務を改善したい』『お客さんにもっと喜んでもらいたい』『そのために自分は何ができるんだろう』── そう考えるスタッフが、増えてきたんです」
「一緒にTERAKO屋に参加した2人のマネージャーも、自分の部下たちとの関係を築き始めた。自分ごととして、組織を引っ張っていってくれる気持ちになってもらえた。これが、一番大きな変化です」
Q6. これからTERAKO屋を検討する人に、伝えたいことはありますか?
「DLQ(対話知能指数)は、役職名がつくすべての人が、知っておくべき基礎的なスキルだと思います」
「これを受けなかったとしても、何かが悪くなるわけではないかもしれない。でも、知った後はこう思うはずです。『過去の自分は、どうしてこんな行動をしていたんだろう。もっと早く知っておけばよかった』と」
Q7. いま、どんな気持ちですか?
「『マネジメントとは何か、よくわからない』── その悩みが、消えた状態です」
「すっきりした気持ち。そして、エネルギーが充電されて、頑張っていきたい── そんな気持ちになっています」
第3回の冒頭で、彼女はこう言いました。
「このようなサービスが世の中にあるんだということが、すごく驚きで、ワクワクしました。今までの悩みはこういうところで解決できるっていうこと、どうして誰も教えてくれなかったんだろう」
あの「ワクワク」から3ヶ月。
ふてくされた顔をしていた現地スタッフが、自分から手を挙げるようになった。「お願いしすぎかな」と躊躇するくらい、どんどん任せられるようになった。
「マネジメントとは何か、よくわからない」── その悩みが、消えた。
孤軍奮闘から、共創へ。彼女の旅は、ここから先、もっと遠くまで続いていきます。
一言まとめ
「悪いことをしていない」は出発点に過ぎない。信頼は言葉ではなく、態度で示すもの。心理的安全性は、自分から積極的につくっていくもの。── 当事者の言葉ほど、深く響くものはない。
このブログは、部下の行動が変わらないと悩むすべてのリーダーに向けて書いています。その中でも、異文化の壁の中で孤独な戦いに挑む海外駐在員、すべての責任を一身に背負う現法リーダー、そして駐在員の成功が会社の生命線である経営者・人事リーダーの皆さんに届けたい。DLQ(対話知能指数)の実践と、現場が動いた実際の成果を、連載でお届けします。
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河原 説子(エグゼクティブコーチ/CBL海外駐在サポート「Polar Star」)
私たち「Polar Star」は、海外駐在歴30年の元大手メーカー北米Executive VP、欧亜5カ国で駐在員500名以上と対話したタイ永住コーチ、グローバル企業で人事20年のプロ、外資系企業でJapan CFOのキャリアを持つコーチ、大手総合商社で海外新規事業を手がけた戦略家── 6人のエグゼクティブコーチが、駐在リーダーの「孤軍奮闘」を終わらせるために集まったチームです。一人で抱え込まなくていい。私たちが、あなたの隣にいます。
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※本記事の内容は、ご本人の許可を得て掲載しています。
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