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第7回:1on1ミーティングの限界と進化 ─“面談”から“対話”へ、そして“共創”へ─

「1on1ミーティング」が機能しない理由

ここ数年、多くの企業が「1on1ミーティング」を導入しています。
部下とのコミュニケーションを深め、成長を支援する取り組みとして期待されています。しかしながら、現場の声を聴くと、「時間は確保しているが形骸化している」「雑談や業務報告で終わっている」という悩みも少なくありません。
なぜ1on1は、うまく機能しない制度になってしまうのでしょうか。

その理由は明快です。
多くの1on1が「管理の延長」として運用されているからです。
つまり、上司が部下の進捗を確認し、問題を修正する“チェックの場”になってしまっているのです。
本来の目的である「部下の成長を支援し、内発的な意欲を引き出す」こととはかけ離れています。その背景には、「話を聴く=時間の無駄」「指示しなければ成長しない」という、旧来のマネジメント発想が根強く残っていることがあります。

「1on1ミーティング」を効果的に進めるには

1on1を真に効果的な仕組みにするには、“面談”から“対話”へ、さらに“共創”へと進化させる必要があります。
面談は“上司が主導する会話”、対話は“相互に学び合う対話”、そして共創は“新しい意味を一緒に創る対話”です。
この段階を踏むことで、1on1は単なる定例業務から、組織の学習装置へと変わります。
コーチングのエッセンスを取り入れた1on1では、上司は“答えを与える人”ではなく、“問いを投げる人”になります。
「どうしたいのか?」「なぜそれを大事に思うのか?」「次に何を試してみたいか?」
こうした問いは、部下の中に眠っていた意欲や洞察を引き出します。
対話が進むにつれ、部下は自ら課題を定義し、行動の方向性を見出していく。
これは“教えられた変化”ではなく、“自ら生み出した変化”です。
ここに、1on1の真の価値があります。

コーチングの考え方と1on1の意味を徹底的に研修

ある企業では、1on1の導入初期に、コーチングの基本的考え方と1on1の意味を徹底しました。「傾聴」「承認」「質問」などのスキルももちろん重要ですが、それ以上に考え方と意識の改革が最も重要だからです。コーチング研修というと、表面上のスキルばかりを教えているケースが散見されますが、企業内で上司が部下に対して実施する「1on1ミーティング」と本来のコーチングは異なります。この点を理解していない人が多く、「1on1ミーティング」がうまくいかない原因にもなっています。

スキル以上に大切なものがあることを理解し、「1on1」は部下のための時間である、ということを徹底したうえで進めることができれば、その効果は絶大です。この会社の場合も離職率が下がり、部下の自己申告による心理的安全性スコアが平均25%向上しました。
さらに興味深いのは、上司自身のストレスレベルも下がったことです。「部下を導くプレッシャーから解放された」「一緒に考える関係になれた」という声が多く聞かれました。
これはまさに、1on1が“管理”ではなく“共創”に変わった瞬間です。

1on1は共に意味をつくる学びの場

1on1を制度として運用することは簡単です。
しかし、それを文化として根づかせるには、上司が変わることが欠かせません。
上司が「相手の中に答えがある」と信じることです。その信頼が対話の質を変え、対話の質が組織の関係性を変えるのです。そして関係性の変化こそ、企業が持続的に成長するための最も強固な基盤になります。これからの1on1は、業務管理のツールではなく、「共に意味をつくる学びの場」として再定義されるべきです。
そこでは、“正しい答え”よりも“良い問い”が価値を持ちます。
コーチングが浸透した1on1こそ、組織をしなやかにし、変化を生み出す最前線なのです。

株式会社コーチビジネス研究所(CBL)は、エグゼクティブコーチの養成を行っているコーチング専門機関です。個別コーチングのみならず、組織コーチングにも取り組んでおり、特に独自に開発した「グループコーチングWA」は、いま多くの企業で導入が進んでいます。詳しくは下記をご覧ください。

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国際コーチング連盟認定マスターコーチ(MCC
日本エグゼクティブコーチ協会認定エグゼクティブコーチ
五十嵐 久

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