相手を不快にさせない気配りや先回りして動く。こうした日本独特のホスピタリティーを人工知能(AI)で実現しようとする動きが外食や小売り、サービス分野で広がっている。人手不足が深刻さを増すなかでも「おもてなし」の水準を保ち、顧客満足度を向上させようとする取り組みだ。
(日本経済新聞10月8日・12面「おもてなしAIが手助け」より引用)
「コーチング×〇〇〇」の5回目をテーマアップします
コーチングに関連の深いワードを掛け合わせて「コーチング×〇〇〇」とタイトルにし、コラムを綴ることを始めています。「コーチング×スポーツ」、「コーチング×教育」、「コーチング×リベラルアーツ」、「コーチング×リフレーミング」と、これまで4回ほどテーマ化してきました。
この「生成AI」については、実は最初に取り上げようと思い、いろいろ考えてみました。ただ、あまりにも広大すぎる概念といいますか、これを初回に取り上げてしまうと、その後に掛け合わせるワードとのレベル・ギャップがイメージされ、断念しています。ただ…少し時間を経た今回、一応の方向性を定めることができたので、トライすることにしました。それは、「一回完結ではなく、折に触れ、これからも書き続けてみよう」という方針です。
初回コラムは、「生成AIの2年間を振り返る」がテーマです。
これまで「生成AI」をテーマにしたコラムを、何度も書いてきました。サイト内検索欄に「生成AI」と入力し、クリックしたところ……19ほどヒットしています。
その一つ(2023年12月13日)に、『日経トレンディ』の2023年版と2024年版を比較したコラムを書いています。該当部分を引用します。
『日経トレンディ―・2030大予測(2022年末の発売)』には「生成AI」の文字はなかった
(A課長)
今日の1on1は「未来」がテーマになってきましたね。年末になると、マスコミによる「今年を振り返る」+「未来を展望する」企画がさまざま登場します。今手元に、『日経トレンディ』2023年1月号と2024年1月号があります。表紙タイトルは、いずれも「2030 大予測」です。そして、読み比べて気づいたのは、2023年1月号には「生成AI」のことが全く書かれていなかったことです。トレンドも1年間で様変わりすることが実感できます。(Sさん)
なるほど… 1年前と比較してみるのも面白いかもしれませんね。(A課長)
「1年で視点も変わるんだなぁ~」と感じられて、とても勉強になります。2030年を視野に入れていますから、未来予測もダイナミックです。
つまり、チャットGPT-4が発表された2022年11月以降、「世界の景色は激変した」わけです。そして、この1カ月の日経新聞に掲載された記事を概観すると、いよいよ「生成AIの実装化」が始まっていることが伝わってきます。
冒頭の引用は、小売り、サービス分野での導入ケースです。
10月22日の日経新聞1面では、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが開発者会議で戦略を説明する写真を添えて、「自律判断AI来月公開」という大きな見出しが躍っています。
翌23日には、「AIが会議進行手助け~富士通、指示待たず資料作成」のタイトルで、同社が「自律型AIサービス」をスタートさせていることが記事になっています。あらゆる分野で「生成AI革命」が、起こっています。
「生成AI」の実装化がさまざまなシーンで広がっている!
さて、「生成AI」とコーチングとの関りについて、思うところを綴ってみます。
コーチングは「会話」と異なる「対話」です。そして「生成AI」の世界で「対話型AI」という言葉が多頻度に登場するようになっています。3月25日の日曜版2面に、芥川賞作家である津村記久子さんの近未来小説である『サラと気難しい人間たち』が掲載されました。その内容に触発されてコラムを書いています。その箇所を引用します。
(Sさん)
Aさんはコーチングと言いましたが、「これからのコーチング」を考えて行く上で、とても示唆に富んでいますね。電子版の小説内容を開示してしまうと、ちょっとマズイと思うので、24日の紙面に掲載された「あらすじ」を確認しておきましょうか。『サラと気難しい人間たち』<あらすじ>
物語の主人公・としみの仕事はオンラインで「上質な雑談」を提供するトークアテンダント。顧客は電子マネーの高額利用者だ。としみと暮らすAIロボットのサラは、アテンダントの肩代わりできるほど会話に長けている。しかしなぜか顧客たちは、生身の人間との雑談を求めるのだった。
なんとなく「近未来」がイメージされます。「人間そのものと感じられるAIロボット」もいずれ登場するでしょう。では「コーチング×生成AI」はどのように進展していくのか……
コーチングと生成AIは「共存」する!
よく革新的技術が誕生すると、「代替される…」とネガティブに捉えてしまう向きもあります。私はそうではなく「共存」を支持します。「異質の調和」です。コールセンターやお客様担当窓口のスタッフは、カスハラ対策に頭を悩ませているわけですが、「対話型AI」が進化していけば、法律や条例に頼ることなく、ストレスも減殺されていくでしょう(AIロボットのサラはまさにその完成型です)。冒頭の引用にあるように「接客現場」でも威力を発揮すると思われます。
コーチングセッションは、摩訶不思議(?)な人と人が織りなす対話であり、毎回が予定調和とは異なる新鮮なドラマです。プログラムされていない人間だからこそ、「ユニークな対話」であるコーチングは「ますます重視され広がっていく」、と私は想像しています。
「コーチングと生成AIの関わり」がどのように展開していくのか、今後も折に触れてコラムで取り上げてみようと思います。
坂本 樹志 (日向 薫)
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