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「コーチング×森保一日本代表監督」…FIFAランク15位上昇により、旧スポーツ界の誤った「日本のコーチ像」はものの見事にトランスフォーメーションされた!

監督としてのプライドにとらわれて、選手の進言を拒絶するようなことはやめて、よりよいものをつくっていくことにプライドを持つ。学ぶプライドでもって、選手から世界の価値観をいただく。欧州に散らばった選手から多種多様な戦術のことを聞けるのは楽しいし、気になったことを自分から選手に尋ねることも自分はいとわない。
(日本経済新聞1月26日2面「直言~ モノ言う部下は大歓迎~」より引用)

「CBLのコーチング大百科」が開設されたのは何故…?

このコラムが掲載される(株)コーチビジネス研究所のHPとは別に、2022年8月より別のURLで、「CBLコーチング情報局~コーチング大百科」を開設しています。「日本に“ほんものの”コーチングを広める!」という大志を抱き、解説が重ねられています(もうすぐ600話となります)。

米国発の「coaching(語源はサスペンション付の快適な自家用馬車)」は、世紀をまたぐタイミングで日本に入ってきたわけですが、翻訳されることなくカタカナ語の「コーチング」が使われ、それが定着しています。
ただ日本では、戦前に使用が禁止されていた敵性語が解放されると、「スポーツ」という限られた環境のみで、「ing」を付さない「コーチ」というカタカナが使われるようになります。そして… 東京オリンピック(1964年)における東洋の魔女の劇的な金メダル獲得とリンクし、「鬼コーチのスパルタ指導に耐え抜いてこそ栄冠は獲得できる」という、誤ったナラティブ(物語)が、日本全体に刷り込まれてしまいました。「私たちについて」は、このことを覆したい、という願いが込められています。

34年を経て、日本は明らかに変わった!

1989年末に日経平均株価が3万8915円のピークを打って、そこから長きにわたって、「その株価を超えることはなかった」のですが、34年後…去年の2月22日に「その金額はクリア!」されます。感慨ひとしおでした。それもあって、2月28日に、金利があった頃(30年以上前です)を振り返りコラムにしています
そして1年後の現在は、4万円あたりの株価を「あたりまえの感覚」で、自然に受けとめています。つまり、「日本は確実に変わった!」のです。

さて、冒頭の引用に目を転じてください。日本経済新聞日曜版の大型企画『直言』(2面全面)です。本池英人記者の、「監督主導の組織づくりにこだわらない?」という質問に対する回答です。
本池さんは、森保一・サッカー日本代表監督に迫真のインタビューを試みています。森保監督の「本心」を引き出すべく、かなり意地悪な質問を繰り返しているのですね。質問は全部で7つです。森保監督はその一つひとつに、誠実に、丁寧に答えています。6つ目と最後の7つ目の質問を引用してみましょう。

森保代表監督から伝わってくる誠実な態度は「本心」なのか…?

(質問6)
今は企業でも上司と部下の間で対話が奨励される。だが、戦術面にまで口を出す「エースで四番」たちの存在は疎ましくないか。
(質問7)
もしも選手が増長したら? 有能だがチームの調和を乱しかねない存在と、仕事はそれなりでも規律を守る選手と、どちらを選ぶ?

森保監督はどのように答えるのか? (質問6)は450字が3つの「…」で記述されています。2つ目の「…」を引用します。

「どうやってチームをまとめるかという問いへの答えは、いたってシンプル。W杯で優勝したい、世界一になるという共通の目標があるから、目先の試合の先を見据えてチャレンジしないといけない。監督が目標と現在地を伝え続ければ、チームはその距離を埋めようと主体的に自走していく

誠実そのものの人柄が伝わってくる森保監督に、「そうではない(かもしれない)隠された本音があるかも…」との予断をあえて設定し(ジャーナリスト魂?)、質問しているのでしょう。ただし、森保監督は全く崩れません。ブレないのです。代表監督就任時、世界の30位をやっと超えた実力(国際サッカー連盟「FIFA」ランク)が、直近では15位に急上昇です。「すごい監督」が、森保代表監督の「実体」です。
そして私は感動しています。一つひとつの回答は、すべて「コーチング」となっていますから。「主体的に自走」は、まさにコーチングです。

森保代表監督の言葉はコーチングに貫かれている!

(質問7)も3つの「…」で構成されますが、最初の「…」を引用します。

「状況次第。変に縛りつけずに許容範囲を持ってあげたい。みんなの輪にいつも入るわけでなくても、チームとして機能し、結果を出すのなら認めなければ。能力が突出した選手に周りが合わせるということはあっていい。例えばメッシ(アルゼンチン)はそういう存在かも。彼はチームのための振る舞いもできるはずだけれど」

今このコラムを書きながら、去年の10月2日に、<元Jリーグチェアマンの村井満さんは「コーチング×スポーツ」が真実であることを「独自調査」で「証明」されていた!>のタイトルで公開したコラムを思い返しています。「感動そのもの講演」でした。
世界に誇れる日本のトップ選手は、他の選手と何が特化して異なっているのか…その答えは「傾聴だった!」という主旨です。「傾聴」は、コーチングにおけるスキルを超えたスキルです。
森保監督も『直言』インタビューの中で、「聞く(新聞での一般表記は“聴”の字は用いないので)」という表現が繰り返し登場します。この『直言』インタビューの大見出しは「モノ言う部下は大歓迎」の太字が踊っていますから。

村井元チェアマンの「証明」は、森保監督の「実践」でも裏づけられています。それは「世界最大かつ最高レベルのプロスポーツにおけるコーチングの有効性が、この日本でも証明された!」という昂奮です。選手と監督・コーチは対等であり、その環境がケミストリーを起こすのです。
「鬼コーチのスパルタ指導に耐え抜いてこそ栄冠は獲得できる」は、完全に過去のものになったわけです。“ほんものコーチング”を広めてくれるフロントランナーは、実はスポーツ界であり、その“ほんもの”は、すでに森保代表監督が率いる日本サッカーに現出していた! ということです。

森保代表監督の「リーダーシップトランスフォーメーション」をぜひとも体感してみてください!

今回のコーチングコラムは、いつもに比べ力が入ってしまいました。森保代表監督については、これまでもコラムで複数回綴っています。「スポーツ界の誤った日本コーチ像」がものの見事に「トランスフォーメーション」された、その醍醐味を体感していただければ、と思います。

坂本 樹志 (日向 薫)

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