『隈研吾・負ける建築』と茨城県境町について語ります!(2022/07/11)

「聞く力」って、技術や経験が必要です。今の日本では「聞く力」が育ち、成熟することが一番求められているのではないでしょうか。
(『朝日新聞7月6日3面 深耕~隈研吾さん』より引用)

心理学を学びコーチングの資格を有する新進気鋭の若手A課長と、部長職を経て定年再雇用としてA課長のチームに配属されたSさんとによる1on1ミーティングです。
アイスブレイクはA課長の“小さな発見”です。

(Sさん)
おはようございます。今日は7月11日の月曜日です。そちらの天気はいかかですか?

(A課長)
横浜はいい天気ですよ。
ところで、Sさんのお住まいが関東平野のど真ん中とお聞きして、ホントかな? と思い… 疑った訳じゃないのですが、グーグルマップで調べてみました。ホントだったのですね。

(Sさん)
ときに話を盛ってしまうこともありますが、30年以上暮らしている埼玉、そして出身地の広島については、郷土愛を自認していますから、その分「ウソをつくのを戒める」ことをプリンシプルにしています。

(A課長)
Sさんは、埼玉と広島のことはよく話しますよね。その愛は伝わっています。正直なところ、ハマッ子の私は埼玉県については意識の外です(笑) ただSさんの「関東平野のど真ん中」という言葉に反応しました。
そしてグーグルマップをチェックすると、小さな発見がありました。

A課長の小さな発見とは…?

(Sさん)
小さな発見… 何でしょう?

(A課長)
埼玉、群馬、栃木、茨城の4つの県境が集中している場所が存在し、まさにSさんのお住まいが、そこにあることを知りました。
千葉県もそこから10キロくらいでしょうか… テレビの天気予報は毎日のように見ていますが、県境のラインしっかり見ると関東平野の真ん中あたりが、4県、いや5つの県境が集まっているのを、今になって気づきました。
失礼ながら、あまり興味のないことは、見ていても見ていないんですね。Sさんとは、「人は聞きたいことだけを聞き、見たいものだけを見ている」ことを確認し合っていますが、またしてもそれを実感しました。

私たちは「聞きたいことだけを聞き、見たいものだけを見ている」のが常態!

(Sさん)
案外そんなものじゃないですか? 同じ関東でも、東京、神奈川、千葉の人は、栃木と群馬の位置関係、つまり、どっちが右か左かあいまいな人が多いと思いますよ。
結局こだわりの度合いですよね。人それぞれこだわりを持っているし、それが知的好奇心となって、特定のことがらへの探求の旅が始まるのではないでしょうか。その内容が、俗に言うところの社会的価値観とズレていなければ、その時点でも評価されたりします。

ただ、そのようなものは小粒のような気がします。画期的な発見や、イノベーションが起こるきっかけとは、実はほんの些細なことなんじゃないでしょうか。誰も注目していなかったり、「変な研究を始めている…」と思われたり。それが時を経るうちに、その些細なことに注目し、センスある人たちの輪が広がっていく。研究は厚みを増し、世の中の価値観までも転換させる大発見であることが、後になって認識されるに至る。
実際ノーベル賞が授与されるテーマは、数十年前の発見や発表、作品だったりします。

(A課長)
Sさん、「世界に影響を与える日本のソフトパワーは何か?」と問われて、「アニメやTVゲームの世界観である」、と答える人がメジャーになってきました。ジャパンクールです。
私は中学生の時、エヴァを知ることで、自分にオタク傾向があることを実感するのですが、当時は自己肯定感とは無縁でした。ところが、20年以上経って、そのアニメが映画、TVの中心、かつ最大のコンテンツとなっています。
社会変化の後押しもあって、今では自己肯定できています。心理学を学び、コーチングの資格を取ったことも、自己効力感につながっています。

自己否定はいつの間にか自己肯定感に変化、そして自己効力感につながっていった…!?

(Sさん)
今日の1on1も、いい流れになってきました(笑)
これまで新聞は、日経新聞を題材にしてやってきましたが、今日は朝日新聞を取り上げてみたいのですが、いかがでしょうか?

(A課長)
珍しいですね。もちろんOKです。

(Sさん)
日経は、お金・経済に関するリアルなテーマを扱う専門紙からスタートし、もちろん現在は英フィナンシャルタイムズも含む総合紙となりましたが、前もお話ししたように、融通無碍というか、“イズム”を感じさせない新聞だと思います。その点、朝日、毎日、読売、そして産経の各新聞には、“イズム”があります。

さまざまの“イズム”を考えることも必要だと思うので、不定期ですが、読むようにしています。先週は朝日と毎日も並行して読んでみました。
特に朝日の7月6日の1面と3面に掲載された、隈研吾さんへのインタビューに響いています。

(A課長)
建築家の隈研吾さんは時の人ですね。どのような内容ですか。

関東平野の真ん中の小さな町に隈研吾設計の建物が集積?

(Sさん)
確か1か月くらい前でしたか… 妻が、「境町に行ってみない? 隈研吾設計の建物が集積しているらしいわよ」というのです。「世界の隈研吾設計の建物が境町に…」と聞いて、半信半疑でした。

境町には申し訳ないのですが、そこはAさんが指摘した5県の県境が集まっている茨城県側のとても小さな町で、私の自宅からも目と鼻の先ですから、隈研吾は結びつかなかったのですね。

その時は、長女、次女が娘を連れて遊びに来ており、つまり孫ですが… 調べたところ、境町は公共施設が充実し、「S-WORK+KIDS」という、ボーネルンドの大型遊具やネット遊具のある屋内型施設もあるようで、孫娘の遊び場としてもよさそうだから、というので行ってみたのです。

(A課長)
境町ですか…?

(Sさん)
境町はほんの近所で、筑波山に遊びに行く際に通過することもありましたが、目的を持って向かったのは初めてでした。
そして、オーバーに聞こえるかもしれませんが、そこは感動の町でした。

(A課長)
感動の町…ですか?

茨城県境町は感動の町だった…!?

(Sさん)
感動の理由は、隈研吾さんに関わることだけではありません。ただその1か月前の体験があったので、朝日新聞での隈研吾さんのコメントがとても身近なものに感じられたのですね。1面と3面で取り上げられています。タイトルは『「負ける建築」政治に置き換えると』で、見出しが『「偉そう」なシステム否定』です。
ちょっと紹介します。

隈さんによると、「負ける建築で、上の世代の建築家たちの、より高いビル、より目立つ建築を造って「勝とう」という意識を批判しようと思ったという。少なくとも「勝つ」こと、「偉そう」であることを否定するスタンスが「負ける建築」という言葉で伝わると考えた。そして「政治はまさに『偉そう』なシステムの根幹です」と言う。

(A課長)
そういえば、以前の1on1でSさんは、「40歳過ぎたら部下との議論に負けよ」って言っていましたよね。ええっと、いつだったかな… スケジューラーを見てみます。3月15日でした。
私もSさん流マネジメント論に触発されて、コーチングにおける傾聴の大切さを、村上春樹さんの言葉を使ってSさんに話しています。春樹さんの言葉もメモっているので…

……じっと話を聞いていると、相手の中に自然に入っていくという感覚があるのです。巫女=ミディアムみたいな感じで、すうっと向こう側に入っていけるような気がする。これは僕にとって新しい体験だったのです。

(Sさん)
思い出しました。
上司は、ともすれば部下の未熟なところを指摘し、教え導こうとしてしまいます。そうではなく、「部下が気づきを得るために、どう対話を進めていけばよいのか?」について、少々キャッチ―な表現をつかってAさんにお話しした、という経緯でした。

隈さんの「負ける建築」は、私が常日頃思っていることを整理してくれていると感じました。朝日新聞の記事は参院選を前に、隈さんが2004年に著した『負ける建築』を引き合いに出して、朝日新聞らしく「今後の政治の方向性」を描こうとした内容です。

「負ける建築」の意味するところを紐解くと…

この「負ける建築」の含意については、ネットの『コトバンク』にわかりやすく書かれています。

……建築家の隈研吾が2004年に刊行した同名の自著で提唱した建築観。都心に屹立(きつりつ)して巨大さや構造的な強さを誇示する高層ビル群やサラリーマンが多額のローンを組んで購入する郊外の一戸建て住宅などを「勝つ建築」としてとらえ、それとは異質な受動的な建築のあり方を目指したもの。(中略)

それに代わって周囲によく馴染み、様々な外力を受け入れる柔軟な建築を目指すべきだと主張する。建築家個人の美意識よりは社会との対話やコンセンサスを重視し、またバブル期の装飾過剰なデザインを戒め、周辺環境への配慮を強調している点では一種のサステイナブル(持続可能)な建築の提唱といえる。……

(A課長)
後段の「それに代わって周囲によく馴染み…」からは、コーチングの概念に通じるものがあります。
Sさん、その境町に集積しているという隈さん設計の建物って、どんな印象でしたか?

(Sさん)
いずれもが隈さんらしく「木」の素材を生かした温もりが感じられます。小さな建物ばかりなのも、ちょっと驚きました。

Aさん、境町は人口2万4千人の本当に小さな町です。最初に話したように、妻と2人の娘、2人の孫の6人で向かったのが「S-WORK+KIDS」です。素晴らしい施設です。食材を持ち寄ってパーティもできるキッチン付きの大型パーティルームや、コワーキングスペースもあります。子供たちを遊ばせながら仕事もできる環境です。

『るるぶ特別編集 茨城県境町』には新たな発見が目白押し…!?

スタッフの方からいろいろお話を聴いたのですが、境町への愛がみなぎっていました。そこに置いてあったのが『るるぶ特別編集 茨城県境町』です。
境町だけの『るるぶ』があることに驚きました。JTBとのコラボ企画ですね。
私が「感動の町」というその訳は、この『るるぶ境町』を読むと理解していただけると思います。
https://www.sakaimachi.jp/files/ibaraki-sakaimachi-rurubu.pdf

(A課長)
ええっ? 自動運転バスが公道を走っているんですか! 
「自治体で初となる公道を走る自動運転バスが2020年11月から運航を始めた…」とありますね。
それから「関東1位のふるさと納税」と書いてある。「寄付額ランキングでは、関東で3年、茨城県では5年連続の1位を達成!(2019年度)豊かな自然が育む米や常陸牛など、魅力的な返礼品にも注目が集まっている」との説明だ。

(Sさん)
Aさん、「企業版ふるさと納税」という制度があるのをご存じですか?

(A課長)
私たち個人の寄付ではない、企業の寄付ということですか? 初めて聞きます。

会社で言うと中小企業の境町は、オンリーワンのイノベーター!

(Sさん)
私も境町に来て初めて知りました。特定の自治体にその自治体の外の企業が寄付を行うと、6割の税額控除が受けられる制度です。ただし国が認定したプロジェクトに限る、ということですから、自治体側の企画力が問われます。
ちなみに、「企業版ふるさと納税」には返礼品はないようです。

境町は、「平成28年度企業版ふるさと納税受入額ランキング」で、全国に1700以上存在する自治体の1位となっています。
ちなみに茨城県には44の市町村が存在しますが、境町の人口は36番目です。このような小さな町が、さまざまな指標でランキングされるのは、橋本町長のパーパスを町民が理解し、受けとめ、「自然と近未来を体験できるまち」という価値であるバリューを実現していこう、という思いの強さだと感じています。

「境町の自動運転バス」をネットで検索すると、いろいろ出てきますが、次のサイトは、コストなども含めた詳細が書かれているので、事業評価レポートとして見ることが出来ます。

『茨城県境町で自動運転バス実用化から1年。見えてきた成果と課題/渡辺和博=日経BP 総合研究所』
https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/434167/022100208/?ST=ppp-print

それから、このバスが町民からいかに愛されているかが伝わってくるYouTube動画も見つけました。『境町への感謝 ~自動運転バスの安定稼働を支えた人々~』です。
https://www.youtube.com/watch?v=cbBrd3QSRm0

自動運転バスは地域のみんながサポートする財産そのもの!
バスの愛称はアルマです。この動画に、最初に登場する「さかい河岸ベーカリー」のマダムが、このアルマへの思いを語るシーンは、ジーンときました。

……やっぱり最初はスムーズにいかないですし、住民の人たちの「本当にやっていける事業なの」、という声も聞いたの。でも「一緒にみんなで成功させようよ」、という気持ちになって、だから… スムーズにいかないことって当たり前なんですよ。こんな難しい事やろうとしているんだから。

そう、自分たちの財産じゃないかと思うんですよね、このアルマは…
みんなで「もっと価値あるものにしていこう!」って。だから…「じゃあ、自分でできることは何か?」…「そんなの出来ない」じゃなくって、「じゃあ、自分ができることは何?」って考えたら、「もっと活性化できるんじゃないの」って思うんですね~

(A課長)
未来志向ですね。創業期を支える人たちの熱い気持ちが伝わってきます。
このアルマも多くの人の力で運営されているのだと思います。Sさんがいつも口にする言葉、「ひとりじゃないよ!」ですね。

今回の1on1は、Sさんが境町の広報担当のように語っていただきました。境町は会社で言えば中小企業ですよ。大企業のような盤石な経営資源はもっていなくても、構成メンバーひとりひとりの力が結集していけば、「偉そうな大企業」にはない、レジリエンスを発揮し、画期的なことも実現できる!
隈研吾さんの理念としっかりハーモナイズしている…

(Sさん)
コーチングはフューチャーペーシングであり、バックキャスティングであると、Aさんから聴いています。過去にとらわれるのではなく、ゴールという未来に目的を定め、そこに向かって進んでいく。
境町の話がどうコーチングにつながっていくか… 話はじめはイメージが出来ていませんでしたが、心配におよびませんでした。私の中にコーチングの理念が、しっかりと根付いている!(笑)

(A課長)
ありがとうございます。Sさんのおかげで、一生縁がなかったかもしれない境町を知ることが出来ました。不思議な体験です(笑)
次回も「新しい発見」のある1on1にしたいですね!

坂本 樹志 (日向 薫)

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