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第1回:新入社員研修は“社会人マナー教育”で終わっていないか? ─早期離職の本当の原因は、スキル不足ではない─

新入社員研修に必要なのは「自分で考え、学び続ける力」

毎年春、多くの企業で新入社員研修が行われます。
ビジネスマナー、報連相、コンプライアンス、会社理解、基本的な業務知識。
どれも必要な内容であり、決して無駄ではありません。
しかし一方で、こんな声も人事の現場から聞こえてきます。
「研修はしっかりやったのに、数年以内に辞めてしまう」
「配属後、主体性がなく、指示を待つばかり」
「メンタル不調で早期に離脱する新人が増えている」
もしこれらが起きているとしたら、それは新入社員本人の問題ではなく、研修の前提そのものに問いを向ける必要があるのかもしれません。

多くの新入社員研修は、いまだに「社会人としての正解を教える場」になっています。
正しい挨拶、正しい報告、正しい振る舞い。
新人は“間違えないこと”を求められ、評価されないように慎重になります。
この構造の中で、新入社員が最初に学ぶのは「自分で考えること」ではなく、「正解を探すこと」です。
しかし、現代の仕事環境には、明確な正解が存在しない場面が圧倒的に多くなっています。不確実な状況の中で、何を優先し、どう判断し、どう行動するか。そこで求められるのは、マナーや知識以上に「自分で考え、学び続ける力」です。にもかかわらず、新入社員研修が“正解提示型”のままであれば、配属後に新人が戸惑うのは当然でしょう。

新入社員研修の本来の役割は「この会社で学び続けていけるという感覚を育てること」

さらに見落とされがちなのが、新入社員の内面の状態です。
彼ら・彼女らは、期待と不安を同時に抱えています。
「役に立ちたい」「成長したい」という思いがある一方で、「失敗してはいけない」「評価を下げたくない」「迷惑をかけたくない」という恐れも強く持っています。この不安が言語化されないまま研修が進むと、新入社員は“自分を守るために黙る”ようになります。
その結果、「大人しい」「受け身」「主体性がない」と見なされてしまうのです。
ここで重要なのは、早期離職の原因はスキル不足ではないという視点です。
多くの場合、離職の背景にあるのは「この会社で、自分はどう成長できるのかが見えない」「安心して相談できる関係性がない」という感覚です。
つまり、問題は能力ではなく、関係性と学びの設計にあります。
新入社員研修の本来の役割は、「社会人として正しく振る舞わせること」ではありません。
それは、この会社で学び続けていけるという感覚を育てることです。
「わからないことをわからないと言っていい」
「考えを言葉にしていい」
「失敗しても、そこから学べばいい」
こうしたメッセージが、最初の研修で体験として伝わるかどうかが、その後の成長曲線を大きく左右します。

新入社員研修に必要なコーチングの視点

ここで力を発揮するのが、コーチングの視点です。
コーチングは、新入社員に答えを与えるのではなく、「あなたはどう考える?」「何を大切にしたい?」と問いかけます。その問いによって、新入社員は“教えられる存在”から“考える主体”へと立ち位置を変えていきます。
この小さな転換が、受け身から主体性への第一歩になります。
新入社員研修を、単なる通過儀礼で終わらせるのか。それとも、成長のエンジンとして再設計するのか。その分かれ道は、「何を教えるか」ではなく、「どんな関係性と学びを体験させるか」にあります。
新入社員研修を見直すことは、若手を甘やかすことではありません。
それは、変化の時代を共に生き抜くための、最も戦略的な投資なのです。

株式会社コーチビジネス研究所(CBL)は、エグゼクティブコーチの養成を行っているコーチング専門機関です。すべてプロフェッショナルコーチが講師を務める各種研修成プログラムを提供しています。詳しくは下記をご覧ください。

詳しくはこちら:新入社員コミュニケーション1日研修 ─コーチングのスキルで学ぶ 報連相力アップ─

国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

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