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『JAPAN TRANSFORMATION』、そして「森保ジャパンのリーダーシップトランスフォーメーション」を語り合う1on1ミーティングです!

私と森保監督は指導者のライセンスを取得する「教室」の同期生で、彼の性格はよく知っている。いい意味で鈍感な人だ。周りで何が起きても神経質に反応することができない。それが決断力につながるかどうかまではわからないけれど、苦境になっても動じず、思い切った手を打てる資質は監督として必要なものだろう。
(日本経済新聞11月25日 42面スポーツ1「至言直言 水沼貴史」より)

心理学を学びコーチングの資格を有する新進気鋭の若手A課長と、部長職を長く経験し、定年再雇用でA課長のチームに配属された実践派のSさんとによる、日本経済新聞の記事に触発されての1on1ミーティングです。さて、今回はどのような展開となるのでしょうか?

日本のサッカーは未知の領域に歩足を踏み入れた!

(A課長)
ドイツがスペインとドローです!

(Sさん)
踏みとどまっています!

(A課長)
森保ジャパンのアジア最終予選を思い出しています。ホームにもかかわらず、初戦のオマーン戦で0対1の負け。アウェーのサウジアラビア戦も落とすという、まさかの序盤戦でした。
日本中に森保監督への絶望感というか、99%の日本人が、ワールドカップをあきらめたと想像します。つまり、過去6回連続出場を果たしている日本チームの監督と比べて、能力が伴っていなかった、メッキが剥げた、とそのとき思ってしまったのが日本のムードです。

(Sさん)
ところが! その後6連勝でしたか… 1位のサウジアラビアに次ぐグループ2位で7大会連続の出場につながりましたね。
コスタリカ戦で負けたことで、さらにドラマの予感です。ドイツにしっかり勝っていますから、スペインだって撃破できる!

(A課長)
いけます! 今朝の日経新聞31面の見出しは「日本、堅守崩せず 三苫ゴール肉薄」です。力そのものは明らかにコスタリカを凌駕していた。ただサッカーは何が起こるか分からない!

(Sさん)
実に… だからこそ世界中が熱狂するナンバー1スポーツになった、ということだ。
ドイツ戦の終了ホイッスルが鳴った瞬間、日本中の歓喜の声を集めたら、とんでもない声量になっていたはずです。とにかく凄い試合だった。
25日金曜日の日経新聞2面では「日本サッカー、未知の領域」という見出しで、これまでとは違う、次元の異なるニッポンサッカーの時代が到来したことを、抑えた筆致で分析しています。

(A課長)
私もしっかり読んでいます。同感です。その新時代のとばりを開けた核たる存在が森保監督なのではないでしょうか。監督の采配によって試合の流れが“激変”する、というシーンをこれまで日本人は感じたことがなかったと思います。

つまり、「リーダーシップの“本質”とは何なのか?」について、真剣に考える最高の事例を森保監督が提供してくれた、というのが私の実感です。

(Sさん)
リーダーシップ論に一家言持つAさんらしい捉え方ですね。今回の1on1は、そのあたりをテーマにしてやってみたくなりました。

「森保ジャパン」からリーダーシップの本質が見えてくる!

(A課長)
やってみましょう!
今日の1on1を迎えるにあたって、Sさんとは何回くらい1on1をやっているかな…と思い、調べてみました。

(Sさん)
何回ですか? 毎週と決めてやってきたので… どのくらいでしょう?

(A課長)
実は今日がちょうど50回目なのです。スタートは去年の11月8日でした。初回は、マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱した成功の循環モデルです。

2回目は、ハーバード大学教育大学院教授のロバート・キーガン教授の「成人発達理論」、そして3回目からは、リーダーシップ理論の変遷をテーマに選び、11回連続シリーズでやっています。

Sさんは部長職を長く経験されていましたから、実践で培われた知見と、課長職になったばかりの私の好奇心が響き合って、コーチング型1on1の流れが生まれたと振り返っています。

副業が解禁されたので、取得していたエグゼクティブコーチの資格を生かし、中小企業のオーナーをクライアントとしたコーチングセッションを始めていたので、借り物ではない考えというか、Sさんの身体の内側から伝わってくる話の数々は、本当にありがたかったです。

(Sさん)
Aさんから以前、コーチングでは基本的にホメない、ということを聞いています。ですから、素直に受けとめます(笑)

「森保ジャパン」は4年間という長丁場を経て今がある!

(A課長)
ありがとうございます(笑)
日本では、コーチと言うとスポーツコーチを連想しますが、これまで、コーチングの本質とは異なる“ズレたコーチ像”も跋扈していたように感じていました。ただ、最近はだんだんそのギャップが埋まってきているような印象です。

(Sさん)
そこに森保監督が登場した!

(A課長)
先読みしていただき、ありがとうございます(笑)
世界中が共有する最大のイベントであるサッカーワールドカップの監督は、その要請されるミッションにおいて、最も過酷なリーダーシップだと思います。日本国民の期待を一身に背負います。半端ないプレッシャーです。

(Sさん)
森保監督への評価として最低の基準は、ワールドカップ出場でした。そして決勝トーナメントへ駒を進め、さらにベスト8… 過去の戦績を上回るのが至上命令だ。

(A課長)
森保ジャパンが注目され始めたのは、ワールドカップの最終予選がスタートした本番1年前あたりからだと思いますが、2018年7月に前監督である西野監督からバトンを渡されて以降、4年間チームを率いています。当然、途中の戦績によっては、交代させられます。

(Sさん)
イメージとしては、カリスマ性はあまり感じられませんよね。でもしっかり戦績を残している。

(A課長)
その森保監督はドイツ戦の采配で…何と表現すればよいかな… そう、後半は「君子豹変」しましたね。

森保監督は「君子豹変」した!

(Sさん)
グッドな表現です。「君子豹変する」は、素晴らしいリーダーは意固地になるのではなく柔軟性を持っている、と言う意味ですね。過ちを認めレジリエンスを発揮できるという肯定的表現ですが、誤解している人は多い。

(A課長)
フォローしていだきありがとうございます(笑)
金曜日の日経新聞43面に「光った森保采配 後半に反転攻勢」という見出しの記事があります。詳細な戦術解説がその内容ですが、記者の筆致は踊っています。

日本代表監督に就任してからの4年間、「パッとしない監督」を装っていたのか、それともここぞで振り抜く伝家の宝刀をわざと隠し持っていたのか。そう勘ぐりたくなるくらい、森保監督が後半から打ち続けた采配は劇薬だった。
必要なチューニングを施された日本代表という車は、エンストから立ち直り、駆動をよみがえらせるとドイツの高級スポーツカーをぶっちぎった。

ドーハに派遣されている岸名章友記者が、ライブの臨場感そのまま再現してくれている印象です。フォーメーションが見事にトランスした、という巧みな解説です。

後半開始からの森保監督は5バックに変えた。単に後ろを固めたわけではない。「人数を合わせる」といわれる手で、相手の前線配置にマンツーマン気味に日本の守備陣を当ててロックオンする形だ。
「役割がはっきりした。後は目の前の相手に各人が勝つだけだった」と右DF酒井宏樹(浦和)。日本は前半とは別のチームになった。

(Sさん)
選手たちが監督の意思決定を、瞬時に理解したのではないでしょうか。日頃から積み重ねられてきた監督と選手の間の信頼関係が、最高の舞台で開花し、結実した瞬間です。

森保監督と選手の間には深い信頼関係が醸成されていた…

(A課長)
実質は3バックの超攻撃的布陣です。記事によると、森保監督は4年間の公式戦でこのフォーメーションは見せたことがなく、「ぶっつけ本番に近かった」とありますので、選手たちがいかに自律したチームワークを形成することができていたのか、そしてクレバーだったのか… そのことがリアルに伝わってきました。

先人や外から学べるものは柔軟に取り入れる。驚きの采配の素地には、森保監督の日本人監督としての美点がある気がしてならない。

三苫は一時期クラブで、WBのポジションでプレーしており、そうした選手起用を森保監督はわざわざ欧州に見に行っている。三苫、鎌田、久保建英(レアル・ソシエダ―ド)らが各クラブで「これは」という起用をされれば、逆輸入する形で代表へ送り込んできた。2010年大会で代表を率いた岡田武史氏を訪ね、「(W杯では)サイドを安定させないとやられるぞ」と教わっている。ドイツ戦の判断でその教訓が生きた。

(Sさん)
10月31日に1on1で語り合った「巨人の肩に立つ」ですね。先人たちが蓄積してきた膨大な知恵…これが巨人ですが、そのことを懸命に、そして謙虚に学ぶことで、小さき人とは異なる巨人と同じように遠方も見渡せる視野を獲得することができる… 森保監督は、巨人の肩に立っている、という訳だ。

森保監督は「巨人の肩に立つ」リーダーシップ!

(A課長)
Sさん、選手たちも大変化です。今回代表に選ばれた選手は、26人中19人が現在外国のチームに所属しています。ですから日本のJリーグでは、ほとんどの選手は観ることが出来ません。閉じた日本にあって、名実ともに世界化を遂げている最先端のフロントランナーが2022年の森保ジャパンの選手たちなのですよ。

(Sさん)
確かに… 国内からの選抜組のFC東京の長友選手は、世界最高峰のインテルミラノに所属していましたし、浦和レッズの酒井選手もブンデスリーガで活躍しています。ワールドカップで戦っているときは“熱き日本人”ですが、彼らの本質はすでに国籍を超えているのだと思います。

選手の意識が前回までのワールドカップと明らかに変わっていることが、2面の「日本サッカー、未知の領域」の堂安選手のコメントから伝わってきます。

同点ゴールを決めた堂安は試合後、「欧州はアジアをなめていますからね」と内心、ぎゃふんと言わせる気持ちがあったことを明かした。ドイツでの暮らしとプレーを日常とすることで、等身大のドイツと向き合う「アンファン・テリブル(恐れを知らない子どもたち)」がそこにいた。

そして、こう〆ています。

頼もしいのは、選手に浮かれた様子がないことだ。「ドイツ戦はもう終わったこと。僕らは新しい景色を見るためにここに来ている」とGKの権田修一(清水)。゙終着点を決めない静かなる覚悟こそ、今回の日本代表の一番の美質だろう。

世界化を遂げている選手たちの目線は「新しい景色」!

(A課長)
世界を知る…ということは、メタ認知の視点、つまり相対化ができるということですね。閉じていてはダメだ、ということを森保ジャパンは教えてくれました。
Sさん、いよいよ本題の森保ジャパンのリーダーシップを語りましょうか。

(Sさん)
ええ、まとめに入りましょう。

(A課長)
Sさんと話すうちにリーダーシップを企業の枠というか、組織論を超えて、もっと広い視点で捉えてみようと、イメージが膨らんできました。「リーダーシップの本質は何か?」に対する最も短い、簡潔な答えを今想起しました。「影響力」です。

(Sさん)
なるほど… その射程が企業にとどまるのか、それを超えて広がっていくのか、と捉えるとパワーが格段に違ってくる。

(A課長)
10月24日の1on1では、経済学のキーワードである「ソロー残差」がテーマになりました。「経済成長のうち、資本や労働の増加で説明できない謎の部分」のことですが、要は“定性的な何ものか”によって新市場や新技術の開発…すなわち新たな投資が発生し、それが連鎖拡大することで連続的な経済成長が起こる、という結論です。
つまり森保ジャパンこそが“定性的な何ものか”であり、波及効果が生じているのです。

「森保ジャパン」のリーダーシップの本質は途方もない「影響力」!

(Sさん)
日本全体にインパクトを与えた「すごいリーダーシップ」が発揮された、ということだ!
ただ、“定性的な何ものか”という表現は感覚的にわかるのですが、腹落ちできる言葉を見つけたい、とずっと考えていました。

(A課長)
ということは見つかった、ということですか?

(Sさん)
「感動」です。

(A課長)
絶妙なワードだ! そういえば「感動」はソニーを大復活させた平井一夫さんが、大きな声で訴えた言葉ですね。ソニーウォッチャーのSさんならではの視点だ。

(Sさん)
ありがとうございます。平井さんの「感動」は現在のトップである吉田憲一郎CEOにも引き継がれています。ソニーグループのパーパスは「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」ですから。

ウェーブのごとく新市場や新技術が開発され、波及していくその起点には「感動」があると思います。

(A課長)
つながってきました。25日の日経新聞23面のマーケット総合欄に「サッカーW杯関連株上昇」の見出しで、サイバーやミズノに買いが入っている、という記事が載っています。

(Sさん)
翌26日土曜日にも関連記事がありましたよ。見出しは「W杯観戦、ネットで変革」です。サイバーエージェントの藤田晋社長とアカマイのトム・レイトンCEOが並んでいる写真付きの記事でした。

私は藤田社長から漂ってくる人柄というか、そのリーダーシップは「まさに自然体スタイル!」と勝手に受けとめているのですが、アベマの視聴が1000万人と発表されており、とんでもない波及効果が起こっていることを知りました。
そして地上波の視聴については、次のようにコメントされています。

一方、NHKが地上波で放映した対ドイツ戦の番組平均世帯視聴率は35.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。サッカーW杯における日本の初戦で比較すると1998年以降で過去最低となり、ネット視聴の拡大を印象付けた。

「JX!」JAPAN TRANSFORMATIONの予感…

(A課長)
私は今日の朝4時からアベマでドイツとスペインの試合を、ベッドの中でカメラを切り替えながら見ていました。解説もテレビの松木さんと比べて、プロっぽくてよかったですね。スマホのよさを実感しています。
まさにトランスフォーメーションですね。これまで言葉が先行していましたが、いよいよ新たなステージに移行してきた…

(Sさん)
Aさんの言葉で、最近読んだ日本の未来戦略 JAPAN TRANSFORMATIONを思い出しました。「新日本経済連盟」が発表した日本の未来戦略を提言している本です。

キャッチフレーズは「もう一度、日本を開こう」です。表紙は楽天グループのトップで新経済連盟代表理事の三木谷さんと、サイバーエージェント社長である副代表理事の藤田さんが腕を組んでいる写真です。
プロローグとエピローグ、そして7つのパートで構成されています。そのタイトルを紹介します。

(Prologue)アントレプレナーの力で日本を変えよう
(PART1)逆襲のために「日本社会の前提」そのものを変えよう
(PART2)DX化で行政もエフェクティブな組織に変われる!
(PART3)日本が「スタートアップ大国」になるために必要なこと
(PART4)「カッコいい日本」をブランディングしよう
(PART5)副業ビッグバンがやってくる!
(PART6)教育に求められる「HOW」から「WHAT」へのシフト
(PART7)日本のDXを「骨抜き」にしないために
(Epilogue)声を上げよう ともに社会を変えよう

(A課長)
日本のトランスフォーメーションですか。壮大だ!

(Sさん)
ワクワクする内容です。「森保ジャパン」の視線はすでに世界です。前回の1on1はオープンソースをテーマにしました。もう辺境の島国という物理的な場所からの視点は意味をなさないような気がしています。メタバースも広がっていきますから、その時空に壁を感じる必要はない!

(A課長)
森保監督のリーダーシップは、素晴らしい技能と強いメンタルをもった選手たちとのコラボレーションによって生み出されたリーダーシップトランスフォーメーションということで決まりですね。コーチングを常に考えている私は、そこにコーチングの3原則を見出しています。
それは、「対等で双方向な関係」「全体主義ではなく個々を活かす」「現在進行形としての継続」です。

(Sさん)
今回の1on1もしっかりまとめることが出来ましたね。引き続きコーチング型1on1をやっていきましょう!

坂本 樹志 (日向 薫)

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