
コーチング導入企業の81%がエンゲージメント向上
「コーチングは良いことだとは思うが、成果はどう測ればいいのか?」
経営者や人事担当者から、しばしばこの問いを受けます。
確かにコーチングは目に見えにくい投資です。しかし、近年の研究や企業データは明確に示しています。コーチングは「感覚的な支援」ではなく、「定量的に効果を示す経営施策」であると。国際コーチング連盟(ICF)とHCI(Human Capital Institute)が行った調査では、コーチングを体系的に導入した企業の企業業績・従業員エンゲージメント・離職率がいずれも有意に改善したことが報告されています。特に注目すべきは、コーチング文化を持つ組織では、業績目標達成率が46%高いというデータを示していることです。
また、同調査では「コーチング導入企業の81%がエンゲージメント向上を実感」と回答しています。
この数字はもはや偶然ではありません。コーチングが組織の生産性のエンジンであることを、統計的に裏付けています。
コーチングの最も価値の高い効果は「文化のROI」
ROI(投資収益率)という観点でも、多くのエビデンスがあります。例えば、英国のメトリクスグループの調査では、コーチングへの投資1ドルあたり平均7倍のリターンが確認されました。米国の某金融機関では、エグゼクティブコーチングを導入した結果、離職コストが年間15%減少し、ROIは5.7倍に達したと報告されています。
このように、コーチングの効果は「人の変化」という定性的側面だけでなく、「業績」「コスト削減」「生産性向上」という経営的指標にも反映されるのです。
もちろん、数値化はあくまで一側面です。コーチングの真価は、「組織の内側から生まれる持続的な変化」にあります。一時的な研修効果ではなく、社員が自律的に学び合う文化が形成されることで、変化が制度ではなく習慣になります。この文化のROIこそが、最も価値の高い成果です。
戦略的投資としてのコーチング
一度根づいたコーチング文化は、時間とともに指数関数的な価値を生み出します。
例えば、ある製造業のリーダー育成プログラムでは、導入当初の目的は「若手の早期離職防止」でした。しかし1年後には、チーム間の協働が活発化し、イノベーション提案件数が3倍に増加しました。
人事担当者はこう語ります。
「最初は教育費のつもりだったが、今では組織変革への投資としか言えない。」
これはコーチングのROIを最もよく表す言葉でしょう。
経営において、「測れないものは改善できない」と言われます。
だからこそ、コーチングを曖昧な人材育成施策としてではなく、戦略的な投資として位置づける必要があります。
ROIを数値で示すことは、経営層への説得だけでなく、社内文化を変える第一歩になります。そしてそのデータの裏には、数字では表せない人間の変化と関係性の質の向上がある。それこそが、コーチングの真の価値なのです。
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日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久
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