無料相談・資料請求はこちら

なぜコーチング研修だけでは組織は変わらないのか

Season 1 コーチングを経営のインフラに ― 人が育ち、組織が自ら動き出す会社をつくる ― 第2回 なぜコーチング研修だけでは組織は変わらないのか コーチング研修だけでは組織が変わらない理由 研修を組織文化につなげる方法

管理職にコーチング研修を実施しても、なぜ職場は元に戻ってしまうのでしょうか。
研修を「点」で終わらせず、1on1、会議、経営者の行動、人材育成へつなぎ、コーチングを組織文化として定着させるための考え方を解説します。

「管理職にコーチング研修を受けてもらった。でも、職場はあまり変わらなかった」
こうした経験を持つ企業は少なくありません。
しかし、それを「管理職が実践しなかったから」と結論づけてよいのでしょうか。
人は研修で学んだこと以上に、毎日置かれている環境から影響を受けます。
コーチングを組織に定着させるには、「誰に研修を受けさせるか」よりも、研修後にどんな組織環境をつくるかが重要です。

研修直後は参加者の評判も良い。
「部下の話をもっと聴こうと思った」
「質問することの大切さが分かった」
「明日から1on1で実践したい」
ところが数か月後に職場を見ると、以前とあまり変わっていない。
上司が話し、部下が聞く。
上司が答えを出し、部下がそれを実行する。
なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。

人は「研修」ではなく「環境」に戻っていく

研修で新しい考え方を学んでも、職場に戻れば日常があります。
売上目標がある。納期が迫っている。トラブルが発生する。上司から結果を求められる。
忙しくなると、「君はどう考えている?」と問いかけるより、「こうしておいて」と指示した方が速い。
その結果、せっかく学んだコーチングは少しずつ使われなくなります。
これは本人の意識が低いからとは限りません。
むしろ、個人だけを変えようとして、個人を取り巻く組織のシステムを変えていないことが問題なのです。

上司に「コーチ型」を求めながら、会社は「指示型」になっていないか

例えば、管理職には、
「部下を信頼し、任せてください」
「部下自身に考えさせてください」
と研修で伝えている。
ところが、その管理職自身は役員から、
「余計なことを考えなくていいから、言われた通りやれ」
「結果だけ出してくれればいい」
と言われている。
これでは、現場の管理職だけにコーチ型マネジメントを求めても無理があります。
人は、自分が扱われているように、部下を扱う傾向があります。
だからこそコーチングを導入する際には、管理職研修だけではなく、経営トップから現場まで、組織全体の関わり方を見る必要があります。

「スキル」より先に問いたいこと

コーチング研修というと、質問、傾聴、承認などのスキルを教えることが中心になりがちです。
もちろんスキルは必要です。
しかし、それ以前に重要なのが、「私たちは社員をどのような存在として見ているのか」という問いです。
「放っておけば楽をする人間だから管理しなければならない」と考えている上司が、どれだけ質問技法を学んでも、質問は部下をコントロールするためのものになりかねません。
反対に、「人は適切な環境があれば、自ら考え、成長していく存在である」と考える上司なら、相手の可能性を信じて待つことができます。
コーチングとは単なる会話術ではありません。
その根底には、人間をどう見るかという「人間観」があります。

研修を「点」で終わらせない

必要なのは、研修を一回のイベントで終わらせず、日常のマネジメントにつなげることです。

研修後の1on1で実践する。
実践した内容を管理職同士で振り返る。
経営会議でも問いと対話を取り入れる。
経営者自身もコーチングを受け、自分の関わり方を見直す。
人事評価や人材育成の考え方にも反映する。

こうして初めて、
研修 → 実践 → 振り返り → 再実践 → 組織文化
という循環が生まれます。

コーチング研修を何回実施したかではなく、研修後に職場でどんな会話が増えたのか。そこを見ることが大切です。

社員が以前より自分の考えを話すようになったか。
上司が答えを言う前に問いかけるようになったか。
会議で異論が出るようになったか。
失敗について率直に話せるようになったか。

そこに、本当の成果が表れます。
コーチングを学ぶことはゴールではありません。
コーチング的な対話が会社の日常になること。
そこから初めて、組織は変わり始めるのです。

経営者への問い

皆さんの会社では、管理職に求めているマネジメントと、経営者・役員自身が管理職に対して行っているマネジメントは一致しているでしょうか。
「部下を変える研修」を考える前に、ぜひ一度「会社全体の関わり方」を振り返ってみてください。

次回予告

第3回「経営者が変わらなければ、組織は変わらない」
「もっと主体的に動いてほしい」と願いながら、実は経営者自身が社員の主体性を奪っていることがあります。
次回は、組織文化と経営者自身のBeing(在り方)について考えます。

CBLからのメッセージ

株式会社コーチビジネス研究所(CBL)では、管理職だけを対象にした単発研修ではなく、経営層・管理職・1on1・個別コーチングなどを組み合わせ、学びを実際の行動変容へつなげる支援を行っています。
研修を「実施すること」ではなく、職場でどのような変化を起こしたいのかから考えることを大切にしています。

国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC)
日本エグゼクティブコーチ協会(JEA)認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

現在受付中の説明会・セミナー情報

日本経済新聞電子版特集 シン・プロフェッショナル
日本経済新聞電子版特集「シン・プロフェッショナル~現代経営の担い手を1分で探る」に協賛出演しました。