
心理的安全性は創造的な対話のための空気をつくる基盤
近年、企業研修や組織開発の文脈で「心理的安全性」という言葉をよく耳にします。
これは、ハーバード大学のエイミー・エドモンソン教授が提唱した概念で、「チームの中で自分の意見を自由に発言しても、非難や拒否を受けないという信頼感」を指します。
Googleが世界中のチームを調査したプロジェクト・アリストテレスでも、チームのパフォーマンスを左右する最大の要因がこの「心理的安全性」であることが明らかになりました。
なぜ心理的安全性が重要なのでしょうか。
それは、現代のビジネスが「正解が一つではない複雑な問題」への対応を求められているからです。メンバー一人ひとりが異なる視点を持ち寄り、対話しながら新しい解を見出すためには、安心して意見を出せる環境が欠かせません。
つまり、心理的安全性は創造的な対話のための空気をつくる基盤なのです。
心理的安全性には「内的安全性」が不可欠
しかし、ここで一つ見落とされがちな点があります。
それは、「心理的安全性」は組織の外的環境であり、その前提として「内的安全性」、すなわち、自分の中に安心の拠り所がある状態が不可欠だということです。
どれほど周囲が「意見を言っていいよ」と促しても、本人の内面が不安定であれば、思ったことを口にすることはできません。自己否定感、評価への恐れ、失敗への過剰な不安、それらが心の中にある限り、外の安全は機能しないのです。
コーチングは、この「内的安全性」を育む力を持っています。コーチはクライアントに対して評価や助言をせず、無条件の関心と尊重をもって対話を進めます。その関係の中で、人は「自分の考えや感情を否定されない」という体験を積み重ね、次第に自分自身への信頼を取り戻していきます。内的安全性が高まることで、人は自らの意見を持ち、他者との違いを恐れずに表現できるようになります。そこに初めて、心理的安全性の土台が築かれるのです。
内的安全性を育むにはコーチングが有効
ある製造業のチームでは、毎週30分の「リフレクション・コーチング」を導入しました。最初は沈黙が続きましたが、3カ月後には「最近の失敗から学んだこと」を自然に語り合う文化が生まれました。
メンバーの一人はこう語ります。
「自分の中に話しても大丈夫という感覚が育った。上司に許可をもらうより、自分に許可を出せるようになった気がする。」
これはまさに、内的安全性がチームに波及した瞬間です。
経営者や人事にとって、この二つの安全性をどう設計するかが、これからの組織開発の核心になります。制度や仕組みで心理的安全性を高めることはできても、内的安全性は「体験」を通じてしか育ちません。
その体験の場を提供するのが、コーチングなのです。
「安心して意見を言えるチーム」をつくるには、まず「自分の内に安心を持てる人」を育てることがポイントです。この順序を理解し、コーチングを研修・人材育成の中心に据えることが、真に強いチーム文化を生む第一歩になるでしょう。
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