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「コーチング×ほめてはいけないの…?」について、コーチングの深いところを語ってみようと思います

おとなにしても「あなたのいいところ五ついいなさい」と言われたら困るでしょう。「いいところ」と言ってるのに、「そうですねえ、私はあんまり努力しないんです」とか、悪いことを言う。自分でやってみたらよくわかりますよ。まあ日本人でパッパッとすぐに五つ言えるような人は、だいたい会社や近所では評判悪いんで、そこが難しい。アメリカ人だったら、平気で五つぐらいパッと言います。

日本文化は、“正しく”ほめるのが苦手?

「それはマウントだよ!」と指摘する(指摘される)、日本文化の傾向がわかりやすく伝わってきますね(笑)。
今回のコラムはタイトルに少し悩みました。以前、「5歳の孫娘と“ともだち”の私が自己肯定感と自己効力感について考えてみる!」のタイトルでコラムを書いた際(2021年11月16日公開)、次のようにコメントしていますから。

コーチングは、クライエントをジャッジメントしません。つまり「ほめないし」「叱らない」のですね。そして「上手だね~」というのは評価ですから、コーチングにおいて、その表現は基本的に用いません。

コーチングは“基本的に”ほめません。ではなぜ「…?」と疑問符としているのか… コーチングを深く勉強していくと、この「ほめない」の“意味”が理解できるのですが、「コーチング→ほめてはいけない」と、単純に受け止められてしまうと困るので、今回のコラムで解説することにします。
その“意味”を考える上で恰好な題材を、河合隼雄さんの『Q&Aこころの子育て』に見つけました。冒頭の引用は、Q20の「ほめるのが大事といわれますが、どうも苦手です」に対する河合さんの回答(4ページ)の一部です。

コーチングにおけるフィードバックは、自分(コーチ)が感じたことを「そのまま自分の言葉」で返すことです。「CBLコーチング情報局」では、その意味を次のように解説しています。

フィードバックの本質に「コーチングのほめない」が見出せる

私たちは、自分で自分のことは案外見えていません。そこで、コーチングのプロコーチは、相手の『鏡』のような役割を果たし、「見えたこと」「聴こえたこと」「感じたこと」を伝えるのです。ポジティブなことばかりでなく、ネガティブなこともきちんと伝えます。
コーチは感じたことをニュートラル(中立的)に伝えます。クライアントに対するプラスとなるフィードバックは励ましになります。また、クライアントが内心では「聞きたくない」と感じている内容を、忖度を含めず伝えることによって、クライアントが「真の気づき」を得るための大切な第一歩となるのです。

さて、冒頭の引用の続きで河合さんは何と答えているのか…

そんなですから、まあときどきボーッと「うちの子どものいいところ、五つ言ってみようかしら」なんて、考えてみたらいいでしょう。
そんなときに「うちの子は算数で何点とってきた」なんて言わないで「うちの子は笑顔がいい」なんて言える人がいたら、なかなかのもんです。子どもの笑顔なんて計測不可能でしょう。それがピタッと言えたら、いいですねえ。何かがうまく行ったときには、やっぱりほんとうにいい顔してますよ。

「ほめる」は、多様な解釈を誘因する言葉のようです。そのときの子どもの笑顔が、親にとって心の底から「素敵」に感じられた。その想いを“そのまま”子供に伝える。これも「ほめる」の一つです。まさにコーチングのフィードバックです。では「コーチングではほめない」をどう解釈すればよいのか…

子どもをほめるのが大事だというときに、みんながよく間違うのが、ウソを言うんですよ。お世辞を言ったりね。ウソをつく必要は全然ないんです。ウソもお世辞も、こころにもないことを言ってるんだから、子どもはたまりません。こころの中で思っていることは、もう見事なくらい伝わってます。特に大事な場面ではそうです。

こころの中で思っていることは相手に伝わっている…

(株)コーチビジネス研究所は、意欲的な経営者と共に「廣器会」を主催し、運営しています。その「廣器会」第3回講演会に、G.G.佐藤さんをお招きしています。その際G.G.佐藤さんは、お父様が繰り返し「お前は絶対にプロ野球選手になれる!」と、言い続けてくれたことを熱く語られました。お母様の言葉と対比させて、廣器会メンバーの爆笑を誘います。

大学の時、4年間補欠ですよ。
その時の僕を見て、プロ野球選手になれると思った人は一人も居なかった。父だけが「お前は絶対なれるから、諦めるな! 必ずなれる、プロに!」と。
でも大学卒業した時になれなかったんですよ。そのとき母は…
「おとうさん、あんた噓つきね。息子プロ野球選手になれないじゃない…」。佐藤さんはお母様の声音を真似て言葉にされます(笑)。
父は怒りました。
「ふざけんな! 今からなるから一筆書け!『息子佐藤隆彦がプロ野球選手になった際には、毎晩あなたのことを三つ指立ててお迎えします』と」(会場 : 爆笑)。
この父の強い想いが、私の根底にずっとあったんです。まさに「これ」なんですよ。

ほめられたとき、「こころにもないことをよく言うよ…」と感じることがありますよね。コーチングは、そのような「ほめ」を否定します。
コーチングは「言葉」を通して、セッションが行われます。人は、その人それぞれの価値観を有し、その価値観で「言葉」を解釈することもあるでしょう。優れたコーチは、「言葉」一つひとつの意味が、クライアントに正しく伝わっているか… そのことを五感も含めて、しっかり把握することが求められます。
コーチングの学びに終わりはありません。これからも、「コーチングの深み」を書き続けてまいりますので。

坂本 樹志 (日向 薫)

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