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第13回:「問いに答えを出す」のではなく、「問いと生きる」という選択 ─経営者の内面に寄り添う、コーチのまなざし─

エグゼクティブコーチの役割は「問いと共に歩むこと」

「この問いに、正解はあるのだろうか?」
そんな言葉が、経営者の口から漏れることがあります。
将来の不確実性が高まり、予測可能な未来が消えつつある現代において、経営者が直面する問いの多くは、単純に答えを出せるものではなくなっています。

「会社をどの方向に進めるべきか?」
「この人事は、組織に本当に意味のある決断なのか?」
「自分の生き方と経営者としての在り方は一致しているのか?」

いずれも明確なデータやロジックだけでは答えを出し切れない問いです。それらは、経営の問題であると同時に、その人の人生そのものへの問いでもあります。だからこそ、コーチの役割は「問いに答えること」でも、「答えを導き出すこと」でもなく、「問いと共に歩む」ことにあります。
問いを「問題」として扱えば、早く片付けようとします。
しかし問いを「人生の同伴者」と捉えれば、それはむしろ成長のきっかけになります。

問いと共に生きる

ある経営者がコーチングセッションの中で、こんなことを言いました。
「いつかこの問いに答えが出ると思っていた。でも、違った。これは答えを出す問いじゃなくて、抱えて生きていく問いだったんです。」それは、「自分は何のためにこの会社を経営しているのか?」という問いでした。
業績やビジョンといった表層の目標ではなく、存在の根底に関わるような問いに向き合った瞬間だったのです。

こうした問いに対して、コーチはアドバイスも指示も与えません。むしろ、その問いがどれだけ大切で、手放しがたく、痛みを伴うものかに、深く共感し、沈黙と共に居続けることが求められます。問いに「決着をつけよう」とすると、深みは失われます。しかしながら「問いと共に生きよう」とすると、その人の視野や在り方は変わっていきます。

これは、コーチングそのものにも当てはまることです。
私たちコーチ自身も、
「よいコーチングとは何か?」
「自分はなぜこの仕事を続けているのか?」
「誰の、どんな未来に貢献したいのか?」
といった問いに、日々直面しています。
その問いに「明快な答え」は出ません。しかしながら、その問いがあるからこそ、私たちは成長し続けることができます。
“問いと生きる”とは、答えを持たないことを恐れず、むしろ、問いの中にこそ人生の輪郭が現れてくることを信じる姿勢です。

エグゼクティブコーチはクライアントの存在に寄り添う力を磨く

これからエグゼクティブコーチを志す方にこそ、問いの向こうにある人の存在に寄り添う力を磨いてほしいと思います。
問いを急がず、決めつけず、ともにその重さや意味を受けとめる力。
それが、真のコーチングにおける“共に在る”という姿勢です。
答えが出ることよりも、「その問いと向き合っている時間が豊かだった」と思ってもらえること。
それが、エグゼクティブコーチが提供できる最も深い価値かもしれません。

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国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

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