えっ!これが「パワハラ」「セクハラ」?戸惑う上司 ~パワーハラスメント防止に役立つコーチング~(2019/06/22)

令和元年、5月29日、職場のパワーハラスメントの防止を企業に義務づける改正労働施策総合推進法などの関連法が成立しました。企業の危機管理の一環として、ハラスメント対策が必須となっています。

ハラスメントとは

「ハラスメント」とは、「苦しめること」「悩ませること」「嫌がらせ」を意味する英語です。
現在、法律で具体的に定義されているものとしては、「セクシャルハラスメント」、妊娠、出産、育児休業等に対する「マタニティハラスメント等」、そして「パワーハラスメント」の3種類があります。

ハラスメントの種類 定義・意味 ミニ解説
セクシャルハラスメント 職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、
①それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること(対価型セクシャルハラスメント)、
又は
②職場の環境が不快なものとなったため、労働者が就業する上で見過ごすことができない程度の支障が生じること(環境型ハラスメント)
■「職場」には、出張先や取引先、業務で使用される車内、業務の延長と考えられる宴会なども含む。
■男性から女性に対して行われるものだけでなく、女性から男性あるいは同性に対するセクシャルハラスメントを含む。
マタニティハラスメント等 妊娠や出産をした仕事を持つ女性が、職場で嫌がらせを受けたり、異動・降格・減給・自主退職の強要・雇止めなどの不当な扱いを受けたりすること。 ■制度利用等への嫌がらせ型
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法が掲げる制度・措置を利用しようとすること等により、就業環境が害されること。
(具体例)
・上司に妊娠を報告し育児休業を請求したら、「ウチは育休を取れる状況ではない」と言われた。
・育児時間をとって早く帰ると、同僚から嫌味を言われる。

■状態への無理解、嫌がらせ型
女性労働者が妊娠、出産したことなどにより就業環境が害されること。
(具体例)
・悪阻がひどいのに、上司から「妊娠は病気ではないので甘えないで欲しい」と言われた。
・子どもが発熱して遅刻や早退を申し出るたびに、同僚から「本当に迷惑」と嫌味を言われる。
職場のパワーハラスメント 職場において
①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③就業環境を害すること
1.「優越的な関係を背景に」とは、次のような場合をいう。
・職務上の地位が上位の者
による行為
・同僚又は部下による行為
で、行為を行う者が業務上必要な知識や経験を有しており、その協力を得なければ業務の円滑な遂行が困難なもの
・同僚又は部下からの集団
による行為で、これに抵抗または拒絶することが困難なもの

2.「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」には次のようなものがある。
・業務上明らかに必要でない行為
・業務の目的を大きく逸脱した行為
・業務を遂行する手段として不適切な行為
・行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念上に照らして許容される範囲を超える行為

3.「就業環境を害する」
ことには次のようなものがある。
・暴力による傷害を負わせる行為
・著しい暴言を吐くなどにより、人格を否定する行為
・何度も大声で怒鳴る、激しい叱責を執拗に繰り返す等により恐怖を感じさせる行為
・長期にわたる無視や能力に合わない仕事の付与等により、就業意欲を低下させる行為

(厚生労働省資料等をもとに加工)

どのような行為がパワーハラスメントにあたるかについては、2012年、職場のいじめ・嫌がらせの防止・解雇に向けた対策を労使や有識者、政府関係者によって検討した「円卓会議ワーキンググループ」の報告で下記6つの行為類型が提示されています。

(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる ことや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

ハラスメント対策

セクシャルハラスメントやマタニティハラスメント、パワーハラスメントについては、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法の規定に基づき、企業はハラスメントの予防や起こった場合の適切な対応などの措置を取る法的義務があります。違反した場合は、都道府県労働局長の指導や勧告を受けたり、企業名公表の対象になったりすることがあります。

ハラスメントのリスク

ハラスメントは、①ハラスメントによる職場環境の悪化によって、企業活動そのものが阻害されてしまう「企業運営リスク」、②ハラスメントの予防措置を十分に取らなかったとして損害賠償責任を問われる可能性がある「経済的リスク」、③企業に対する否定的な評価が広まる可能性がある「企業ブランド低下リスク」、④採用が難しくなり、人材流出も起こる可能性がある「人材確保リスク」といった様々なリスクとなることが考えられます。

企業としてまず次のようなことに取り組むべきことが必要です

①ハラスメントが許されない旨の事業主の方針の明確化と周知啓発、
②相談体制の整備、
③行為者の処分を含む事後の迅速かつ適切な対応、
④相談者などのプライバシーの保護など

何よりもハラスメントに対する社員の意識改革が必要です。「どのような行為がハラスメントとされるのか、なぜハラスメントとみなされるのか」の考え方をきちんと理解することが大切です。

会社など組織で働く以上、誰もがハラスメントを受け、自分が行う可能性を持っています。個人の価値観が多様化している現代社会では、相手の価値観の否定や自分の価値観の強要はパワーハラスメントとされる可能性があります。

特に注意が必要なのは、次のようなケースです。

  • 仕事以外のことを持ち出し、人格の否定につながるような言動をする
  • 関係性を良くしようと業務と関係のない容貌にふれたりして、余計な一言を発してしまう
  • 「背中を見て覚えろ」といったような明確な指示がなく仕事を強制する

大事なことは、社員同士の信頼関係が確立しているか、お互いを大切に思い、相手の立場を尊重するという人権尊重の意識がしっかり根づいているかです。

求められる「コーチングマインド」を持った人材

ハラスメント問題は予防が何より大切です。ひとたび問題が起こってしまうと、被害者も加害者も、そして企業も大きなダメージを負います。一人一人が相手の価値観を尊重し、気持ちよく働くことができ、能力を発揮できる環境をつくるには、日常からの取り組みが欠かせません。そのためにも、一人一人がコーチングマインドを持った社員に育てることが重要です。従来型の指示命令で部下を管理するという「管理型マネジメント」から一人一人の価値観を尊重し能力を活かす「コーチング型マネジメント」が益々求められています。

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