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第1回:なぜ、経営者には“聴いてくれる誰か”が必要なのか ─「誰にも話せない」を、そっと受け止める存在として─

孤独な経営者

経営者とは、孤独な存在です。
もちろん、日々多くの人と関わり、会議に出席し、社員とも話しています。でも、その中で“本音を語れる相手”がいるかと問われれば、多くの経営者が首を横に振ります。
それは、立場上当然のことでもあります。

幹部に対しては「迷いなく方針を示す姿」が求められ、社員に対しては「頼れる存在」であり続けなければなりません。社外に対しても、リーダーとしての信用を保ち続ける必要があります。つまり、弱さや迷いを見せることが許されにくい役割を背負っているのが経営者でもあるからです。

しかし、経営者も人間です。
迷い、悩み、不安を抱き、決断の重圧に押しつぶされそうになる瞬間もあります。にもかかわらず、それを誰にも言えないまま抱え込み、「自分だけが苦しいのではないか」と感じている人が少なくありません。私もこれまで「死にたい」とまで口にする経営者に何人もお会いしてきました。

評価も助言もしない関係性

エグゼクティブコーチは、そんな経営者の「聴き手」になります。
ただ話を聴くだけではありません。“評価も助言もしない関係性”の中で、経営者が本当に話したかったことを、安心して語れるように支える存在です。

ある経営者は、初めてのコーチングセッションでこう語りました。
「何を話せばいいのか分かりません。でも、話さなきゃいけない気がしてきました。」
その数分後、言葉に詰まりながら「本当は、自分が何を大切にしたいのか分からなくなっていた」と話し始めたのです。

こうした対話は、コンサルティングとは異なります。
コーチは答えを提示しません。代わりに、経営者が自分自身の中にある“本当の声”に出会えるよう、対話の場を整えるのです。

エグゼクティブコーチは”自分で自分を聴くための鏡”

なぜ、それが必要なのでしょうか?
それは、経営判断の質が、「知識」や「情報」だけでは決まらないからです。
経営とは、合理性だけで動くものではありません。
そこには、価値観・感情・恐れ・希望といった、人間らしい要素が常に絡んでいます。

コーチとの対話では、そうした複雑な内面に触れることができます。
「なぜ、あの場であんなに怒ったのか」
「本当は、どこに違和感を覚えていたのか」
「誰に、何を理解してほしかったのか」
こうした問いを扱える関係は、極めて稀です。
だからこそ、多くの経営者にとってエグゼクティブコーチは、“自分で自分を聴くための鏡”のような存在となるのです。

さらに、コーチは「安全な他者」でありながら、「無関心な第三者」ではありません。
関係性の中には、深い共感と、厳しい誠実さがあります。
ただ優しく話を聴くだけではなく、時に「それはあなたの本音ですか?」と問い直すことで、経営者が自分自身と誠実に向き合う後押しをします。

人は、誰かに本気で“聴いてもらった”とき、自分自身にも聴こえていなかった本音に気づきます。経営者にとって、その瞬間こそが、新たな決断の起点になり、リーダーとしての原点に立ち返る時間となるのです。

経営者という一人の人間の“存在”に寄り添う

エグゼクティブコーチングの魅力は、「経営の意思決定を支える」ことにあるのではなく、「経営者という一人の人間の“存在”に寄り添う」ことにあります。
そして、その寄り添いがやがて、組織や社会に深い影響をもたらしていく。
その原点が、「誰かに“本気で聴いてもらえた”という経験」なのです。

エグゼクティブコーチを目指すということは、その「聴く力」を通して、経営者の“物語”に寄り添い、未来をともに形づくっていく旅に参加するということ。
それは、静かでありながら、確かな変化を生み出す、尊い営みです。

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国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

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