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前半は「京都駅のトリビア」、後半は「二者択一」を否定するラモス・ホルタ氏、柳井正さん、河合隼雄さんを語り合う1on1ミーティングです!

心理学を学びコーチングの資格を有する新進気鋭の若手A課長と、部長職を長く経験し、定年再雇用でA課長のチームに配属された実践派のSさんとによる、2023年40回目の1on1ミーティングです。

Sさんは今回、家族帯同の京都でワーケ―ションしています!

(A課長)
おはようございます。今日は京都でしたっけ?

(Sさん)
ありがとうございます。Zoomのおかげで、ワーケーションも可能になって嬉しい限りです。京都は4日間滞在しましたが、せっかくなので昨日奈良に入っています。

(A課長)
Sさんは欲張りだ(笑)

(Sさん)
姪っ子に二人目の子どもが生まれので、妻と長女が訪問計画を立てたんです。孫も連れて4人を車に乗っけて、金曜日の早朝に埼玉を出発し、途中静岡の物流センターに立ち寄っています。グループ各社の環境目標の進捗を追いかけていくのも、私たちホールディングスのテーマですから、しっかりヒアリングしてきました。

(A課長)
Sさんが物流企画開発の部長の時に集約した物流センターですね。いかがでしたか?

(Sさん)
順調です。コストセンターとしての意識もしっかり共有できていますから、環境対応がコスト削減にもつながっています。いい流れですね。

(A課長)
それはよかった。

(Sさん)
京都には夕方に着いています。高速道路はほとんど自動運転にしましたから、疲れもなく、いい旅ができています(笑)

自動運転によって、埼玉~静岡~京都の長旅も疲れ知らず!

(A課長)
それもよかった(笑)

(Sさん)
姪っ子は神戸なのですが、京都駅前のリーガロイヤルホテルを拠点にしました。

(A課長)
場所は関係なくこうやって1on1ミーティングができるのはありがたいことです。以前の1on1で、「ワーク・ライフ・バランスではなくワーク・イン・ライフこそあるべき姿だ」、とSさんと共有しました。仕事と生活は別モノと考えるのではなく、生活の中に仕事があっていい。Sさんはそれを実践している。大賛成です。

(Sさん)
IT環境の進化によって実現したわけですが、「仕事のスタイルも変化に対応する必要がある」、とAさんが言ってくれるので、私もストレスなく、というか、上司であるAさんに忖度無用で… あっ、いえ、時と場合によっては、忖度しているかもしれませんが、こうして家族を帯同しながら仕事もできる。

(A課長)
(笑)… 忖度ゼロの関係を構築するのがコーチングです。ところで、ルーチンの朝マックは旅先でもやっているんですか?

(Sさん)
もちろんです。京都のマックで朝早くやっている場所を調べたところ、京都駅の八条口のマックが朝5時半からなので、4日連続で通っています。朝マックのバリューセットは10種類以上ありますから、チョイスを変えながら早朝は2時間、まずはウォーミングアップ的に仕事をします。

(A課長)
このところ、涼しくなってきたので早朝は気持ちいいですね。Sさんの影響で私も朝型に完全にシフトしました。ベタな格言の「早起きは三文の徳」が実感できます。Sさんに感謝です。

(Sさん)
ありがとうございます。なにごとも感謝されるのは嬉しい(笑)
京都は久しぶりですが、京都駅周辺は変わりましたね。美しく整備された。烏丸口とくらべて八条口側は雑然としていました。複合商業施設のアバンティくらいしかありませんでしたが、それも大改装され、ドン・キホーテや埼玉発祥のしまむらなどの大型テナントが入っていて、ちょっと驚いています。
ホテルも新設ラッシュです。景観が全く変わりました。京都駅の朝マックは5時半早々にもかかわらず、56席がすべて埋まっていましたよ。外国人客がほとんどで、「さすが京都!」を実感しました。

ホールディングスは銀座ですから、コロナ前は、同じく5時半からやっている東京駅八重洲南口店によく行っていました。見たところ、ほとんどが日本人だったので、世界に誇る観光都市京都は違いますね。
中国上海でも朝マックしていましたから、習慣はなかなか変えられない(笑)

アバンティのある八条口側は見違えるように整備されていた!?

(A課長)
Sさんはマックフリークですから、マックに関するトレビアが勉強できる(笑)

(Sさん)
トレビア… その言葉に刺激されてしまいます(笑)
東京駅のマックは席数が151あります。あんな狭い空間で、よくもまあそれだけの席を作ったなぁ…とあきれてしまいます。モバイルPCを置けるスペースもありませんから、そこでは仕事をするのは不可です。

(A課長)
以前の1on1で、Sさんからその話を聴いて私も行ってみました。私はスタバ派なので、あまりマックに行かないんですね。たしかに狭すぎる(笑)

(Sさん)
でしょう!(笑)
マックを終えて、朝の京都駅もうろうろしてみました。中央の巨大空間の吹き抜けの高さは60メートルです、日本一のガリレアですね。天井はすべてガラスで、自然光で満たされます。高さ45メートルのところにスカイウエイが渡されていますから、そこからの眺めは圧巻です。

(A課長)
京都駅についても詳しい。トレビアも飛び出しそうだ(笑)

京都駅の0番線ホームは558メートルで日本一の長さ!

(Sさん)
じゃあ一つ(笑)
日本で一番長いプラットホームが京都駅にあるんですね。0番線で、長さは558メートル。正確に言うと、0番線そのものは323メートルで、連続して30番線の235メートルがつながっています。30番線は関空特急の「はるか」専用です。
それぞれ不思議な附番ですが、1992年に駅の拡張工事が行われ、新幹線ホームの11~14番線は変えられないので、在来線を10番線までに納める必要性が生じ、苦肉の策として0番線を加えた、という経緯です。ちなみに1番線は貨物列車の通過専用線です。

(A課長)
私が「トレビアを」と言わなかったら、このトレビアは登場しなかった(笑)

(Sさん)
恥ずかしいので、鉄オタは開示しないことにしていましたが、Aさんのコーチング力で思わずカミングアウトです。

(A課長)
いえ、それはコーチングとは関係ないと思いますよ(笑)
さて、今日のアイスブレイクも盛り上がったところで、テーマに移りましょう。久しぶりに10月1日の日経新聞日曜版2面、「直言」をやりましょうか。

(Sさん)
いいですね。今回も日本ではあまり名前が上がることのない、世界的な著名人でしたね。確かノーベル平和賞を受賞されている。

(A課長)
はい、東ティモール大統領のラモス・ホルタ氏です。大見出しは「米中二者択一迫るな」、小見出しは「国際法は小国の支え」「西側の意思決定は遅い」です。

東ティモールについては、インドネシアから独立するにあたって悲惨な歴史を経ていることは、なんとなく知っていましたが、この際なので、いろいろ調べてみました。Wikipediaにラモス・ホルタ氏が登場するところを共有しますね。Wikipediaの表記は、ジョゼ・ラモス=オルタ氏となっています。

「二者択一」を徹底的に否定するラモス・ホルタ氏!

1977年にはインドネシア軍が包囲殲滅作戦を展開。スハルト政権は東ティモールの抵抗に対して激しい弾圧を加えたため、特に占領直後から1980年代までに多くの人々が殺戮や飢餓により命を落とした。インドネシア占領下で命を失った東ティモール人は20万人にのぼると言われている。

1991年、平和的なデモ隊にインドネシア軍が無差別発砲し、400人近くを殺したサンタクルス事件は、住民の大量殺戮事件として世界的に知られることになった。また、官吏や教員などを派遣して徹底した「インドネシア化」も推進した。フレティリンの軍事部門であるファリンテルは民族抵抗革命評議会(CRRN)の主要メンバーとなり、シャナナ・グスマンが議長になったが、インドネシア政府はグスマンを逮捕し抵抗運動を抑え込んだ。

1996年12月、ノーベル平和賞が現地カトリック教会のベロ司教および独立運動家のジョゼ・ラモス=オルタに贈られた。

(Sさん)
なるほど… Wikipediaを読み進めると、国連の暫定統治を経て2002年に独立を果たしているものの、その後も混乱続きだ。ホルタ氏が登場するのは… 2008年ですね。

2008年2月11日、ラモス=オルタ大統領やグスマン首相が2006年の国軍反乱以降に反政府勢力となったアルフレド・レイナド(英語版)少佐指揮の武装集団に襲撃された。この際にレイナドは死亡し、ラモス=オルタは重傷を負ったがオーストラリアの病院での治療により一命を取り留めた。ラモス=オルタ大統領は4月17日に職務に復帰し、襲撃事件に伴う非常事態令も5月8日に解除された。

国連によるUNMITは2009年も延長されたが、同年3月には国家警察への権限移譲が開始され、混乱は徐々に収束しつつある。
この一連の独立に至る記録が、2013年にユネスコ記憶遺産に登録された。

(A課長)
文字通り死線をかいくぐっての今があるわけです。日経新聞の略歴によると、2022年に2度目の大統領に就任されている。

ジョゼ・ラモス・ホルタ(Jose Ramos-Horta) 1949年生まれ、73歳。シャナナ・グスマン氏(現首相)らとインドネシアからの独立運動を指導。スポークスマンとして各国に支援を呼びかけた。96年にノーベル賞受賞。首相などの要職を歴任し、2022年に2度目の大統領に就任。

「人生はその人の顔に出る」と言われます。精悍、そして銀縁フレームの丸眼鏡もお似合いだ。表情を拝見しただけで引き込まれてしまいます。
インタビューは首都のディリで行われたようですね。質問者の地曳航也記者のコメントが最後に付されています。次の言葉から始まります。

ラモス・ホルタ氏は中国に理解を示す発言に終始した。中国の覇権主義的な動きを警戒する西側諸国に身を置く立場からすれば、一見ナイーブにも思える。

地曳航也記者は、なぜ英語のナイーブを使ったのか?

(Sさん)
ナイーブ… 絶妙な英語だ。私たち化粧品業界の人間は、カネボウの破綻により会社名が変わったクラシエのボディソープなんかがすぐに頭に浮かびますが、日本人的には悪くない響きです。ただ、インタビュアーの地曳さんが伝えたいことは違う。
ちょっと調べてみましょうか… 英語の場合はネガティブに使われるようですね。「純粋すぎて未熟だ」「純朴、素直すぎる」とあります。

(A課長)
同感です。日本人はアジア太平洋戦争の終結以降、80年近く戦争を経験していない。リアルな痛みを知らない。実感できない。
東ティモールの首都ディリでインタビューした地曳さんは、考えたと思います。世界はもうG7が主導しているわけではない。世界の現実を少しでも伝えようと、あえて英語の「ナイーブ」を使った。

ホルタ大統領は「中国に理解を示す発言に終始した」と前置きしています。ですから、直接的な表現でそれを支持するコメントを書いてしまうと…マズイ、という意識はあったと思うのですね。

これまで、ファストリの柳井さんのメッセージをたびたび取り上げています。8月の1on1でも、1月に日経新聞に掲載された発言を振り返りましたよね。柳井さんは「中国と米国の両方とも味方だ」と明快に言葉にされた。

世界を分断しようとしているのは国家だ。ただ分断は国にとっても良くない。戦争をする方が良いのか。平和的に共存する方が良いのか。覇権争いをやるのが良いのか。当事者は良いかもしれないが、周辺の国は困る。
日本は米中の間にいて、どっちの味方だと言われても、両方とも味方だとしかいえない。敵をつくる行為はやめてもらいたい。

柳井正さんは「敵をつくる行為はやめてもらいたい」と発言!

(Sさん)
日経新聞としては、ここまで言えない。だからこそ、ホルタ大統領にインタビューした。ノーベル平和賞をとった世界が認める人物に仮託して、米国一辺倒になりそうな日本のムードに警鐘を与えようとした。日経新聞はある意味で変化球を投げている。

(A課長)
Sさんの視点も鋭いですね。
コーチングを学び続けている人間として、ホルタ大統領の回答で、響いた言葉を紹介させてください。ホルタ大統領は多面的であり、俯瞰して世界を見ています。

地曳 : 国際政治は米国と中国の対立の構図が深まっている。
ラモス・ホルタ : (前略)…人々は「中国脅威」だと言い続けている。私はそうは思わない。中国を敵視する人たちは「もっと落ち着いて」と助言したい。世界に戦略的ライバルがいるのは何も不思議ではない。外交の秘訣は、敵対者と対話しパートナーシップを築くことだ。

地曳 : グローバルサウスは「西側諸国とも、中国やロシアなど覇権主義国とも一定の距離を置き、国際社会で存在を強めている。どのような役割に期待するか。
ラモス・ホルタ : 素晴らしい学術的表現で、ロマンチックに語られるが、内情は非常に分断されている。インドとパキスタンの関係を見てほしい。アフリカは国境内外でなお亀裂が生じている。対立する中国とインドを含むBRICSの構成を見ていると、主要7カ国・地域(G20)より成果を出せるか疑問に思う。
(中略)…中国とインド、 日本と中国と韓国の3カ国は、アジアや他の地域、世界を真に豊かで平和な場所に劇的に変える可能性がある。日中韓が協力してインドを加えて世界を豊かにすることを願っている。そうすれば21世紀はアジアの世紀であると言える。

ラモス・ホルタ氏は世界を変えるアジテーターかもしれない…

(Sさん)
感動的なアジテーションだ!
冒頭の回答でホルタ大統領が「米国は、欧州諸国とともにウクライナの支援に深く関与し、もはや調停者となることはできない」と語っている。戦争の終わり方は、さまざま考えられる。米国流のやり方が奏功するかどうかはわからない。

(A課長)
私は「コーチングを学び続けている」と言いました。副業で始めたコーチングですが、多くの企業オーナーとのエグゼクティブコーチングを重ねていくうちに、どっちが本業か、わからなくなっています。いえ、本当はもうわかっていますが(笑)

実践とは別に毎日ルーチンとしての学びもあります。それは、コーチビジネス研究所の「info」
サイトである「コーチング情報局」
に、月~金の毎日アップされるキーワード解説をしっかり読み込むことです。ものすごく勉強になります。

私の大学での専攻は社会心理学でしたが、臨床心理学についても勉強してきました。フロイト、アドラー、ユング、ロジャーズ、パールズ、フランクル…など、世界中の理論を紹介するこのサイトは、復習…いや私のレベルをはるかに超えるわかりやすい解説をしてくれています。

コーチング業界は、「臨床心理のカウンセリングとコーチングは違う」と浅く捉え、棲み分けしているような印象も感じますが、100年以上の歴史を有する臨床心理学は、コーチングのベースです。ただ、どうしても外国の理論解説が中心となります。

最近のCBL情報局は、村上春樹さんが尊敬する河合隼雄さんを集中的に取り上げているので、河合大ファンの私としては「わが意を得たり」です。
コーチングとの違い、併せてコーチングにも敷衍できることが、丁寧に記述されています。

(Sさん)
Aさんが紹介してくれたので、時おり読んでいましたが、最近サボっている(笑)

(A課長)
Sさん、ぜひ毎日のルーチンにしてください。いえ、上司の指示ではなく、「コーチング大百科」とあるようにとても勉強になりますから。

(Sさん)
Aさん、熱い!

河合隼雄さんも「二者択一」を徹底的に否定していた!

(A課長)
はい、その通り(笑)
というのも、「直言」が大見出しに使っている「米中二者択一迫るな」の「二者択一」に関して、河合隼雄さんは、そのことを回避することの重要性をさまざまな切り口で語っているんですね。一昨日アップされた内容は、「二者択一」の論理では問題は解決しない! です。「教育」がテーマなのですが、あらゆる難問に敷衍できます。

このような単純な二者択一の論理で、教育の問題が解決するはずがない。教育というのはあくまでも「人間」が対象であり、既に何度も繰り返したように、生きた人間を相手にすると、単純で整合的な論理によっては、ことが運ばないのである。

昨日のテーマはズバリ、「コーチングの時代」が今まさに到来している! です。

子どもたちは先生の気持ちを察する能力が高いので、一見、生徒たちが活躍している授業に見えながら、先生の意図した流れにそのまま乗っかっているような授業になることが多くないか、を反省する必要がある。子どもたちは自分のなかから湧き出てくるものによるのではなく、先生の意図をできるだけうまく、早くキャッチして反応しようとするだろう。これで「個性を磨く」教育ができるだろうか。いわゆる「優等生」は創造性が著しく少ない、などということになってしまうのである。

小学生と教師の関係性ですが、気づいてみれば、日本全体が「失われた30年」となってしまった… それはなぜなのか? その根本原因が、河合さんの例示する「小学校の授業」に縮図化されているような気がしてきます。

河合さんは、「境界ではない領域」という概念も提示されています。「こっちとあっち」という線引きではなく、「幅を持った領域として現象をとらえる」ということです。

西洋近代科学のパラダイムはあまりにも現実を支配するのに好都合なので、神の存在を忘れたり、おびやかしたりするほどになった。そして、それが頂点に達したかの如く思われた最近になって、近代科学に対する反省や、その矛盾を指摘するような事実が生じてきた。先に述べたように境界領域に挑もうとする人が、「分裂」によって自分を守るのに対して、古い科学を守ろうとする人は「拒否」によって身を守ろうとするように思われる。

河合さんは明快です。「分裂」つまり「二者択一」ではなく、「人間はそもそも多くの矛盾を抱えているわけで、それらに悩み、考えてゆくことは分裂ではない」というのが、河合さんの思想ですから。

コーチングの時代がまさに到来している!

(Sさん)
「直言」のホルタ大統領とつながった! 

(A課長)
今日の最後のメッセージは、昨日アップされた解説の最後の言葉を共有しましょう。コーチングは素晴らしい!

臨床心理学は、フロイトが、アドラーが、そしてユングが、漠とした「人の心の様相」「深層心理」を何とか、合理的な表現を用いて言語化できないか… そのチャレンジによって誕生しました。そして100年を経て体系化が進んだ臨床心理学を母体として、「パフォーマンスの向上を願う人たちに寄り添い伴走する」コーチングが注目されるようになりました。

CBLコーチング情報局はコーチングの未来に想いを馳せています。よって「コーチングの時代が今まさに到来している!」を、今回のキーワード解説の〆の言葉とさせていただきます。

坂本 樹志 (日向 薫)

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