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第12回(最終回):新入社員研修のゴールは“自律した社会人”ではない ─学び続ける人と組織をつくるために─

新入社員に必要なことは「自律し続けようとする姿勢」

新入社員研修の目的として、よく使われる言葉があります。
「自律した社会人を育てる」。
一見すると正しく、違和感のない表現です。
しかし、本当にそれが新入社員研修のゴールなのでしょうか。
ここまで11回にわたり、新入社員研修をめぐる課題と可能性を見てきました。
指示待ちが生まれる構造、即戦力幻想の危うさ、不安と孤独、内省と対話、失敗できる場、同期の力、OJTとの接続、上司の成長、企業文化の入口としての研修。
これらを通して浮かび上がってきたのは、ある一つの事実です。
それは、新入社員研修は「完成形をつくる場」ではない、ということです。
「自律した社会人」という言葉は、どこか“完成”を想起させます。
もう一人でやれる。任せても大丈夫。
しかし、現実の仕事において、人が完全に自律する瞬間など、ほとんどありません。
環境は変わり、役割は変わり、求められる力も変わり続けます。
本当に必要なのは、「自律した状態」ではなく、自律し続けようとする姿勢です。

新入社員研修のゴールは、学び続ける人として、この組織で歩み始めること

ここで、研修のゴールを再定義する必要があります。
新入社員研修のゴールとは、「学び続ける人として、この組織で歩み始めること」ではないでしょうか。
学び続ける人とは、何か。
それは、分からないことを分からないと言える人。
失敗を隠さず、振り返ることができる人。
他者の視点を取り入れ、自分の考えを更新できる人。
そして、「問い」を持ち続けられる人です。
この力は、知識やスキル以上に、これからの時代を生き抜く土台になります。
新入社員研修で本当に育てるべきなのは、
「できる人」ではなく、「できなくなったときに、学び直せる人」です。
そのためには、研修の中で次のような体験が必要になります。

  • 考え途中の言葉を話してもいい
  • 失敗しても、関係性が壊れない
  • 一人で抱え込まず、対話していい
  • 学びは共有していい

これらはすべて、「学び続ける人」に共通する原体験です。

新入社員研修とは、組織が「学ぶ存在であり続ける」ことを宣言する場

そして、この原体験は、新入社員本人だけでなく、組織にも影響を与えます。
新人が問いを持ち、対話し、振り返る姿を見た上司は、自分の関わり方を問い直します。
現場に、教えるだけでなく考える時間が生まれます。
やがてそれは、新人だけの話ではなく、組織全体の学習文化へと広がっていきます。
つまり、新入社員研修とは、新人育成の施策であると同時に、組織が「学ぶ存在であり続ける」ことを宣言する場なのです。
ここでどんな関係性をつくるか。
どんな問いを大切にするか。
どんな失敗をどう扱うか。
それらはすべて、「この会社は、どんな組織でありたいのか」というメッセージになります。新入社員研修を終えたとき、完璧な人材が出来上がっている必要はありません。
むしろ、「まだ分からないことがたくさんある」と自覚している方が健全です。
大切なのは、その状態で、「ここで学び続けられそうだ」「困ったときは対話できそうだ」と感じられているかどうかです。

新入社員研修を成長の起動スイッチとして終える

新入社員研修のゴールは、ゴールを設定しないことかもしれません。
終わりではなく、始まりとして終える。
完成ではなく、成長の起動スイッチとして終える。
それが、これからの時代にふさわしい新入社員研修の在り方です。
学び続ける人が育つ組織は、変化を恐れません。
問い続ける組織は、老化しません。
新入社員研修は、その未来を最初に選び取る場です。
新人に何を教えるかではなく、新人と、どんな学びの関係を結ぶか。
その問いに向き合うことこそが、これからの人材育成の出発点なのです。

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詳しくはこちら:新入社員コミュニケーション1日研修 ─コーチングのスキルで学ぶ 報連相力アップ─

国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

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