受容と共感(2019/12/02)

受容とは

受容とは、クライアント(相手)の言葉、感情などを、自分の価値観で批判したり評価をしたりせず、そのまま、ありのまま受け止めることです。

そのためには、100%相手の味方になることが必要です。100%相手の味方になるということは、相手を絶対に拒否しないということです。相手からどんなことを伝えられても、拒否せず、いったん受け止めることが重要です。

私たちは誰かから話を聞くと、聞いたことに対して評価やアドバイスをしようとしたり、相手に議論を仕掛けたくなったりします。会社で部下を評価する時は、自分を軸にして、部下のマイナス点を探してしまいがちです。上司は100%部下の味方になって、ありのままを受け止めることができなければなりません。

受容的な態度で聴く

相手の話を聴くときには受容的な態度で聴きます。キャッチャーミットのように、どんな球が飛んできても、しっかりと受け止めることです。クライアント(相手)が話しているときに、途中で意見を挟まないで、「ああそうか」「なるほど」などと最後までしっかり聴くことが大切です。そのためには、次の三つのことを心がけましょう。

第一に、自分の評価や判断を入れずに、ニュートラル(中立)な気持ちで相手の話を聴きます。コーチ自身が、自分の思い込みや固執した考え方をしていないかに注意することが大切です。

第二に、コーチ自身が精神的ゆとりを持ち、安定感のある状態を維持していることが大切です。聴き手であるコーチ自身の体調が悪く、イライラ、怒り、不安感を抱えている状態では、相手の話を聴くことなどできません。

第三に、自己中心的な考え方をしていないかに注意しましょう。自分には力がある、相手から凄い人だと思われたいなどと思っていないか、自分と対話してみましょう。

 

ニュートラル(中立的)な気持ちで人の話を聴けるようになるためには、自分にどんな傾向があり、どういう時に反論や批判、怒り、イライラが生じてしまうのかなど、自分自身の性格や行動特性を客観的に観ることができるようにしておくことが望まれます。自己認知・自己理解があって、はじめて、相手を理解し敬うことができるようになります。

理解し、受け入れ、共感する

クライアント(相手)の言葉の意味を聴くだけではなく、真の想いや感情を聴き取るためには、まずクライアント(相手)を心から理解しようと思うことが必要です。「自分はクライアント(相手)のことを知らない、心の変化を見逃しているかもしれない」と思うことが出発点です。そのうえで、『クライアント(相手)の存在そのものを心から受容する』ことが大切です。「彼(彼女)のことならわかっている」と思う傲慢な気持ちを持っていると、クライアント(相手)の心に起こっている微妙な変化を見逃してしまいます。

『受容する』ということは、クライアント(相手)の感情のすべてに自分が同意することではありません。仮に自分とクライアント(相手)の価値観が大きく異なっていても、その違いを乗り越えてクライアント(相手)が存在することを認め、その中で新しい関係性をつくっていくことが『受容』です。そして『受容』した後に、『共感』が大切です。

共感とは

共感について、心理学者のアルフレッド・アドラーは、「相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じること」と定義しています。つまり大事なことは、クライアント(相手)の目で見るとどう見えるのだろうか、クライアント(相手)の耳で聞くとどう聞こえるのだろうか、クライアント(相手)の心で感じるとどう感じるのだろうか。ということです。

クライアント(相手)に共感するというのは、クライアント(相手)との共通点を見つけることではありません。クライアント(相手)の話を聞いて一緒に笑ったり、泣いたりすることでもありません。クライアント(相手)が話したことについて、心から「そうだね」という気持ちを表し、クライアント(相手)と一緒にいると伝えることです。クライアント(相手)の気持ちに寄り添って、クライアント(相手)の存在を実感する必要があります。
ベンチでクライアント(相手)と二人で同じ方向に向かって座っているイメージです。

共感的理解と同情は違う

共感的理解とは、クライアント(相手)の心の基準でクライアント(相手)の言葉を理解するように聴くことです。同情とは異なります。

共感的理解も同情もクライアント(相手)に対する温かい心配りであり、援助的な心理作用です。しかし、共感的理解と同情はクライアント(相手)に対する理解の基準が異なります。共感的理解ではクライアント(相手)の心の基準でクライアント(相手)の言葉を理解し、同情は自分の心の基準でクライアント(相手)の言葉を理解しようとすることです。

大切なことはクライアントが理解されていると感じること

大切なことは、コーチが理解したと思うことではなく、クライアント(相手)が理解されていると感じることです。クライアント(相手)の話を聴いて「あなたの気持ち、わかります」という言い方をしますが、同じ体験をしていないかぎり、本当の意味でわかることは難しいでしょう。クライアント(相手)の気持ちに寄り添い、「辛いと感じているのですね」などと、確かめるように聴くことがポイントです。本当の意味で、共に通じ合っている感覚です。そのためには、「この人だったら信頼できる」「この人とは心が通い合っている気がする」と感じてもらえるような信頼関係を作ることが必要です。

相手が「辛いんだ」とか「落ち込んでいるんだ」という話をした時、多くの人は励まそうとし、アドバイスしようとして、「あまり深刻に考えない方がいいよ」などと言ってしまいがちです。自分では相手を勇気づけているつもりになっていますが、相手は「この人には言ってもムダなのだな」と感じて傷ついたりしていることが多いので注意が必要です。

子どもや部下が落ち込んでしまっている時にも、「グシグジ言っていないで、こうした方がいいに決まっているよ」と断定しがちです。しかしながら、こうした価値観の押し付けは避けた方がいいでしょう。

「辛いね。良かったら話を聴くよ。」
と「辛いね」という共感から始まるコミュニケーションが必要です。
価値観ややり方を押し付ければ、人は表面的には「そうですね」と言うかもしれません。
しかし内心ではそれに反発は、否定的な気持ちになっているものです。

人は結局のところ、自分自身が導き出した結論によってしか行動を起こしません。

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