自立支援型コンサルティング・プロセスの第4ステップは、協働(カタチにする)の場面でのポイントでのポイントです。
第4ステップ 協働(カタチにする)の場面でのポイント
第4ステップは、広げた経営者の想いを集束して、カタチにするプロセスです。従来型のコンサルティング・プロセスでは、中小企業診断士が提案し実行計画まで策定することになりますが、ここでも中小企業診断士は、経営者と協働して経営の方向性を発見し、経営戦略を立案していくことになります。
この時に、中小企業診断士は、PEST、3C、SWOT、バリューチェーンなど様々なツールを使って整理し、提案しています。これらのフレームワークやツールは、思考を広げ、整理するうえでとても便利です。しかしながら、フレームワークに情報を入れ込んで整理しただけになっていないかに注意が必要です。
ここでも、第3ステップで説明した5W1Hで考えると、モレなく整理することができます。
例えば、新商品をどう市場に浸透させていくかという課題であれば、
【Why】 何のために新商品を市場に出すのか?目的・ゴールは何か?
【When】 いつまでにやるのか?期限や期間は?
【Who】 ターゲットとする顧客は?どの市場や顧客を狙うのか?
【What】 提供したい商品や価値は何か?
【Where】 どのチャネルを使うのか?
【How】 どんなプロモーションを用いるのか?
【How much】 価格はどうするか?
質問自体はとてもシンプルです。これらの問いをいかに組み合わせて発想をひろげていくかがポイントです。
経営の方向性を考えるときにも、次のように問いかけをしてみます。
【Why】 何を目指すのか? (ミッションやビジョンを考える)
【Where】 どの領域で考えるか?(ドメイン/事業領域)
【When】 いつまでにどんなステップで展開するか?(展開方法)
【Who】 ターゲットをどうするか?(市場・競合分析)
【What】 強みや優位性は何か?(戦略)
【How】 具体的にどう戦うか?(戦術)
SWOT・クロスSWOT分析、ビジネスモデルキャンバスなどのツールを用いる場合でも、中小企業診断士が自分で考えるのではなく、上記のような視点から経営者に質問をし、経営者自身に考えてもらうことが大切です。
質問の仕方によって、発想は無限に広がっていきます。いかに多様な質問を作り出せるかがポイントです。
特に新たな価値を創造するには、WhatやHowを考える前に、When、Where、Whoを使って発想を広げ、Whyを考えることです。世の中で常識と思われていることと真逆から考えてみると新しい発想が生まれることがあります。
経営の方向性を発見し、戦略や経営目標を設定し、事業構造や経営資源を考え、次の具体的なアクションプランを考えるうえでも、Why(目的)、What(競争優位性)、How(実行計画)がすべてのポイントです。
経営者と話をする時に、常にこのことを意識していくとよいでしょう。
これを使いこなすことができれば、どんなツールよりも強い味方になります。
(埼玉県中小企業診断協会コンサルティング・コーチング研究会の調査研究事業報告書から一部抜粋加工)
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