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第9回:問いが“開かれる”とき ─答えを導くのではなく、世界を広げる問いとは─

問いは答えを求めるものではない

「正解を探すための問い」から、「可能性をひらくための問い」へ。
それが、エグゼクティブコーチングにおける問いの本質です。
経営者やリーダーは、日々“答えを出すこと”を求められています。
どの事業に投資すべきか、誰を登用するか、どう市場に動くか。そうした重い意思決定を重ねる中で、彼らの思考はしだいに「結論を急ぐ」構造に偏っていきます。

しかしながら、コーチングの場において、問いは答えを求めるものではなく、思考と感性の視野を広げるものです。その問いが向けられたとき、経営者の顔がふっと曇ったり、しばらく言葉を失ったりすることがあります。その“間”こそが、問いが効いている証拠です。
たとえば、こんな問いがあります。
「それを選んだあなた自身は、何を大切にしていたのでしょうか?」
「もしも今とまったく逆の前提に立つとしたら、何が見えてきますか?」
「その判断の先に、どんな未来を見ていますか?」
これらは、Yes/Noで答えられず、ロジックだけでは処理できない問いです。
だからこそ、経営者は思考の“枠”を外し、普段とは違う領域に踏み込まざるを得なくなります。そしてそこにこそ、本当の変化の入口があります。

良い問いは「旅への招待状」

あるエグゼクティブがこう語っていました。
「コーチに問いかけられると、自分の“いつもの答え方”が通用しないんです。だからこそ、自分の内側を掘り下げざるを得ない。あれは、ちょっとした旅ですね。」
まさに、良い問いは「旅への招待状」のようなものです。それは強制でも誘導でもなく、「あなた自身の世界を探しに行きませんか?」という静かな呼びかけでもあります。

問いはコーチの在り方を映す鏡

そして、その問いが真に“開かれて”いるとき、クライアントは、「知らなかった自分」に出会います。これは、問いを投げる側にとっても、大きなチャレンジです。
なぜなら、“問いはコーチの在り方を映す鏡”だからです。
問いが浅いとき、コーチ自身が安心・安定を求めているかもしれません。
問いが鋭すぎるとき、コーチが優位に立とうとしているのかもしれません。
問いが開かれているとき、コーチはクライアントの可能性を無条件に信じているのです。
また、問いを投げかけたあと、どれだけ沈黙を許容できるかも大切です。
問いの力は、投げた瞬間よりも、「そのあと何もしない時間」に宿るのです。答えを急かさず、言葉にならない思考が育つのを静かに見守る、それが問いを“効かせる”ということです。

これからエグゼクティブコーチを志す方にとって、「問いの技術」は大きな関心事でしょう。でも、その奥には、“問いの在り方”という深い世界があります。問いは、使いこなすものではなく、クライアントと共に開いていく“場”そのものです。問いの力を信じ、問いを通して世界を広げていく、それがエグゼクティブコーチとしての静かな使命です。

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国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

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