働く価値観の変化など時代が大きく変わってきている今日、
これからの企業経営で最も大切なことは、
企業の成長と社員の自己実現をどう一致させていくかにあります。
もっとも従前から、会社の目標と個人の目標との一致点を見出し、
そのベクトルを合わせることは、会社として常に目指してきたところであり、
今に始まったことではないのですが、近年特にこのことが求められているように感じます。
「企業の目標と社員一人一人の目標を一致させることなんてできるはずがない」
そんな声も聞こえてきそうです。
確かに、社員の目標は多様で一人一人異なり、
社員の数だけ目標があると言っても過言ではありません。
それらをどう一致させていくのか、これまでも多くの経営者が頭を悩ませてきた課題です。
しかしながら、私がこれまでお手伝いしてきた経験からしても、
経営者や社員一人一人のパラダイムや考え方を変えることができれば、
必ず一致させる道はあると確信しています。
マネジメントの父と称せられたピーター・ドラッカーの『5つの質問』の中にも、
そのヒントがあります。
一つ目は、われわれの使命は何か、です。
わが社がこの社会に存在しなくてはならない理由はどこにあるのか、
何のために仕事をするのか、この根本的な事業の目的を明確にすることです。
二つ目は、われわれの顧客は誰か、です。
わが社の使命は誰に向けられたものなのか、誰のお役に立ちたいのか、
どういう人を幸せにしたいのか、ということです。
三つ目は、顧客の価値は何か、です。
自分たちが売りたいものを押しつけて売るのではなく、
自分たちがお役に立ちたいと思っているお客様は何を望んでいるのか、
何に価値を感じているのか、です。
四つ目は、われわれの成果は何か、です。
成果というのは売上や利益のことだと思いがちですが、
大事なのはお客様がどうよくなったかです。
五つ目は、われわれの計画は何か、です。
計画とはただ数字を立て、スケジュールを組めばいいわけではありません。
事業を底上げするための目標を立てることだと、ドラッカーは言っています。
喜んでくださるお客様をどれくらい増やすのか、どう増やすのか。
そのために、人、モノ、カネ、時間、情報などの経営資源をどうやって、
手に入れ、活用するのか、という目標を立てたうえで、
役割分担し、実行していくことです。
この5つの質問に対する回答をもう一度考えてみましょう。
それを社員にきちんと伝えているでしょうか?
もしかして伝えたつもりになっていて、
社員は知らない、忘れている、理解していない、
といった状況にないでしょうか?
更にドラッカーは、『経営者の条件』で次のように述べています。
「成果を上げるには、人の強みを活かさなければならない。
弱みからは何も生まれない。成果を生むには、利用できる限りの強み、
すなわち同僚の強み、上司の強み、自らの強みを総動員しなければならない。」
社員一人一人が自分の強みを発揮できるような仕組みをつくることが必要です。
社員一人一人と対話し、その心の声を聴くことです。
ここにもリーダーとしてコーチングスキルとコーチングマインドが必要な理由があります。
社員が欲しているもの、欲していないもの、
既に持っているもの、持っていないものは何でしょうか?
マトリックスにして考えてみましょう。
例えば、社員が欲していて持っているものの中には、
一人一人の社員の中にある働く目的があります。
一方、社員が欲しいと思っているけど持っていないものは何でしょうか?
もしかとしたら会社の目的との結びつきかもしれません。
このようにして、会社の中の制度を一つ一つ見直してみましょう。
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