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米国発のコーチングはキリスト教を背景とする「個人主義」がその原点にあるのかもしれない…

中才は肩書によって現れ、大才は肩書を邪魔にし、小才は肩書を汚す。(山本五十六)

心理学を学びコーチングの資格を有する新進気鋭の若手A課長と、部長職を長く経験し、定年再雇用でA課長のチームに配属された実践派のSさんとによる、2024年9回目の1on1ミーティングです。

2024年2月22日、日経平均株価が史上最高値を更新した!

(A課長)
日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新しました!

(Sさん)
やっとたどり着きました。「失われた30年」は、まさに株価に象徴されていたわけで、今後その「30年」が話題になることは、圧倒的に減っていくと思います。

(A課長)
そういうことですよね。

(Sさん)
ですから、今日のアイスブレイクは「株価最高値更新」しかないと考えています。ただ、話はじめると、私のいつものクセで、すべてがその話題に終始してしまいそうなので、冷静を心がけます。私がビジネスコーチングに関する質問をし、Aさんが応えてくれる、という、コーチング型1on1が軌道に乗ってきたのに、元に戻ってしまいますから。

Aさんは、部下である私のサイドに徹底的に立って、ずっと1on1ミーティングをやってくれました。プロコーチになると決めた以上、その思いを、1on1を通じてお返ししたい。

(A課長)
少し大げさですよ(苦笑)

(Sさん)
失礼、感情が高ぶると、ついつい大げさな表現になってしまう。冷静さを保つことがプロコーチの要件であることを、前回の1on1で学んだばかりでした。クールダウンします。
「株価最高値更新」で感じたことについては、シンプルを心がけます。

(A課長)
いえいえ… アイスブレイクなので、Sさんらしく「愉快な講義」でお願いします(笑)

日本の1990年以降は、現在の中国不動産バブル崩壊と相似形…

(Sさん)
ありがとうございます。
1989年末の大納会の日に株価が3万8915円となって、それがピークであったと私が悟ったのは… 1年くらい経った頃だったと思います。1990年の年初からしばらくは、「まだ持ち直す」と思っていました。反動減だと感じていた株価は、あれよあれよと下がり続けます。「土地神話」の崩壊が実感されてきて、さまざまな膿が白日化されていくわけです。市場はバブルであることを受けとめるしかなかった。

(A課長)
私はまだ赤ちゃんでしたから、遠い歴史書の断片であり、まったく実感できない(笑)

(Sさん)
だと思います。1987年にNTT株が上場された際、抽選方式がとられたことで、個人レベルでの株式投資ブームが始まります。「株は玄人がやるもんだ」、という価値観が払拭された印象です。

(A課長)
ということは、Sさんも…

(Sさん)
ええ、新入社員の時から、こつこつ積み立てた社内預金の金額が、限度額の400万円貯まったので解約し、申し込みました。幸運と言ったらいいのかな? 抽選に当たり、NTT株を手に入れています。株式初体験であり、高揚感に浸りました。

ちょうど2人目の子どもが妻のお腹の中にいることがわかって、手狭になった社宅から引っ越そうと、家探しを始めた時期で、「株式投資」を恐る恐る始めています。とにかく凄い勢いで株価が上昇しているので、私もユーフォリアに冒されてしまいました。

NTT株上場が「株は玄人がやるもんだ」を払拭した!?

(A課長)
社内預金制度…というのがあったんですか?

(Sさん)
はい、今はもう跡形もないですが、当時の日本企業の多くが、福利厚生制度の一環として導入していました。日本の経営家族主義が、まだ機能していた頃です。銀行金利を大きく超える社内金利が設定されていましたから、従業員のほとんどがその制度を利用していたと思います。市場金利も高かった。

それから、住宅資金貸付制度もありましたよ。会社が三菱銀行と提携して、従業員に金利3%で貸し付けてくれました。限度額は1200万円です。

(A課長)
3%ですか… ちょっと高いですね。

(Sさん)
そう感じるでしょうね。Aさん世代は信じられないと思いますが、1989年当時の銀行による住宅ローンの平均金利は、変動の場合で6.5%です。しっかり記憶しています(笑)
“まともな”金利が存在していた時代でした。

(A課長)
まさに歴史だ…(笑)

(Sさん)
当時は、ほとんどのマンション、一戸建てが抽選方式でした。人気物件は50倍なんていうのも珍しくなかったんです。
5歳の長女を連れて、土日は車で関東全域のマンションを中心に内覧したり、申し込んだりを、1年半くらいやりました。20回以上抽選に外れ続けて、やっと当たったのが、今住んでいる埼玉の片田舎の自宅です。そのとき、株を全て売却し、頭金に充てました。1989年の9月です。なので、結果的に「売り抜ける」ことが出来たんです。ラッキー以外の何物でもない。

もし家の抽選に当たっていなかったら、株は持ち続けていたでしょうし、「塩漬けだ~」と叫びながら、株価暴落に立ちすくんでいたと思います。「人生とはわからないものだな~」という教訓を得ました。

1989年末の株価3万8915円は、34年経って、やっとその額まで届きました。ただ、当時、日本中が熱狂していたのと比べて、今このときの状況は全く違います。

日本的経営の美質もバブル崩壊により、文字通り崩壊した!?

(A課長)
どう違うのですか?

(Sさん)
2月24日、土曜の日経新聞で大特集が組まれていましたね。6面をめくると、7面も使った見開きの紙面に、度肝を抜かれました。戦後、株式取引が1949年に再開されてから2024年2月22日までの75年を辿る折れ線グラフが、2面全体を占拠しています。新聞紙2面の幅は、81.2㎝です。その幅で1つのグラフを配したわけですから、日経新聞の歴史上、初めての試みだと想像しています。

下段では、ファクトである9つのグラフと表を掲載し、34年間を分析しています。Aさんの疑問に対する解答を、私はその中の一つのグラフに見出しています。「バブル崩壊後の累計売買額」で、見出しは「個人は日本株を売り越し」となっています。

それを見ると、今回の株価高騰の背景は、外国人投資家が買いまくっての結果です。売る人がいないと株は買えないので、つまり日本の個人投資家はどんどん売って、海外投資家が買っているわけです。つまりキャピタルゲインは、外国人が得ています。日本人のうち、長期で保有していた人は、ゲインもあるでしょうが、かなりの人はトントンか、キャピタルロスを招いているかもしれません。

日本人はバブル崩壊がナラティブ化しており、トラウマ感がぬぐえていません。あまりにも急速に株価が上昇しているので、ビビってしまい、「トンビにアブラゲ」状態になっているのではないでしょうか。

(A課長)
なるほど… Sさん的解釈のようにも感じますが、34年前を体感しているSさんなので、妙な説得力を感じる(笑)

(Sさん)
1989年の株価は、土地神話を背景に、幻想の信用創造でお金が膨張しまくったんです。異常な過剰流動性です。外国人は傍観者で、日本人同士の完全なゲームといっていい。ほとんどの人が踊りましたから、崩壊までは、多くの人がその恩恵を受けている。今回の株価高騰とは様相が全く異なります。

辺境の島国のバブルは日本人全てが踊ったチキンゲーム!?

失礼、アイスブレイクのはずが、しゃべり過ぎだ。クセはなかなか治らない(苦笑)。本テーマのビジネスコーチングをやりましょう。
Aさんはエグゼクティブコーチでもありますから、クライアントは経営層が多いと思います。ビジネスに関して、どんなテーマが中心となりますか?

(A課長)
う~ん、さまざまですね。ただ…後継者について悩んでいるトップが多い。部下育成です。広く捉えると、リーダーシップの分野となります。

(Sさん)
そうですよね。リーダーシップに行き着きそうだ。2年以上前から始めたAさんとの1on1で、私がリーダーシップに悩んでいた過去を… 問わず語り、と言っていいかな… ついつい言葉にしてしまうので、Aさんは「リーダーシップ理論の変遷」を解説してくれました。

Aさんは「自分の体験を話すことはあまりしませんが、さまざまな理論を紹介することはあります」と、言いましたよね。振り返ると、そのスタイルは、当初から一貫していたと気づかされます。

(A課長)
思い出します。リーダーシップスタイルも、時代と共に「変遷」してきました。

(Sさん)
実感されます。その変化に適応できていない企業のトップや管理職が、白日の下に晒されるようになった。パワハラをパワハラと実感できない昭和の経営者、管理者が、いまだに生存していることに、気づかされます。
と言うか…「何と多いのか!」という感じですよね。「心理的安全性」というワードは米国発ですが、日本で話題にされるようになったのは最近のことです。

私は「実践重視」で、ずっとやってきましたから、理論書はあまり読んでいません。ですから、とても勉強になった。もっとも2年前は受け身だったので、ビジネスコーチになると決心した以上、Aさんが退職する前に、再勉強しておきたい。

現代日本で心理的安全性がブームとなるのは、心理的安全性が存在していないから…?

(A課長)
私の退職もあと1カ月に迫ってきました。Sさんだって同様だ(笑)

(Sさん)
私もAさんも退職が開示されたので、やりやすくはなりましたが、「二人して、いつも笑いを飛ばしながら、何かやっている…」と、コーチングをわかっていない人は、少しナナメに見ている感じだ。「コーチングに、誑かされている」と、思っている人もいるようですよ(笑)

(A課長)
(笑)…「コーチング」という英語のまま、米国から輸入されたこともあり、誤解された向きもあります。ただ、Sさんが言葉にした「心理的安全性」の重要性が広がってきたこともあって、社内にその環境を醸成するためには、コーチングを導入することが求められる、という「気づき」が日本でも形成されつつあります。

ただ、米国で生まれたコーチングはキリスト教の影響が濃厚です。「個人の確立」が原点にありますから、その本質はかなりハードです。ですから、日本の文化、日本人の感性に沿った日本流のコーチングが望まれているように感じています。

「米国の企業経営者の7割にコーチが付いている」といわれる状況は、まだ先になりそうですが、コツコツやっていこうと思っています。

(Sさん)
そういうAさんの言葉が好きだなぁ~ 私は気が短いので、ショートカットでやろうと思ってしまう。コーチングによって、「待つ力」を体得したい(笑)

心理的安全性の鍵は“日本流”のコーチングに見出せる

(A課長)
Sさんは乗せるのが上手い(苦笑)
CBLコーチビジネス研究所の「CBLコーチング情報局」で、リーダーシップ理論を一つずつ、簡潔に説明してくれています。それを共有しながら、リーダーシップ理論を時代別に押さえておきましょうか。

(Sさん)
やりましょう!
私が係長時代… 課長試験の準備期間に、三隅二不二の「PM理論」に凝ったことをAさんにお話ししたことがきっかけで、リーダーシップをテーマとした1on1がスタートした。
ただ、その時も言いましたが、理論と言えるのは、その「PM理論」しか勉強していない。

(A課長)
そうでしたね。「リーダーシップ行動論」の中心理論です。サイト内検索欄に「PM理論」と入れてみましょう… 出て来ました。

社会科学の分野で世界に認められた日本発の理論は少ない中で、このPM理論は世界的に評価されたリーダーシップ理論です。社会心理学者の三隅二不二が九州大学の教授であった1966年に発表しています。

有名な4象限の図表も添付されていますね。

リーダーシップを、目標達成機能である「Performance」と集団維持機能の「Maintenance」の2軸に区分し、その強弱の組み合わせで4パターンに分類しています。強く出ているのをPとM、弱いのをpとmとし、PM型、Pm型、pM型、pm型に象徴化させています。そして調査の結果、PM型を最も好ましいリーダーシップスタイルであることが導き出されました。

(Sさん)
とてもわかりやすい。ただ、PM型はスーパーマンです。これを理想として追いかけようとすると、病気になりそうだ(笑)

「PL理論」スーパーマン志向?

(A課長)
そうなんです。アドラーの「自己理想」、ロジャーズの「理想的自己」につながってきます。
この「唯一最善のリーダーシップ」という視点が外されていくのが「条件適合理論」です。

リーダーシップ理論で「行動論」に続いて生まれてきた理論体系が「条件適合理論」です。「行動論」は高く評価されている理論です。ただし、リーダーシップを発揮するところの“場”について触れていません。この点に着目し、業績を上げるリーダーシップと組織状況の関係について解明を目指したアプローチが、「コンティンジェンシー理論」です。心理学者のフィードラーが提唱しました。

(Sさん)
社会変化に応じて、それまで評価されていた理論に対し、疑問を感じた研究者が試行錯誤を経て、新たな理論を確立していくプロセスが伝わってきますね。この理論がいかに画期的であったのかが、最後のコメントで記されている。

コンティンジェンシー理論が「画期的である」と評価されたのは、
「組織の置かれている状況により、効果を上げるリーダーシップスタイルは異なる」「唯一最善のリーダーシップスタイルというものは存在しない!」
という「条件適合理論」が体系化されていく、その帳を開いたことに意義が見出せるのです。

唯一最善のリーダーシップスタイルというものは存在しない!

(A課長)
リーダーシップ論は社会科学系の理論です。自然科学と違って「リベラルアーツ」の視点が感じられます。コーチングと通じるものがある。「条件適合理論」としての完成度を高めた理論が、P.ハーシィとK.ブランチャード が提唱した「SL理論」です。

「唯一最善のリーダーシップスタイルというものは存在しない!」という条件適合理論体系の中で、もっとも洗練された理論が、このSL理論です。
SL理論は、1977年にP.ハーシィとK.ブランチャード が提唱しています。SLとはSituational Leadership の頭文字であり、状況対応型リーダーシップと訳されます。

(Sさん)
Aさんは、この理論を評して「エレガント」と言った。印象に残っています。CBLコーチング情報局は、「洗練されている」という表現だ。通じるものを感じますが、「そのこころ」を紐解いていただけますか?

(A課長)
シンプルな、そして深く考えさせる言葉を用いるのがコーチングです。つまり「端的にわかりやすい表現」が求められます。「このコーチ…何を言っているのかわからない」と、クライアントが感じるようだと、セッションは機能しません。

「コンティンジェンシー理論」の曖昧さが、この「SL理論」にはありません。ですから、一様ではない部下に対して、どのように働きかけていけば、それぞれの部下のパフォーマンスが向上するのか、その処方箋がクリアに示されています。

「SL理論」は、シンプルでエレガント!

(Sさん)
A課長が「SL理論」を推しているのが伝わってくる。ただ、部下の個性に応じて、リーダーシップスタイルを変えていく、というのも大変だ(笑)

(A課長)
ええ、だからこそコーチングなんです。コーチングの3原則が体感できるようになると「SL理論」の求めるリーダー像が見えてきます。

(Sさん)
やっぱりコーチングだ(笑)

(A課長)
カリスマ型リーダーシップ」と「変革型リーダーシップ」については、2月14日の1on1でテーマアップされました。現在にもつながっていく、リーダーシップ論です。ただし、このリーダーシップが実体として発現されるのは、フォロワーの存在が重要なカギを握っています。CBLコーチング情報局の「フォロワーシップとは?」を開いてみましょう。

フォロワーシップは、メンバーからリーダーへの一方通行ではなく、リーダーを含めて組織構成員全体が共有することなのです。

フォロワーの役割には「健全な批判的思考」と「ビジョン実現への積極的関与」の2軸が存在するとし、強弱の組み合わせを5つに分類してフォロワーのタイプを描きました。

(Sさん)
フォロワーにもさまざまなタイプが存在するということだ。最後のまとめもコーチングになっている。

真のリーダーシップとは、双方が緊密な関わり合いを通じて、理想的な組織環境を生み出していくことなのです。ケリーの研究からも、コーチングの意義がしっかり伝わってくることが見て取れます。

「カリスマ型」「変革型」も「フォロワー」との化学反応によって実体化していく…

(A課長)
こうやって、リーダーシップ理論の流れを概観してみると、社会の動向と伴走しているのが理解できます。今日はここまでとしておきましょうか…

(Sさん)
了解です。Aさんのように、「CBLコーチング情報局」でアップされるキーワード解説をまじめにチェックしているわけではないのですが、かなり前だったかな… 山本五十六の言葉を取り上げた解説に響いています。理論は実践に応用されて価値を持ちます。その点、山本五十六のリーダーシップは、実践によって昇華されていった哲学です。“日本流”のコーチングを考えるヒントになるかもしれませんね。今日の最後にAさんと共有しておきたい。

(A課長)
グッドです! サイト内検索欄に「山本五十六」と入れてみましょう… 出てきました。タイトルは、「コーチングのトータルな視点を山本五十六の名言で理解する!」です。この箇所がポイント…かな?

この名言は「統率」を主眼に、一行目のみが抜き出され人口に膾炙している印象です。ティーチングです。ところが、それに続く2行目、3行目を読み込むと、まさにコーチングであることに気づかされます。

(Sさん)
最後は、山本五十六とコーチングが融合しましたね。次回もよろしくお願いします!

やってみて、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

坂本 樹志 (日向 薫)

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