昨年公開した映画「違国日記」に、エマさんは主人公の友だち「中野さん」の役で出演した。ここでも肌の色に特別な意味はない。「自分が100%日本人だという感じはまだ持てない」と言うエマさんも、ほんの少しずつ、社会の変化を感じている。
(朝日新聞1月11日1面カタ記事より引用)
「特別の日本人」から「普通の日本人」へ…
2025年、年頭2回目のコラムです。1月11日という、縁起のよさを覚える日の新聞の記事をチョイスし、コラムを書こうと決め、日経新聞以外の新聞を求めて近くのファミマに向かいました。時折こうして、さまざまの新聞も読むことを心がけています。朝日、読売、毎日… 新聞各社のトーン&マナーの違いを感じることも一興ですね。
ちなみに1月11日は、正月の最初の行事である「鏡開き」です。神様から力をいただき、一年の無病息災を祈る日です。私はというと…「サトウの切り餅」をレンジで温め、少し居ずまいを正し、きな粉餅を食しています(お雑煮ではなく…笑)。
ファミマでは、朝日新聞1面のカタ記事に目が留まり、購入を決めました。「多民社会」というシリーズ企画のようですが、その日のタイトルは、「普通の黒人生徒」うれしかった、とあり、グレイス・エマさん(19)の素敵な写真が添えられています。
冒頭の引用は、1面カタ記事最後のパラグラフです。そして記事は、▼2面=「みんな同じ」脱却へ、と続きます。その書き出しを引用します。
「もう学校に行きたくない」
カナダ出身の教師、キタノ・ブレイスウェイトさんはある朝、神奈川県内の小学2年生だった娘の美桜さんに打ち明けられた。肌の色が濃いことをからかわれていたという。
学校に電話すると、校長はすぐに対応した。ブレイスウェイトさんが学校を訪れ、子どもたちにカナダの黒人の歴史について話すことも認めてくれた。娘をからかった男児は、母親に教わった英語で謝りに来た。
2面は全面8段の大特集でした。上部2段がビジュアルデータで、「日本における複数の民族・人種等のルーツがある人々のアンケート調査(2024年7月)」の結果を、「調査からわかった7つの現実」、という見出しを付して簡潔に紹介しています。以下は上位3つです。
- マイクロアグレッションの経験あり 98%
- いじめや差別の経験あり 68%
- 不登校の経験あり 32%
前回のコラムは、博報堂生活総研による「19~22歳の未婚男女600人の若者調査(2024年1月~2月)」を取り上げています。「30年前と激変、Z世代の親子関係」というタイトルが付されているように、「尊敬する親」「自分の価値観や考え方に影響を与える親」は、父親から母親に“驚くほど”シフトしているのです。意外でした。
そして今回の朝日新聞の記事でも意外なデータが示されています。国立社会保障・人口問題研究所の是川夕さんの推計です。
日本の人口のうち国際カップルの子や国籍取得者など「移民的背景」のある人と外国籍の人を合わせた数は、20代前半で1割を占める。2040年には30代前半で17%を超す見込みだ。
「意外なデータ」と言ってしまいましたが、実は私の長女も国際結婚です。身近なところで国際化が進んでいました(笑)。データの裏付けに納得です。
「同調圧力」は日本の宿痾たるネガティブ文化!?
朝日新聞の全面特集2面のタイトルは、「みんな同じ」じゃない学校へ、です。そして最初の見出しは「髪形禁じる校則 ルーツ否定しかねず」です。東京弁護士会が一昨年、外国人にルーツのある子どもや保護者に、学校での髪にまつわる経験を聞いた調査が紹介されています。
回答した126人中30人がストレートパーマや縮毛矯正をしていると答えた。理由で最も多かったのは「目立ちたくない」。「校則違反になる」「学校の指導があった」といった回答もあった。
このようなリアルを知ってしまうと「校則って何だろう…」という深い疑問が湧いてきますね。記事は…アフリカ系にはボリュームが出やすい髪型の人が多い。「コーンロウ」「ブレイズ」といった編み込みの髪形は手入れしやすいが、学校では認められないことがある… と、補足します。
髪形については、夏の甲子園大会で優勝した森林貴彦慶応義塾高校野球部監督のコメントを取り上げたコラムも書いています。再掲します。
──甲子園では選手たちの自由な髪形が注目された。
「いまだにそんなことが話題になるのかと残念に思う一方、これを入り口に(変化への)議論が進めばそれでいい、と思った。問題は髪形そのものより(無思慮に前例に従う)思考停止、旧態依然、上意下達の部分。高校野球はこういうものだという枠を誰かがつくり、枠の中でずっとやってきた。今年の優勝で、一石を投じることはできたかなと思う」
(日本経済新聞2023年11月12日2面「直言~たかが髪形 されど髪形~」より引用)
マイクロアグレッションに気づくことから日本の変革は始まる
朝日新聞2面に戻ると、後半は「何げない差別(マイクロアグレッション)98%が経験」を見出しとして掲げ、問題提起しています。
マイクロアクレッションについても、過去コラムにしてみました。エグゼクティブコーチの資格を有する若手A課長と、その妻との仮想コーチングセッションです。ちなみに「A課長の妻」のモデルは、私の長女をうんと膨らませて(笑)造型しています。
朝日新聞の最後のまとめは、「多様性受けいれる心 共生体験が育む」です。先に紹介した「日本の人口のうち国際カップルの子や国籍取得者など“移民的背景”のある人と外国籍の人を合わせた数は、20代前半で1割を占める」というデータが示すように、若者を中心に「共生体験」は着実に広がっています。
前回のコラムで私は「Z世代が、保守的であり変わることを拒んでしまう“日本文化”を大きく変えてくれそうな未来を予感しています」と書きました。100%日本人だという感覚を持てないエマさんも「ほんの少しずつ、社会の変化を感じている」ように、この日本もこれまでの「くびき」から解放され、真の意味でのグローバルな国家として進化していくだろう…その未来に想いを馳せています。その一助となるよう、これからもコーチングの本質を書き続けていこうと思っています。
坂本 樹志 (日向 薫)
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