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第11回:問い続ける経営者こそ、次代を導く ─“未完了の自分”と共に歩む力とは─

変化の本質は、“問いを変える”ことによって起こる

「自分が本当にやりたいことは何か、まだ見えていないんです」
「今のやり方でいいのか、いつもどこかで問いかけ続けている」
これは、ある企業の経営者がセッションの中で漏らした言葉です。
彼は20年以上にわたり経営を担い、事業拡大を牽引してきた人物。外から見れば成功者そのものです。
それでもなお、彼は「未完了の問い」を持ち続けている…。
それこそが、彼が今も変化を生み続けている理由でした。

成熟した経営者とは、すべての問いに答えを持っている人ではありません。
むしろ、自らの限界や盲点、不確実性に対して、問い続けることを恐れない人です。
コーチングの場においても、「答えを見つける」ことよりも、「問いを深め、問いと共に歩む」ことが重視されます。
なぜなら、変化の本質は、“問いを変える”ことによって起こるからです。

たとえば、「どうすれば売上を伸ばせるか?」という問いは、「自分たちは何のために存在しているのか?」という問いに進化することで、まったく異なる経営判断を導きます。
問いを持つことは、不安定さを受け入れることでもあります。まだ答えのない状態を耐えることでもあります。そのプロセスを通してこそ、経営者は「次の自分」へと進化していきます。そして、その道のりを共に歩む存在が、エグゼクティブコーチです。

エグゼクティブコーチは経営者の問い続ける力を支える存在

コーチは、問いに答えることはしません。代わりに、「本当は何を問いかけようとしているのか?」を一緒に見つけていきます。問いの奥にある価値観や信念、恐れや希望に触れていきます。そうして、「問いの質」が変わったとき、経営者の視点と選択が変わります。
ある経営者は、当初「次の幹部をどう育てるか?」という問いを持っていました。
対話を重ねるうちに、それは「自分は、どんなリーダーを信じていきたいのか?」という問いへと変化していきました。

この問いの変化が、幹部育成の方向性だけでなく、彼自身のリーダーシップの在り方をも変えたのです。問い続ける力とは、自らの未完了を引き受ける力でもあります。
「自分はまだ成長の途中にある」と認め、その不完全さに誠実であろうとする姿勢こそが、組織にも希望と柔軟性をもたらします。そして、それは決して弱さではありません。
「問いを抱き続ける強さ」こそが、次代を導く経営者の資質なのです。

これからエグゼクティブコーチを志す方にとって、クライアントの問いに正解を提示するのではなく、その問いが生まれた背景に寄り添い、ともに、まだ見ぬ問いに出会うプロセスを支えることの価値を知っておいてほしいと思います。
問いには終わりがありません。だからこそ、問いの旅に伴走するコーチの存在は、静かに、深く、経営者の人生に残っていくのです。

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国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

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