米欧では最近、言葉遣いを変える動きが広がる。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は3月「中国との関係を切り離すことは可能ではなく、EUの利益にもならない」と述べ、デリスキングを重視する姿勢を示した。
イエレン米財務長官も4月「(米国は)中国とのデカップリングを目指していない」と明言した。「米中両国の経済を切り離すことは破壊的だ」とも強調する。
(日本経済新聞5月22日3面「“分断”使わず“リスク低減”~ G7首脳宣言、新興国に配慮」より引用)
心理学を学びコーチングの資格を有する新進気鋭の若手A課長と、部長職を長く経験し、定年再雇用でA課長のチームに配属された実践派のSさんとによる、2023年20回目の1on1ミーティングです。
「先進国の親睦会」ではない緊迫感溢れるG7が開催された!
(A課長)
G7広島サミットが終わりました。まさか生のゼレンスキー大統領がやってくるとは… 驚きのG7でした。
(Sさん)
G7が私の出身地広島で開催されるということで、1週間前の1on1のとき、Aさんにファミリーヒストリーまで話してしまいました。父親と母親が被爆していたという話は、広島で生を受けた私らの世代にとっては、不思議でもない当たり前の現実なのですが…ちなみに私は昭和33年生まれです。ただ大学からこっちに来て、その話はほとんどしていません。今回の広島サミットのことをいろいろ考えているうちに、自然に言葉にしていました。
(A課長)
Sさんはご両親から直接話を聴かれている。私は何を言ったらいいのか…迫ってくるというか…こういうのを名状しがたい気持ち、と言うんでしょうね。
広島にゆかりのある岸田首相だからこそ広島開催が実現したし、グローバルサウスをけん引するモディ首相たちも広島の地を踏みました。私は原爆資料館を見ていませんが、これまでイメージしていた感覚を覆すリアルな実感として、各首脳は受けとめたのではないでしょうか。「百聞は一見に如かず」です。衝撃だったと思います。
近年ともすれば「先進国の親睦会」と揶揄されることもあったG7でしたが、今回は緊迫感溢れるG7になった。
(Sさん)
国連の常任理事国が「何の衒いもなく戦争を起こしてしまう」というリアルです! そして一方的に侵攻された国のトップが戦時下にもかかわらず参加した。
私は朝マックで、日経新聞を1時間くらいかけて読むのが習慣というか、癖になっているのですが、21日は日曜日ということもあって、隅から隅まで舐めるように読みました。気づいたら2時間くらい経っていて、自分でも驚いています。
1面の左に、ゼレンスキー大統領とモディ首相が握手している写真が掲載されています。
(A課長)
1週間前は、オンライン参加とアナウンスされていましたよね。本当にびっくりです。
(Sさん)
Aさん、今日の1on1は「G7広島サミットを振り返る」というテーマでやってみませんか? 21日の日曜と22日月曜の新聞は、サミットを報ずる内容で溢れかえっていました。
(A課長)
やりましょう!
「G7広島サミットを振り返る」をテーマに1on1がスタート!
(Sさん)
私にとって広島空港は身近な空港です。ゼレンスキー大統領はそこに降り立ったわけです。正直感動しました。そんな興奮もあって、日曜日の朝、久喜インター店で朝マックを終えた私は、他の新聞も読みたくなって、朝日、毎日、読売、そして産経まで買っています。
(A課長)
それはスゴイ!
そういえば、いつの1on1でしたか… Sさんは、日銀の総裁だった白川方明さんのIMF寄稿を全文読解して、各紙がそれをどう捉えているか紹介してくれましたよね。今日もそんな感じでやってほしいな… ぜひお願いします。
(Sさん)
そう言われると、木に登ってしまう広島オトコはその気になります(笑)
1面の「トップ記事・アタマ」は毎日新聞を除き、4紙は同じでした。G7の首脳声明、首脳宣言です。日経、読売、産経は、広島湾をバックに各首脳が集まったシーンの写真も添えられています。細かいことを言うと、声明という表現は3紙、宣言は2紙と分かれています。
声明は「国や大きな組織が内容を公にすること」であるのに対し、宣言は「個人が見解や方針を表明する」場合でも使えますから、声明の方が妥当かもしれないですね。
(A課長)
なるほど… 毎日新聞の1面は他紙と違っている?
(Sさん)
ええ、トップは「ゼレンスキー氏来日」と大きな見出しです。他紙もそれは報じていますが、「サイド記事・カタ」なんですね。4紙ももちろん、他の紙面でもゼレンスキー大統領の来日を詳述しています。ただ、そればかりを取り上げるのではなく、ある意味でバランスをとっています。
(A課長)
ということは、毎日新聞はゼレンスキー大統領に肩入れしている、というか、Sさんが感動したようなニュアンスでゼレンスキー大統領のことを捉えている?
(Sさん)
いえ、ちょっと違います。ゼレンスキー大統領に関しては、他紙よりもよりバランスを意識している印象です。
毎日新聞は、日経、朝日、読売、産経各紙とはちょっと違っている?
(A課長)
ううん? Sさんの言っていることがよくわからない。これは伏線ですか? あとで回収してくれることを期待します!
(Sさん)
先読みされてしまいました(笑)。期待していただいてOKです。最初に4紙のトップ記事の「見出し」を比較してみましょう。
【日経新聞】
G7首脳宣言 「国際秩序維持へ結束強化」~中露威圧に対抗
【朝日新聞】
G7「核軍縮の努力強化」 ウクライナ支援は継続確認~首脳声明
【読売新聞】
露に圧力 中国へ要求~ウクライナ支援 G7首脳声明
【産経新聞】
侵略続く限りウクライナ支援 G7声明、露は国際法違反~中国に「深刻な懸念」
(A課長)
なるほど、中露に対する表現が違いますね。最もマイルドなのは朝日だ。中露そのものが登場しない。ハードなのは産経ですね。侵略という言葉を組み込んでいる。
(Sさん)
ええ、侵略については、サミット閉幕に当たって、平和公園の慰霊碑をバックに記者会見をした岸田首相も「侵略」という言葉を繰り返し使っています。
(A課長)
ウクライナ「侵攻」がずっと使われていましたが、変わったのかな?
「侵攻」と「侵略」ではニュアンスが異なる…
(Sさん)
どうでしょう。ただ「侵攻」と「侵略」ではニュアンスが異なります。広辞苑を調べてみたのですが、「侵攻」は「他国または他の領土を攻めおかすこと」で、「侵略」は「他国に侵入してその領土や財物を奪いとること」とあります。侵略は「奪いとる」が加わりますから、明らかに負のイメージが強くなります。さきほど私は「一方的に侵攻された」と言いましたが、「侵攻した後に侵略する」と時間軸の変化で捉えることも出来ますね。
22日の日経新聞夕刊の最終文化面に、繰り返される「文化的虐殺」という見出しの記事が掲載されています。
ウクライナ政府によると同国が昨年11月に奪回した南部へルソン州の地域では、ロシア軍が撤退の際に美術館からウクライナ人画家の絵画や宝飾品など1万点を超える収蔵品を奪取した。(中略)
文化財や文化への組織的な攻撃はナチスドイツが第2次大戦時にポーランドなど占領地で行った事例と類似する。ロシアの今回の侵攻でも占領地での文化被害が報告されている。
ロシアのやっていることは、明瞭に「侵略」なので、岸田首相もあえて使っているのだと思います。ただ、ニュアンスは強い。
(A課長)
今日のテーマが輪郭を帯びてきました。言葉の使い方、ニュアンスによって、人はその受けとめ方が違ってくる…
(Sさん)
その通りだと思います。
私が21日の日経新聞の中で一番響いたのは、各首脳の芳名録への記帳です。5面に「核のない日へともに進もう~バイデン氏 原爆資料館で記帳」という見出しで、次の言葉から始まります。
政府は20日、主要7カ国(G7)首脳が広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪れた際の芳名録への記帳内容を明らかにした。バイデン大統領は「世界から核兵器を最終的に、そして永久になくせる日に向けてともに進んでいこう」と記した。
(A課長)
はい、テレビとかでも紹介されていました。
(Sさん)
他のすべての首脳の記帳内容も紹介されています。ただ、それが全文なのかどうか気になりました。他の新聞を買ったのはそれもあります。
(A課長)
Sさんらしいなあ(笑)。一次資料にこだわりますよね。要約や部分だと記者の狙い、思いとの合体作品ともいえるわけだから… それでどうでした?
全首脳の記帳全文を掲載したのはどの新聞?
(Sさん)
ええ、面白い結果です。朝日、読売、毎日は最後の社会面にかなりのスペースをとって掲載しています。日経が、文章の流れの中で「」を使って記述しているのに対し、3紙はそろって顔写真付きで表にしている。デザイン、体裁もほぼ同じなので、「談合したのかな?」と想像しました。そんなことはありえませんが(笑)
表になると、文字数が一目瞭然なので、要約なのか、一部引用なのか、の比較も出来ます。産経新聞だけは掲載がありませんでした。
Aさん、全文掲載だと想定できるのは、どの新聞だと思いますか?
(A課長)
ううん… 朝日ですか?
(Sさん)
正解です(笑)
(A課長)
よかった~ なんとなくそのように感じました(笑)
(Sさん)
首脳となると、スピーチライターが必ずいますから、表明される言葉は、所属する党派の考えや価値観などが反映され、吟味され練り込んだ表現であるのが通常だと思います。
ただ今回は「原爆資料館」という未知の世界を直に体験したあと、間を置かず文字として綴るわけです。ですから、首脳お一人おひとりの「地」が表れているような気がします。
朝日新聞の表の並びで紹介します。
岸田文雄首相
歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に「核兵器のない世界」をめざすためにここに集うマクロン大統領
感情と共感の念をもって広島で犠牲となった方々を追悼する責務に貢献し、平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命です。バイデン大統領
この資料館で語られる物語が、平和な未来を築くことへの私たち全員の義務を思い出させてくれますように。世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう!トルドー首相
多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人びとの計り知れない苦悩に、カナダは厳粛なる弔慰と敬意を表します。貴方の体験は我々の心に永遠に刻まれることでしょう。ショルツ首相
この場所は、想像を絶する苦しみを思い起こさせる。私たちは今日ここでパートナーたちとともに、この上なく強い決意で平和と自由を守っていくとの約束を新たにする。核の戦争は決して再び繰り返されてはならない。メローニ首相
本日、少し立ち止まり、祈りを捧げましょう。本日、闇が凌駕するものは何もないということを覚えておきましょう。本日、過去を思い起こして、希望に満ちた未来を共に描きましょう。スナク首相
シェークスピアは、「悲しみを言葉に出せ」と説いている。しかし、原爆の閃光に照らされ、言葉は通じない。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことはできない。しかし、私たちが、心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ。
(A課長)
伝わってきますね…
ただ、資料館には、EUのフォンデアライエン委員長とミシェル大統領も訪れていますよね。マイクロソフトはチャットGPTをBingで検索できるようにしているので、調べてみましょうか…
おっ、出て来た。
フォンデアライエン委員長
広島で起きたことは、今なお人類を苦しめています。これは戦争がもたらす重い代償と、平和を守り堅持するというわれわれの終わりなき義務をはっきりと思い起こさせるものです。ミシェル大統領
80年近く前、この地は大いなる悲劇に見舞われました。 このことは、われわれG7が実際何を守ろうとしているのか、なぜそれを守りたいのか、改めて思い起こさせます。 それは、平和と自由。なぜならば、それらは人類が最も渇望するものだからです。
原爆資料館で綴られたG7首脳の言葉は「言霊」となってほしい…
(Sさん)
国際会議後に発表される声明とはまた違った「力」を感じることができる。原爆資料館の中で綴られた言葉です。「言霊」として感じたい。
(A課長)
本当に…
Sさん、ゼレンスキー大統領も原爆資料館を訪れましたね。演説で「人影の石」を見て、感じた思いを語っている。
(Sさん)
初めて見学した小学生の時、「人影の石」を見てショックを受けた記憶は今も鮮明です。当時は本館だけでしたが、1994年に東館が増築され開館しました。原爆が投下される前の広島の姿が、ジオラマで忠実に再現されています。原爆ドームとなってしまった産業奨励館の周囲がいかに賑わっていたか… 胸が締め付けられます。
つづいて22日、月曜の新聞に移りましょうか。冒頭お話ししたように産経新聞は別として、毎日新聞のトーンが、日経、朝日、読売と違っていたので、月曜は毎日新聞だけ買っています。
(A課長)
いよいよ伏線の回収ですか(笑)
(Sさん)
いえ、そのような大袈裟なことではないのですが、日曜日の毎日新聞は、3面で「独壇場 困惑の声も」という見出しで、ゼレンスキー大統領に対して、少し“引いた記事”を掲載しています。
岸田首相はキーウ訪問時に「5月は戦闘が激しくなる」との見通しを受け、ゼレンスキー氏とオンライン参加で合意していたが、政府関係者は「来日はもともと選択肢の一つだった。4月末に『来たい』という話があって、決まったのは数日前だ」と明かす。ウクライナ側からは「安全上の観点から対外公表しないでほしい」と口止めされていたといい、無事に日本に到着する見通しが立った時点で公表したとみられる。(中略)
ただ、突然の来日はサミットの日程に影響した。政府は討議の成果をまとめた首脳宣言を最終日の21日に発表する予定だったが、20日にゼレンスキー氏が乗った飛行機が着陸した直後に前倒しで発表した。しかも日本語訳を後回しにするドタバタぶり。気候変動やエネルギー問題の討議がまだ残っており、経済官庁幹部は「かなり異例だ。サミットが閉幕したみたいになってしまった」とこぼした。
毎日新聞はゼレンスキー大統領来日を俯瞰して捉えている?
(A課長)
なるほど。G7は3日間だけど、実質2日で終わって、3日目は「ゼレンスキー大統領の独壇場」になった… ゼレンスキー大統領のプレゼンスはすごすぎますね。
(Sさん)
ゼレンスキー大統領はとにかく必死だったと思います。ロシアの最大の見誤りは、ゼレンスキー大統領という人物のことが全く見えていなかったことに尽きる! さらにプーチン大統領は自分のこと、ロシアの状況を相対化できていない。
「敵を知り己を知れば百戦してあやうからず」の真逆がプーチンロシアの実態です。
ロシア、中国はともかく、戦争が始まってからは、世界の多くの国がゼレンスキー大統領と伴走し続けている。グローバルサウスの代表格であるモディ首相もゼレンスキー大統領への支援を言葉にして熱く語っている。これほどまでプレゼンスを発揮する人、できる人は世界に誰一人として存在しないと思います。
G7や大国というバックというか看板のもとで、その国のトップをやっている人ではなく…もちろん地政学的な状況もあって、西側諸国が肩入れしていることはあるものの、ウクライナ自体は、それほどプレゼンスを持てる国ではないと思います。それなのに、今回のG7は文字通りの「ゼレンスキーSHOW」でした。
ゼレンスキー大統領がトップだったからこそ、ウクライナが1年以上も持ちこたえ、場合によってはロシアを… という、プーチン大統領のみならず、「世界が予想だにしていなかった世界」が現実になろうとしている。
(A課長)
Sさん、ウクライナ戦争が始まって、4月だったかな? ちょっと待ってください… 去年の4月14日でした。「プーチン大統領はどうやってつくられたか?」というテーマの1on1をやりました。
それがきっかけとなって、そのあと3回シリーズで、ゼレンスキー大統領とプーチン大統領の比較研究をやっています。「孤独」、「権威」、そして「成功・失敗」です。
「孤独」がテーマとなった1on1でSさんは、『我々はなぜ戦争をしたのか~米国・ベトナム 敵との対話』を取り上げ、その中のホー・チ・ミンと共にベトナムの人たちから深い敬愛と尊敬を集めている、ザップ将軍の言葉を引用してくれました。
戦争を好んで遂行した連中は戦争に敗れる!
一つ付け加えたいことがあります。歴史を振り返れば、アメリカがベトナムを侵略し、ベトナムがそのアメリカを打ち負かしたのは明らかです。しかしより正確に言えば、いったい誰が勝者で、誰が敗者だったのでしょうか。
もちろん、自由と独立のために闘ったベトナム人民の勝利であることは間違いありません。しかし同時に、ベトナム戦争に反対し平和を求めたアメリカの多くの人々の勝利でもあったのです。敗れたのは、ペンタゴンをはじめとして戦争を好んで遂行した連中でした。
だからこそ私は、アメリカとベトナムの人々が、友好的な関係を築くのは決して不可能なことではなく、むしろ必要なことだと考えています。特に若い世代の人たちが、相手をより深く理解し、将来に向けて良好な関係を作ってくれることを私は期待しています。ハノイ対話のように、お互いをより深く理解するための機会を持つことは、21世紀の平和にとって非常に大切な事だと思っています。
(Sさん)
そのときやった3回シリーズの1on1は、とても印象に残っています。1年以上経ったわけだ…
そろそろ時間ですね。Aさん、今日の1on1の最後に22日の日経新聞の記事を2つ紹介させてください。
まず3面です。「G7首脳宣言、新興国に配慮」の見出しのところです。
今日の1on1は言葉のニュアンスがテーマになりました。これまで、どちらかというとラフに使われていた「デカップリング」という言葉が改められます。
主要7カ国(G7)が20日公表した首脳宣言は「デカップリング(de-coupling=分断)」ではなく「デリスキング(de-risking=リスク低減)」に基づいて対処する方針を盛り込んだ。グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国が中立を貫くなか、西側諸国と中国・ロシアを陣営で分けるような表現を避ける狙いがある。
その記事と関連させて、バイデン大統領のコメントを5面で伝えています。「米大統領、対話へシグナル」です。
バイデン大統領は21日、広島市で開いた記者会見で米国と中国の関係をめぐり「まもなく雪解けする」と語った。台湾有事を念頭に「避けられないものだと思わない」と強調し、対話ルートの確保に向けて中国へシグナルを送った。
主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)の閉幕後に記者会見した。バイデン氏は「我々は中国からのデカップリング(分断)を目指していない。中国との関係においてリスク軽減や多様化を目指している」と話した。重要物資などに限って中国への依存を減らす。
ベトナム戦争が終結して20年以上を経て、米、ベトナム両国の高官による対話が実現しました。テーマは「我々はなぜ戦争をしてしまったのか」です。互いに虚心坦懐に語るなかで、両者は気づきを得ます。「我々は相手が何を思っているか、何を考えていたのか、全く誤解していた」というものです。
戦争は対話なき疑心、恐怖、妄想によって始まってしまう…
(A課長)
戦争って、そんなことで起こってしまう…
(Sさん)
双方が疑心暗鬼にかられ、恐れも生じ、妄想めいた思い込みの世界に入っていく。その結果戦端が開かれてしまう。
後に振り返り、「あのとき対話さえしておけば…」と、気づくのです。
昨年の11月にインドネシアでG20が開催されました。14日にはバイデン大統領と習近平主席の初の対話が実現しています。議長だったジョコ大統領は、「15日にウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで参加した後は、各国首脳が意見をぶつけ合い、白熱しましたが、バイデン大統領と習主席は冷静でした」と、日経新聞のインタビューに答えています。両首脳の落ち着いた振る舞いが、議論を収束に向かわせたようです。
バイデン大統領は、そのときの習主席と対話した実感によって、「まもなく雪解けする」という言葉を口にしたのでしょう。
ただ、このニュアンスを習主席がどう受けとめるか… ちょっと気になります。バイデン大統領の「楽観性」はいいと思うのですが、ちょっと高を括るところがありそうなので(笑)
(A課長)
アメリカンですよね(笑)
今日の1on1もSさんがしっかりコーチングにつなげてくれました。「コーチングの母」であるカール・ロジャーズは、72歳になって気づきを得ます。そして「パーソン・センタード・アプローチ」を世界中に拡大浸透させるべく、世界を駆けずり回ります。まさに「対話の伝道者」です。
ゼレンスキー大統領は21日、締めくくりの演説で「ロシアの侵略が世界の最後となるよう戦い抜く」と語っています。
(Sさん)
とにかくすごいG7でした。何ごとも「きっかけ」によって変わります。今回の広島サミットが世界を変えてくれることを信じて、私たちもコーチングを語り合っていきましょう!
坂本 樹志 (日向 薫)
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