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工場長という役割に、コーチは何をもたらしたのか ─導入企業 : エスエス製薬 成田工場─

2024年12月から1年間、エグゼクティブコーチングを受けて頂いたエスエス製薬株式会社 成田工場長 堂本隆壮様にお話を伺いました。

堂本隆壮(どうもと りゅうそう)様のプロフィール

  • 広島生まれ
  • 早稲田大学大学院、グロービス経営大学院卒業(生理・薬理専攻、MBA)
  • 2010 サノフィ医薬品事業部 川越工場 製造・改善推進室
    サノフィ医薬品事業部 杭州工場 中国 改善推進
  • 2018 サノフィCHC事業部本社 フランス パフォーマンスリード
  • 2021 エスエス製薬成田工場 製造部長・プロジェクトリード
  • 2025 エスエス製薬成田工場 生産本部長兼成田工場長

1765年の創業以来、OTC医薬品の製造販売を行う製薬企業として、革新的で人々に愛されるブランドを通じて人々の健康に貢献。千葉県成田市に国内唯一の生産拠点である成田工場を有し、国内生産の約90%を担い、地域や環境にも配慮した操業を実施。

事務局 : 医薬品業界に入ろうと思ったのはどんなきっかけからですか?

堂本工場長 : 私が大学院で体内時計の研究をしていて、生物学とか薬理学のようなことをやっていたので、人の健康に貢献するという観点から製薬業界を選択しました。生産に携わりたいと思ったのは、ゴールドラット博士が書いた『ザ・ゴール』という本の影響もありますね。 あれを大学院の時に読んで、こんな面白い世界があるんだ、製薬メーカーなら両立できそうだって思いました。

「自分ひとりで考える限界を感じていました」

事務局 : 『ザ・ゴール』ですね。業績不振の工場長が師匠との対話を通じて、経営の本質に気づいていく。そんなストーリーだったかと思いますが、コーチングを受ける前は、工場長としてどんな課題をお持ちでしたか?

堂本工場長 : そうですね、やはり工場長として変革しないといけないことを感じていました。 製造部長だった時は、どちらかというと管理型のリーダーシップをしていて、品質や安全面にも気をつけなければいけないので、あれをやらないといけない、これをやらないといけない、こういう風にしてくださいと、細かく指示していました。今のポジションだと自分でできることがあまりないので。 どちらかというと、チームとしてのパフォーマンスを出すためにどうするかということが問われます。以前のようなリーダーシップのままではコンフリクトが起きるかもしれないと感じていました。どうやって調和を図り、チームにスペースを与えてアウトプットを一緒に出せるようなリーダーになっていくかっていうのが一つ大きな課題でした。

「コーチング受けても変わらないよ」

事務局 : 上司からコーチングを受けてみたらと言われた時はどんな気持ちでした?

堂本工場長 : 当時の工場長は非常に経験のある優れた方で、ご自身も過去にコーチングを受けた経緯から、「コーチング受けても変わらないよ。」というお考えでした。前工場長の言葉に「そうですよね」と思いながらも、一方で私はコーチングは大切じゃないかと思っていました。私は中学生の頃からテニスをしていたのですが、やはりスポーツの世界でもコーチが必要なように、自分が分からないとか、自分の考えがまとまらないところをガイドしてくれる存在って必ず必要だと思いますね。我流で伸びる範囲と、気づきを与えてくれることで伸びる範囲って全然違うので、大事だよなって私は思っていました。そして今回素晴らしい岩本コーチに出会うことができて、本当に良かったと思っています。

「エグゼクティブコーチング」に対する最初の印象

事務局 : コーチングの必要性は感じていたということですが、エグゼクティブコーチングっていうことに対してはどんな印象をお持ちだったでしょう。

堂本工場長 : そうですね、やっぱりポジションが上がれば上がるほど、自分自身でできることがものすごく限られてきて、結局一緒に働いている人だとか、そのチーム、仲間、ステークホルダーと一緒にどうやって社会とか世の中に対して貢献していくかっていう話になった時に、自分の考えを整理する。特に私の場合、新しく工場長になっていきなりステークホルダーとか影響範囲が広がった関係で、スタートの時にうまく整理できていなかったところを、ヒントとなる質問を何度もして頂くことで、自分の考えを言語化し、明確にすることができました。「こうやっていけばいいんだ」というような形で道しるべになりました。ヒントを与えてくれて、自分でゴールを作るプロセスをサポートして頂いたことが本当に有難かったです。ビジネススキルや業務上必要なオペレーションについてということではなく、エグゼクティブとして必要な要素について、常に考えて、頭に汗をかきながらできたので、すごく良かったと思いますね。

事務局 : エグゼクティブコーチングを受ける前は、どんなことを一番期待されていまし
たか。

堂本工場長 : そうですね。自分のリーダーシップの開発・成長ですね。それと、今後の工場運営や工場長としての役割の中でどういうビジョンを自分の中で持てるのか考えたいとも思っていました。

転機は「建前をやめた」瞬間

事務局 : 実際にコーチングを受けてみてどうでしたか?

堂本工場長 : 実はコーチングの途中、私の中でパッと切り替えたタイミングがありました。初めの頃は、結構構えていて、綺麗事ばかりセオリーで語っている自分がいたのですが、それをやり続けていても建前で固めても何にもならないと感じたんですね。そこで、本当に悩んでるところで話をするようにした時から、ものすごく自分の中に言語化というか整理ができました。いろんな本を読んだりとか、いろんなセオリーとかをインプットして理論を固めることはできるんですけど、それだけではリーダーシップは伸びないし、自分自身が本当に伸ばさないといけないところっていうのは、自分の考え方だったり、人間性だったり、心の持ち方だったりしますからね。コーチに話すことで自分の思考が広がった気がします。

事務局 : ご自身を開放しようとした、その転機というのは、ご自身の中で何が起きたんでしょうね?

堂本工場長 : そうですね、自分で喋りながら、なんかしょうがないこと言ってるかなと思ったんですね。せっかくこんなにいろいろ話す機会があるのにもったいないって思ったところと、どうやったら自分自身を最大限ディベロップメントできるかっていうのを考えたときに、綺麗事言っててもしょうがないなって思ったんです。コーチが何でも受け止めてくれて安心して委ねられる状態で居てくれたおかげだと思います。

「どんな工場をつくりたいのか?」という問い

事務局 : コーチの問いかけの中で最も響いたなと思ったのはどんな問いでしょう?

堂本工場長 : 「どんな工場長になりたいですか」とか、「どういう工場にしたいですか」「どういうリーダーでありたいですか」と問われた時には、すごく最初まず考えさせられましたね。今でもちゃんと言語化ができるようになっているのは、やっぱりその問いのおかげかなって思います。それをうまく言語化できたので、ブレずにできるようになりました。あれは非常に助かりましたね。実はあまりその辺のことは、深く考えてなかったものですから…。もちろん、工場運営におけるパフォーマンスを出すことは十分考えてはいるんですけど、それ以外の3つの重要な要素に思い至りました。それが、①育成型、②参加型、③シコウ型(思考・志向・試行・至高)という工場運営の3つの軸でした。コーチングを受ける前は、どっちかというと財務管理やKPI、効率化というようなことはよく考えていたのですが、 工場としてサスティナブルに今後10年、20年先を考えたときにどういう形であるべきか、そのために必要な要素って何かということを実装できたのかなという感じがします。

リーダーシップスタイルが変わった

事務局 : コーチングを受けて、ご自身の中で何が一番大きく変わったと思われますか?

堂本工場長 : 一番はリーダーシップのスタイルがたぶん大きく変わったんじゃないかなと思っています。どちらかというと、トランザクション型というか。 実行型のリーダーの側面が強かったですが、サポート型のリーダーシップがとれるようになったことですね。直属の部下からもバランスがすごく良くなったと言ってもらえましたし、部下を信じる力が高まったように思います。

意思決定の精度が上がった

事務局 : それは大きな変化ですね。意思決定の仕方についてはどうでしょう?

堂本工場長 : そうですね。 意思決定も前に比べると精度が上がったというか、より広い視野に立って意思決定できるようになってきているかなっていう気はします。私の場合は意思決定する上で結構大事なポイントがいくつかあるんです。そもそも意思決定するためのロジックがあるかどうかって結構大事にしています。 製造部長の時は自分で考えて全部できていたのが、今はできなくなった関係で、いろんなステークホルダーに話を聞きながら意思決定をする場面が増えたなっていうところと、 もう一つは倫理観が意思決定に及ぼす範囲がすごい高くなったなっていうところがあって、トップとして、リーダーとして恥ずかしくない、正しい意思決定をしないといけないと感じています。 もし品質問題が起きた時に、会社がどれだけ損失を被ろうがお客様を守らないといけない、私がちょっとでも妥協した意思決定をすると組織全体が崩れていくようなリスクがあるよねとか、 ビジネス的には正しくないけど、人的には正しいよねっていう意思決定だったりとか、そういった場面に出くわすことがたくさんあって、コーチングの中で色々な話をすることでたくさんの気づきがありましたね。リーダーとして、倫理的に正しい意思決定をすることがいかに大切か、自信を持って対応できるようになりました。ごまかさないことですね。リーダーが正しい判断をして、正しいことをみんなでやっている時のエネルギーっていうのは凄まじくて、ポジティブなエネルギーが生まれるんです…。

周囲の反響は…

事務局 : コーチングを受けたことによって周囲の反響というのはいかがですか?

堂本工場長 : コーチングと同時に、シニアリーダーにワークショップもして頂いたんです。去年、最初のワークショップをやった時に部下からのフィードバックを受けました。今も私の目の前に飾ってあるんですけど、その時は「もっと人の話をちゃんと聞いてくれ」とか、色々なフィードバックがありました。 4か月後にもう一回アンケートをとったのですが、「ポジティブにサポートしてくれている」「心理的安全性が高まった」「話しやすく意見を出しやすい環境になってきている」というようなことを言っていただいているので、率直に嬉しいなと思っています。

事務局 : 厳しいフィードバックを受けた時はどんな気持ちでしたか?

堂本工場長 : 厳しいフィードバックを受けるのは正直つらいですが、真摯に受け止めようと思いました。自分の特徴もある程度分かっていて、「すごく端的に話をしがち」だとか、「正しいんだけど、もうちょっと優しく言えない?」みたいなところも以前からフィードバックされていましたので…。フィードバックを受けて、まだそこが弱いんだなと改めて思い知らされましたが、ちょっとずつですが改善できているのではないかという気はしています。

事務局 : フィードバックを受け止められるリーダーは少ないのですが、きちんと受け止めて改善につなげているところは見習いたいですね。

堂本工場長 : 今は有難いことに工場長をやらせてもらっていますが、ただの役割としてやっていると思っています。私よりも経験が長い方がたくさんいます。フィードバックをもらいながら、それをしっかり反映させていくっていうのは、とても大事だと考えています。

組織への波及:ボトムアップの動きが生まれた

事務局 : 先ほどワークショップの話をして頂きましたが、堂本さんから見てどんな感想持たれましたか?

堂本工場長 : まずチーム形成前に、皆に不安を吐き出してもらい、フィードバックしてもらったことで、チームの雰囲気がガラッと変わったというか、私に対する認識が変わるきっかけになったような気がします。そこから更に、どのようしたらより高いパフォーマンスが発揮できるかを皆で議論して色々実践していますが、他のチームにも広げることで大きな成果につながっていて、本当に良い機会だったなと思っています。
最も成果があったのは、ボトムアップレクリエーションと呼んでいる活動です。大きく8つのグループを作って、それぞれにシニアリーダーがスポンサーに入り、デシダルや安全環境、健康、学習、社会的活動などに取り組んでいます。それぞれ自由に活動していいので、従業員の参画意識が高まって「この工場って楽しい」「自由な工場だ」って言ってもらえるようになってきました。

事務局 : 短期間によくここまで持ってこられましたね。

堂本工場長 : まだまだやりたいことがいっぱいありますが…。

新たな景色が見えている

事務局 : まだまだやりたいことがいっぱいおありになるということですが、どんな夢をお持ちなのか聞かせてもらってもいいですか?

堂本工場長 : そうですね。工場長になる前には見られなかった景色というのがいくつかあります。まず、私は日本のエスエス製薬本社のリーダーシップチームにも入っていますので、我々の製品を使って頂いて、より健康な社会に貢献していくために、自分が発揮できる影響範囲の中でどうやって活動していくかということが一つあります。もう一つは、昨年 11月千葉県の企業誘致セミナーで、パブリックスピーキングを初めてやりました。熊谷知事と私とコープ共済理事の3人でトークセッションをやらせていただき、200社位参加されていて、メディアも入る中、色々なお話をさせて頂きました。このような社会、千葉県、成田市に貢献できるような活動にも取り組んでいきたいと思っています。

事務局 : 堂本さんが目指す理想のリーダーはどんな人ですか?

堂本工場長 : そうですね。利他の精神をちゃんと持っていて、人を尊重しながら、かつアウトプットに対して情熱を持って取り組めるような人がいいと思っています。

自分の思考を超えるにはコーチが不可欠

事務局 : どんな時にエグゼクティブコーチがいてくれたらいいと思いますか?

堂本工場長 : 特に、新しい場所に飛び込むとか挑戦する時にいてくれるといいですが、ビジネスは常に安定しているということはありませんので、いつでもコーチがいてくれたら助かりますね。現在のように変化の激しい時代には、一人で考えていくのも限界があります。自分の思考の枠を超えるにはコーチとの対話が欠かせません。本を読むとか、親しい人に話すことで対応している人も多いのでしようが、常に本質的な問いを投げかけてくれるプロのコーチならではの対話の力があると感じます。日本の経営者の中には、他の人からのフィードバックよりも、自分の見ている世界が正しい、コーチに相談するまでもないと思っている人も多いですが、それでは進歩を閉ざしてしまうような気がしますね。私はやはり自分だけじゃなくて、いろんな人の可能性を信じているので、コーチとの対話を通して、考えて実行して、フィードバックを受けて、またトライするっていうがディベロップメントには必要なことだと思っています。

エグゼクティブコーチは「壁」であり「鏡」

事務局 : 嬉しい言葉をありがとうございます。堂本さんにとってエグゼクティブコーチを一言でいうとどんな存在でしょう?

堂本工場長 : 「壁」や「鏡」に近いですね。答えをくれるわけではない。でも、自分を映し返してくれて、自分で答えを出すプロセスを支えてくれる存在です。

リーダーの皆さんへのメッセージ

事務局 : 最後に、リーダーの皆さんへのメッセージをお願いします。

堂本工場長 : 新しい役割に就いたとき、影響範囲が一気に広がったとき、変化の中で自分の軸を見失いそうになったとき、そんなタイミングこそ、コーチがいる価値は大きいと思います。この工場で起きた変化が、その一つの答えだと思っています。

事務局 : 日本でも経営のインフラとしてコーチをつけることが当たり前の世界になってほしいと願っています。堂本さんにも引き続きお力添えをお願いします。本日は貴重な時間をありがとうございました。

まずは「対話」から始めてみませんか?

エグゼクティブコーチングは、答えを与えるものではありません。
考え、迷い、決断するリーダーに伴走する存在です。

聴き手:岩本 美雪
五十嵐 久

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