新藤隆志コーチ(千葉県流山市)とのコーチング対話 Vol.3
ゲストは、一般社殿法人 日本エグゼクティブコーチ協会(JEA)の認定エグゼクテイブコーチとして活躍されている「INEx・C&C(アイネクス・シーアンドシー)」代表の新藤隆志さんです。
新藤 隆志(しんどう たかし)
大学卒業後、日本ロシュ(株)に入社。営業・マーケティング部門、スイスのロシュ本社および英国ロシュ社での業務経験を積み、その後日本ロシュと統合した中外製薬(株)を含め4社のグローバル製薬企業でオンコロジーや血栓・循環器領域の要職を歴任。
2007年以降、バイエル薬品(株)およびMSD(株)においては、それぞれオンコロジー事業担当執行役員として、事業戦略、部門組織構築、社内機能拡充など、がん治療薬事業の立ち上げ計画および運営の責任者を務める。
2021年にMSD(株)副社長執行役員を退任後、同オンコロジー部門シニアアドバイザーを経て、2022年7月よりビジネスコーチとして企業のマネジメント層や経営者に対する支援事業を開始。2023年12月にMSD(株)監査役に就任。
(坂本)
私はエグゼクティブコーチ認定試験のアセスメントをさせていただいたじゃないですか。業界の専門用語が飛び交って「スゴイな…」と感じたりしたんですが、そのとき「あっ、新藤さんはこういう人なんだ…」って、感じました。
(新藤)
どんな感じですか?
(坂本)
優しい!
(新藤)
ほっー…
「あっ、新藤さんはこういう人なんだ」と気づかされました
(坂本)
で、今おっしゃったアクセシビリティ―です。新藤さんのコーチャビリティ―はそういう実践によっても培われていったと感じています。 試験のときのクライアントは年下で、部下の関係だったかどうかは「?」でしたけど、対等というか、お互いが実にフラットにお話しされていた。あのシチュエーションは自然でした。
人間って、本質的な性格って、にじみ出るじゃないですか…昭和の人間とか、本人はわかっていなくても相手は「いかがなものか…」っていうのが伝わっちゃってる。
(新藤)
うん、うん。
(坂本)
新藤さんは違ってました。
(新藤)
それは嬉しい…
そこはね、僕は相当意識して何年もやってきたと思うんですね。
(坂本)
そういうことなんですよね。
新藤さんは「昭和世代」…でも全然昭和的ではない
(新藤)
部下に対する尊敬。新入社員であれ、10年の人であれ、様々な人に、それを感じています。お掃除にきてくれる年配の女性スタッフが、僕の部屋を掃除してくれたりするんですけど、トイレの清掃とかで会った時、「いつもありがとうございます」って、声かけています。だからかもしれませんが、「新藤さん、掃除のスタッフさんたちの評判いいですね」…そんなことも言われたことがあります。
いえ…本当の話、みなさんそれぞれ役割を持っていて、僕らが仕事しやすいようにメンテしてくれてるわけです。この環境を「自分でつくりなさい」と言われても、出来ないですよね。そう考えると「いつもありがとうございます」、って言葉は出てきますよ。
それから、そういうスタッフの人って、秘書さんグループとつながっていたりするんですね。だから、周りまわって、僕に対する秘書さんたちの評判にもつながっていくんですよ。
(坂本)
いいなあ~(笑)
(新藤)
でもそれは別に…何ていうのかな、当初は意識的だったかもしれないけど、それが自分のスタイルに自然になっていったと感じています。習慣化かな?
それは、実は経験値もあって、バイエルの頃ですけど、レピュテーションマネジメント(※1)についての本を読んで、気づきを得たというのもあります。
(※1)レピュテーションは「評判」「世評」「名声」と訳されます。傷ついたレピュテーションの回復、良いレピュテーションの獲得や維持を目的とした活動のことです。 企業評価やブランドイメージに積極的に関わり、これらを自社が目指す方向へコントロールするための取り組みです。 不祥事が発生した際の会見、広告や広報活動などが該当します。
新藤さんは個人のレピュテーションマネジメントを熱く語ります
(坂本)
レピュテーションマネジメントというと、会社、組織をイメージしますが、個人のレピュテーションも重要だってことですね。
(新藤)
自分が上手くその組織をマネジメントしていくためには、ステークホルダーがいっぱいいるわけですよ。自分の上司はアメリカ人、もちろん部下もそうです。
それから、グローバルで僕のカウンターパートの偉い人もいるわけですね。僕は2つレポートラインがありました。日本の社長とグローバルの部門長です。月に1回、グローバルの会議がドイツであります。日本の社長とグローバルの部門長がドイツに行って、その場でコミュニケーションをとります。
そうすると、二人の間で「日本の業績よくないけど、どうなの?」という流れになることがあります。日本の社長が僕に対して思っている感情と、グローバルの彼が見てるものが違うと話が全然かみ合わないわけですよ。
だから日本の社長とグローバルの部門長に、同じことを同じトーンで早めに伝える。どっちを先にするか…っていうこともあるんだけど。
日本の社長に「今こんな問題が起こってて、こんな対応をしてますよ」って話をして、「これグローバルにもちゃんと伝えますから」と、間髪置かずグローバルに伝えるわけです。これやってないと、僕に対して「聞いてないよっ!」ってことになります。
私のいないところで「新藤、あれおかしいから、そろそろ替えなくちゃあいけないんじゃない」ってことになったりします。
(坂本)
めちゃくちゃわかります。実に大変ですが、そういうことで人事が決まったりする。
(新藤)
大変です。
ただグローバルだけじゃなくて、例えばコンサルタント。マッキンゼーとかBCGとかあるじゃないですか。
(坂本)
はい。
(新藤)
ああいう人たちも関与してるんですよ。
(坂本)
外資だなあ(笑)
(新藤)
外資ですから(笑)
で、そういうところの人は、たとえば、「新藤って、日本の業界の中でどうなの?」とか、会社のシニア層から質問されるわけですよ。コンサルタントに見解を求めます。
そん時に、「あいつはよくやってるよ」となればいいけど、「ダメだ」って言われた瞬間、僕のポジションは危うくなります。
(坂本)
なるほどねぇ~
(新藤)
だからコンサルとの関係も、ものすごくよくしておかなければいけない。
(坂本)
日本とは違いますね。実にクールだ。
インタビュー3回目の掲載はここまでとさせていただきます。
新藤さんのキャリアはすべて外資です。しかもビッグファーマのグローバル企業です。日本の社長とグローバルの部門長、さらにマッキンゼーやBCGといった世界的コンサル。かかわりを持つこれらの人達に対する新藤さんの視点は、日本企業の間でも当たり前のように使われるようになった「ステークホルダー(利害関係者)」の捉え方とは、違っているように感じられます。つまり原語そのものが意味する“本当の”ステークホルダーなのでしょう。はっきり言って、決して気を抜いてはいけない人たち…そうやって新藤さんは「対人関係のプロフェッショナル」として磨かれていったのだと想像します。
次回は、そのステークホルダーの広がりと、レピュテーションマネジメントによって、自身のブランディングを確立していった新藤さんについて紹介してみようと思います。
新藤隆志コーチ(千葉県流山市)とのコーチング対話
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