5歳の孫娘と“ともだち”の私が「自己肯定感と自己効力感」について考えてみる!(2021/11/16)

最初に「自己肯定感」と「自己効力感」の定義をおさえておきましょう。
「自己効力感」は心理学の分野で「self-efficacy」として定義されています。対して「自己肯定感」は、一般的な用語として使われている印象です。ただ今日では英語の「self-esteem」を意味する「自尊心」を「自己肯定感」として捉える向きもあります。

ただ「自己肯定感➡自尊心」とすると概念が狭まってしまうので、肯定を「同意すること、認めること」と定義する広辞苑のニュアンスを受けとめ、「自己肯定感➡自己を承認する意識」として、コラムを進めてみようと思います。

<自己肯定感>

自己肯定感は、「自分という存在を、優劣や高低という評価を含まない、ありのままの自分として受けとめること。つまり自然体の自分である自己を承認すること」です。

<自己効力感>

self・efficacy(自己効力感)は、「自分が、ある具体的な状況において、適切な行動を成功裡に遂行できるという予測および確信。バンデュラ[A.Bandura]が提唱した概念である。彼は、自己効力感を高められるか否かで心理療法の効果のほどが決まるとした。そして自己効力感を高める要因として成功体験、他者の成功体験の観察、生理的要因などを挙げている…(『カウンセリング辞典/誠信書房』)」、のことです。

妻は私のことを「子どもと同じレベル…」と捉えています。

以前のコラムで、私の振る舞いに関してその多くに厳しい視線を向けている妻が、「あなたがすごいなぁ、と思うのは、子どもと同じレベルで遊べることね…」と評していることを書きました。(2020年10月16日)。

その表れる態度は私が意識しているから…という訳ではなく、交流分析のエゴグラムの結果、「自由奔放な子どもとしての要素」であるFC(Free Child)が強く出ているので、「自分の素」がそういう性格なのだろうなぁ、と自己肯定しています。

私には現在5歳になる孫娘がいます。発語がままならない時より、私のことを「おじいちゃん」と当たり前のように呼称するママ(私の長女)でしたが、孫娘はいつの頃からか私を「たっちゃん」と呼ぶようになり、加えて「ともだちだから」と真顔で言うようになりました。

私とその孫娘とは今現在、その“ともだち関係”が強固となり、極めて安定しています。つまり、私への接し方は、「おばあちゃん」と呼ぶ妻、また「ママ」である長女とは明らかに異なる態度なのですね。妻と長女が笑いながら、「まさに対等関係ね」と指摘します。

妻は、孫娘に対して基本的に“しつけ”を意識しながら対応しています。
長女はコロナ禍以降、zoomを使ってのリモートワークが中心となり、東京の自宅(や私の住まいである緑豊かな埼玉…新型コロナからの疎開)で過ごすことが多くなっています。保育所の休園も続き、仕事をしながら娘の面倒を見なければならないというストレスフルな環境です。

管理職の長女が在宅勤務の子育てで注力した行為とは…

この環境の下、長女は娘(孫)とどう接していたのか? というと…… 手が空いたときは、とにかくギュッギュッしているのですね。もうベタベタに抱っこしまくっています。
孫娘も、「ママは〇〇ちゃん(自分)が大好きすぎるんだから~」と、ギュッギュッに身をゆだね、嬉しそうに長女に告げます(私から見ると、自己効力感たっぷりの優越感を漂わせている風情です…笑)。

少しを補足すると、子どもの自我が著しく成長する2~3歳(意識・思考の発達に比べて言語能力が追いつかないので、自分の気持ちを上手く表現できず癇癪を頻繁に起こす)の時期を迎えた時、長女はホトホトまいってしまい(孫娘の個性もあって私が見てもハードな状況でした)、育児への自信が揺らぎます(多くの夫婦が経験することです)。

そのころ私は長女に…「シンドイよなぁ~ 言葉を尽くしてどんなに伝えても、2~3歳では受けとめることが難しいから… だから、とにかくギュッギュッだけすればいいよ。とにかくギュッギュッだ」と、繰り返し話したのですね。

“魔の3歳”を無事クリアすることができた孫娘は、見違えるような安定期を迎えています。そして、私、妻、ママ(長女)、そしてパパに対してのそれぞれの接し方を観察すると、まさに変幻自在です(笑)。
エリック・バーンが提唱した交流分析の人間観は「人は年齢、性別に関わらず、5つの自我要素を出したり引っ込めたりして他者に対応している」、となります。
5つの強さに偏りはあるものの、モザイクであることが前提なのですね。

交流分析における5つの自我要素とは…

  1. 厳しい親としての要素であるCP(Critical Parent)
  2. 優しい親としての要素NP(Nurturing Parent)
  3. 大人としての要素A(Adult)
  4. 自由奔放な子どもとしての要素FC(Free Child)
  5. 従順な子どもとしての要素AC(Adapted Child)

孫娘は5歳ですが、交流分析の視点を援用すると、徐々に社会的な存在としての成長をたどっているようです(笑)

子どもの自己肯定感、そして自己効力感を高めるための方法を伝授する書籍が多く出版されています。そこには、「ほめ方」「叱り方」、「上手だね~」、そして「やればできる」、「強いメンタルの育て方」といったワードが登場します。つまり「教本」です。教育のシンプルな捉え方は、「先生が生徒に教示する…ティーチング」です。

一方、コーチングのスタンスはティーチングとは異なります。
コーチは自分とともにクライエントを肯定した上で、クライエントに接します。その関係は“対等”なのですね。

コーチングとティーチング(教育)は何が異なるのか…

コーチングは、クライエントをジャッジメントしません。つまり「ほめないし」「叱らない」のですね。そして「上手だね~」というのは評価ですから、コーチングにおいて、その表現は基本的に用いません。

世の中全般に、「親が子どもに接する態度➡教育」として受けとめられていることを私は否定しません。実際に妻の孫娘への「しつけ」は教育です。
食事の際、孫娘がごはんの椀を左手で添えないでいると、「〇〇ちゃん…左手はどうしたの?」と、言葉にします。孫娘はあわてて、左手で茶碗をもつのですね。
ただ、すべてが教育となると…

「性役割分業」の意識が現在も拭いきれない日本文化ですが、長女が孫娘と同じ年ごろであった時期を思い返しています。
長女は私が26歳の時に生まれています。私は若くして父親になりました。時に感情的になって叱った私の態度を見た妻が、「叱るのは私がやるから男親のあなたが感情的になるのはみっともないわよ!」と、結構厳しく指摘します。これは「性役割分業」とはちょっと違うと受けとめています(笑)

さて現在の私が孫娘と接するシーンは、ほとんどが遊びです。
例えば、レゴブロックで3階建ての家を共同でつくるケースでは…

「たっちゃんはさぁ~、この壁は白にしたいんだけど、〇〇ちゃんはどう思う?」
「私は透明のブルーがいいと思うよ。アナと雪の女王のイメージでつくりたいから…」
「じゃあ2階はたっちゃんのイメージでつくっていい? かわりばんこってどうかなぁ?」
「いいよ」

こんなカンジで会話が進みます。
誤解しないでほしいのですが、このとき私は「真面(マジ)に孫娘と一緒に素敵な家をつくりたい」というシンプルな感情に浸りきっています。
そして振り返ってみると、特にほめ言葉は使っておらず、考えや思いを伝えあって(ときに喧嘩しながら…笑)、共同作業に勤しみます。
お互いの承認を積み重ねながら会話が進行していくのですね。

肯定を「承認…認めること」という言葉で説明しましたが、「承認」と「ほめ」は意味が異なります。
五十嵐代表が ~「ほめる」と「認める」は別のもの~ であることをコラムで紹介していますのでご覧ください。
https://coaching-labo.co.jp/archives/2264

ニンジンやピーマンを食べない子どもに対しては…

バンデュラは、行動を起こすモチベーションにおいて、自己効力感の高さが大切であるとしています。まさにその通りであり、「ではどのように働きかけていけば自己効力感が高まるのか」について、その方法を提示しています。そのカギとして「成功体験」を重視しているのですが、それは「自分の成功体験」だけでなく「他者の成功体験の観察」も含まれています。
子どもの場合それが顕著に表れます。まず「他者の観察」に着目です。

たとえば、ニンジンやピーマンが嫌いで食べようとしない子どもに対し、
「食べないと大きくなれないよ」
「〇〇ちゃんもおねえちゃんになったから食べようね~」
と、言葉を尽くしても子どもは食べようとしません。

ところが、親が子どもに何も告げることなく、「このニンジンおいしいなぁ、ママ(パパ)は大好きなんだよね、本当においしいなぁ~」と満面の笑顔でおいしそうに食べるのを繰り返すうちに…子どもはいつの間にか食べるようになる、という場合が多いのですね。
この方法はモデリングといわれる手法です。

子どもは「食べることができた!」という「自分の成功体験」によって「自己効力感」も高まります。

価値観が形成され変わることが困難になっていく大人と比べ、子どもの場合は、価値観(理屈)が形成されるのは後のことで、「観察する」という行動が成長の過程で自然に組み込まれています。とにかく「まねをしたがる」のです。
このあたりのことは大人になってしまうと忘れてしまい、子どもに対して、ついつい理屈を語ってしまうのですね。

子どもと大人を分類しないで考えてみる…いかがでしょうか?

今回のコラムは、5歳の孫娘を通じてのコーチングを考えてみました。多くの大人が子どもの頃の感性を忘却するのに対し、私の場合はまだ子どもっぽいところが残っているようです。
今回のコラムは、「子どもっぽい」ことを自己肯定している私の姿が浮き彫りになっていると感じられるかもしれません。ところが私の内心は少し複雑(コンプレックス)です。

「子どもと対等に付き合える…」という言葉を、プラス評価であると真に受けてはならない。「大人にもなってもいつまでも子どもっぽくて困ったものだ…」という、世の中がつくり上げた「大人の価値観」こそがスタンダードであり、素直に自己肯定してはいけない…と、自己効力感に疑問を感じる私が存在しているのですね(笑)

坂本 樹志 (日向 薫)

 

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