無料相談・資料請求はこちら

第8回:面接質問の境界線 ─公正さを保ち、信頼を築くために─

人材採用の悩み無料相談を実施中
現在抱えている採用のお悩み、課題、具体的な状況などをヒアリングし、解決に向けた方向性を一緒に考えます。
詳細はこちら:人材採用の悩み無料相談

経営者として理解しておきたい“質問のルール”

面接では、厚生労働省の指針に沿い、適性や能力と無関係な質問を避ける必要があります。特に社長や経営幹部の一言は会社の信頼を左右します。

かつて一般的だった「お父さんの仕事は?」「尊敬する人は?」といった質問も、現在は避けるべきとされています。では、なぜ不適切なのか――「採用選考時に配慮すべき事項」の中身を見てみましょう。

「採用選考時に配慮すべき事項」とは

厚生労働省は、公正な採用選考の基本として、適性・能力と無関係な事項を把握しないよう求めています。配慮すべき事項は大きく2種類です。

本人に責任のない事項

本籍地・出生地、家族構成や職業、住宅状況や生活環境など

本来自由であるべき事項

宗教、支持政党、思想や信条、尊敬する人物、愛読書など

これらは、厚生労働省の指針でも「採用選考時には質問を避けるべき」とされる内容です。
その背景には、次の3つの理由があります。

1. 差別的判断の防止

無関係な情報を知ることで、意図せず選考に影響してしまう危険があります。
例:「実家はどこ?」→親の職業や経済状況を推測してしまう。

2. 応募者の心理的安全の確保

不必要な質問は「評価に関係あるのでは?」という不安を招き、不信感や悪評につながります。

3. 派生的なリスクの回避何

気ない一言から話が広がり、配慮すべき事項に触れてしまうこと(=派生的取得)も避ける必要があります。

実例と現場での判断

私はこれまで、面接官へのトレーニングを行い、自らも1,300人以上の面接を担当してきました。採用面接には深く関わってきた私ですが、その中で一度だけ、面接中の一言で肝を冷やした経験があります。

面接中に飛び出した一言

新卒採用面接の場でのこと。
面接官として同席していた営業部長が、応募してきた学生に向かって「あなた、お化粧濃いね」と言ったのです。学生は驚いたのか、最初は無反応でした。ところが部長は、今度ははっきりと同じ言葉を繰り返しました。

これは「本来自由であるべき事項」に抵触します。人事の立場として、私はその場で会社の姿勢を示す必要があると判断しました。そこで「この件は選考とは無関係です。不適切な発言があり、申し訳ございません」と即座に謝罪しました。

化粧の仕方や濃さは、個人の価値観や美意識に関わるものであり、職務の適性や能力とは無関係です。そのため、厚生労働省の指針でも、こうした事項は選考で扱うべきではないと明確に示されています。

善意でも生まれるリスク

部長の意図自体は理解していました。学生を高く評価してぜひ採用したいからこそ、「営業職では控えめな身だしなみが求められる場面もある」と伝えたかったのでしょう。しかし、善意であっても、面接という公式な場での発言は、それだけが独り歩きして会社の信用や法的リスクに直結しかねません。

面接官は、会社の代表として公正性と企業姿勢を守る視点を持ち、ルールに則り、慎重に言葉を選ぶ必要があります。

幸い、この時は面接も続行され、学生は入社。営業からマーケティングへと活躍の場を広げています。もし即座に介入できていなければ、入社辞退や企業不信につながったかもしれません。

公正な面接を実現するための取り組み例

厚生労働省の指針に沿って、公正でリスクのない面接を行うための会社の取り組みをご紹介します。

1. 面接官教育の徹底

配慮すべき事項の背景と理由を具体例とともに共有する。

2. 質問項目の標準化

質問リストを作成し、公平性を確保する。

3. 現場での即時対応

不適切な発言はその場で訂正・謝罪し、企業姿勢を示す。

4. 応募書類の見直し

不要な個人情報項目を削除する。

5. 評価の基準化

面接評価表を作成し、評価のぶれを防ぐ。

これらはすべて、公正に面接を行える仕組みづくりです。こうした仕組みを確立することで、公正で安心感のある選考が実現し、信頼される採用につながります。

*参考資料:厚生労働省による「採用選考時に配慮すべき事項(就職差別につながるおそれがある14事項)」はこちらをご覧ください。

公正さを守るための質問ルールが定まったら、次は「評価のものさし」を整える段階です。評価基準を揃えることで、判断の一貫性と透明性が高まります。
次回は、そのための「面接評価表の整え方」を詳しくご紹介します。


採用の悩み、社内から解決しませんか?

採用は社内で変えられる!シンプル・お金をかけずに・すぐできる。中小企業のための人材採用改善セミナー

「いい人が来ない」「すぐ辞める」そんな中小企業の採用課題、シンプルに・お金をかけずに・すぐできる改善策がここに!

20年の実績を持つ採用のプロが、応募が来る求人票の作り方、入社後の活躍を見据えた採用の視点など、社内で今日から実践できるノウハウを無料で伝授します。

2025年10月6日(月) 19:00〜20:00、オンライン(Zoom)開催。定員20名。お申し込みはお早めに!

詳しくはこちら:【採用は、社内で変えられる!】 ~シンプル・お金をかけずに・すぐできる~ 中小企業のための人材採用改善セミナー

人材採用の悩み無料相談を実施中
現在抱えている採用のお悩み、課題、具体的な状況などをヒアリングし、解決に向けた方向性を一緒に考えます。
詳細はこちら:人材採用の悩み無料相談

CBL認定アソシエイトコーチ
Support Runners代表
エグゼクティブコーチ/人材採用支援アドバイザー
山本 知子

現在受付中の説明会・セミナー情報