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第14回:変化を起こすのではなく、変化が起こる場を信じる ─生成的なコーチングの力─

エグゼクティブコーチは「変化が起こるための場」を整える

「コーチングで、どう変化を起こすのですか?」
エグゼクティブコーチとして活動していると、こんな問いを投げかけられることがあります。
たしかに、変化はコーチングの大切な目的のひとつです。
しかしながら、コーチが「変化を起こそう」と力を込めすぎたとき、その働きかけは時として、クライアントの自然な成長プロセスを妨げることすらあるのです。

では、変化はどこからやってくるのでしょうか?
それは、コーチが引き出すものではありません。クライアント自身の内側から、自発的に立ち上がってくるものです。私たちにできるのは、変化を「起こす」のではなく、変化が「起こるための場」を整えることなのです。それは、変化を「計画する」「操作する」のではなく、信頼と関係性の中から自然に芽生え、育っていくものとして捉える視点です。
このアプローチでは、コーチは何かをつくり出す立場ではなく、クライアントの内側にすでにある可能性が生まれてくる瞬間を信じて待ち、見守り、支える存在です。

たとえば、ある経営者が組織改革について話していたセッションがあります。
初めは「どう進めるか」という議論ばかりでした。
しかし、静かな間の中でふとそのクライアントが口にしたのは、こんな言葉でした。
「……本当は、誰かに自分の不安を打ち明けたかったんだと思います。」
この言葉が出た瞬間から、クライアントの表情が変わり、語る内容が対策ではなく思いへと深まっていきました。そこからクライアント自身が「何のためにこの改革をやりたいのか」という原点に立ち戻り、その後の施策にも明確な一貫性が生まれていったのです。
このような内的な気づきと整合性の再接続こそが、本質的な変化を生み出す力です。

エグゼクティブコーチの在り方が触媒となって生まれる

コーチングでは、変化を「設計」しようとする誘惑に陥ることがあります。
けれども本来、変化は誰かが起こすものではなく、ある条件が整ったとき、静かに訪れるものです。

  • 評価されないこと
  • 急かされないこと
  • どんな感情も否定されないこと
  • 自分で気づくことが許されること

こうした条件がそろったとき、人は深いところから「変わりたい」と感じ、自然と行動が変わっていきます。だからこそ、エグゼクティブコーチの役割は、「変えよう」とすることではなく、「そのままでいても大丈夫」と伝えることから始まるのです。

これからエグゼクティブコーチを目指す方に、伝えたいことがあります。
あなたが提供するものは、スキルやアドバイスではありません。あなた自身の在り方によって、変化が起こる空間が生まれるということです。

つまり、変化とは「あなたが起こすもの」ではなく、あなたという存在のあり方が触媒となって生まれてくるものなのです。だからこそ、あなた自身が「変化を起こそう」とせず、ただ誠実にその場に居て、対話の流れを信じることです。その姿勢が、経営者の心に深く届き、やがて組織全体に影響を与えていきます。

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国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

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