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「モティベーションの“価値”」とは?

第4回「廣器会」講演会レポート

開催日時:2024年7月11日(木)18:30~20:00(懇親会 20:00~22:00)
開催場所:株式会社コーチビジネス研究所 飯田橋セミナールーム
参加人数:20名(リアル参加18名・オンライン参加2名)

第4回の「廣器会」は、一般社団法人 日本健康経営ビジネス協議会(JHC)代表理事であり、株式会社 日本健康経営代表取締役の松本大成さんをお招きしての講演会です。
講演のテーマは「モティベーションの“価値”」です(松本さんはモチベーションではなくモティベーションと表記されていますので、レポートもこちらを使用します)。

「健康経営」と「モティベーション」の関係とは?

このテーマ名に最初に触れた際、「健康経営」と「モティベーション」の組み合わせに“意外感”を覚えました。(株)コーチビジネス研究所でも、コーチングの視点で「モティベーション」を解説していますので、引き付けられました。

前回のコラムは、7月3日に新1万円札が発行されたのを機に、「渋沢栄一の生涯と思想」を振り返っています。
それもあって、今回このコラムを書くに当たり、「日本経済新聞×津村記久子<コラボ企画>『サラと気難しい人間たち』に触発され「洞察」を得た、2年4カ月を総括するコーチング型1on1ミーティングです!」のタイトルでアップした、3月27日のコラムを読み返してみました。
というのも、当該コラムの最後で、「モティベーションに関するさまざまな理論」を紹介してみたからです。松本さんのお話と、それらの「モティベーション理論」を照らし合わせながら、改めて「モティベーションとは?」について、再確認することができました。

「ストレスが病気を生み出す」ことに私たちは納得しています。「ストレスを感じない状態とは?」を考えていくと…「モティベーションが高まっている状態(松本さんはこの表現をやんわり言い換えます…笑)」に結びつきます。
さて松本さんは、そのモティベーションをどのように紐解かれるのでしょうか。

上がったり下がったりするのは「テンション」?

モティベーションが上がる、下がる、という言い方をしますけど、上がったり下がったりするのは実はテンションなんです。スミマセン、ちょっと引っ掛けみたいですけど(笑)。じゃあ「モティベーションは一体何?」 て言うと、「行動する原動力」のことです。モティベーションは上がったり下がったりするものではなくて「セッティングされているかいないか」ということなんです。

モティベーションの語源は「モーティブ+アクション」なんです。モーティブというのは、「理由」とか「動機」とか「わけ」です。アクションは行動ですね。つまり「わけあり行動」です。理由がセッティングされたら、人はやる気になる。動機付けされる、ということになります。

じゃあ「どういうふうにセッティングされるか」、ということなのですが、例えば「東京タワーの下に1円置いてきました。みなさんに1円あげますから、東京タワーに行って取りに行ってください」、って言われたら、今からここから走って東京タワーに行くでしょうか? (会場 から「行きたくない!」の声が…笑)

人間って、動機がきちんとセッティングされると動きたくなる。正しくセッティングされる、ということが大切なんです。このことを上手に活用したいですね。

こうして松本さんによる「なるほど…」のお話が始まります。「健康管理はモティベーション管理が有効!このことを理解していただけたら、今日の話はOKということです」と、松本さんはテーマの主旨を語ってくれました。

では「モティベーションを管理するに当たって、人は何によって動かされるのか…」、その種類を次のように説明されています。

人は「恐怖」「報酬」「心構え」の3つによって動かされる

1.恐怖

減俸、降格、解雇、倒産(したくない)、叱咤(コラッ!)、特権を喪失させる

2.報酬

昇給、昇格、賞賛、ボーナス、承認

松本さんは「この2つは一時的には効果が見出せるかもしれない。ただし永続しない。いずれも外部から与えられるものなんです」、と指摘します。
そして、「長続きする」「永続的なもの」となる“動機付け”を、次のように捉えます。
「自分の中から湧きあがってくる“動機付け”」です。

3.心構えのモティベーション

「そもそも考え方を変えていく」ということ。「自分は成長したい」「変化したい」、そのために「初体験したい」「新記録を出したい」、したがって「目標」が必要。
もっとも「目標」と聞くと、嫌な顔される人がいる。それは「目標」を「突きつけられた」から。もしくは「達成しなかったときに怒れらた」という背景が存在するから。ただし「目標設定」はとても重要。それは「自ら作り出す目標」であること。
この3つ目の「心構えのモティベーション」を自在に操れるようになるのがベスト。勝手に走るようになる。勝手に成長意欲が出てきて、勝手に走っていく。これが「モティベーションのセッティング」

続いて松本さんは、「どんな目標が自分にとっていいのか」について、語りを進めます。   
「“自分にとって価値”があるもの」
「“パーソナライズ”された目標」
です。

「パーソナライズされた目標」とは?

会社(仕事)をとりあえず意識から外していただいくと、次のことが浮かび上がってきます。
・健康面
・家庭面
・精神面
・社会面
・教育面

この5つをどのようにしたいか…というのを意外に考えてないんですね。
まずはこの「5分野」をどうしたいか…それを描くことです。このことを実現するために「どうやって仕事にとりくんでいくか」「どれくらい稼いでいったら家族を幸せにできるか」、というふうに逆算していくといいですね。
これが「パーソナライズされた目標」です。

目的と手段が逆になるとよくないです。もともとは家族を幸せにするために仕事をしているのが、振り返ると「家族がいなくなっていた」…あるあるじゃないですか。(会場 : 笑)

仕事は毎日やっているから「忙殺」されてしまうんです。足元だけ見て全力疾走してしまう。本当は元気でいたいのに身体を壊してしまう。
「どういう人生を描きたいか」をパーソナライズしてビジネスの目標につなげていく。これが大切になってきます。
ここで、お配りしたA3のシートに、記入していただきたいと思います。今までの人生において「達成できた!」ことを書いてみてください。

(実際の表は0歳から60歳までの61行です)

「自転車に乗れるようになった」
「漢字が書けるようになった」
とか、書いた方いらっしゃいますか?
右の欄は「喜怒哀楽が発生した」ことを書くのですが、その時の気持ちを思い出してみてください。
「なかなかできなかったことが、できたっ!」
つまり、頑張った時です。充実した時です。モティベーションがセッティングされた時なんです。とにかく思い出して、この表にどんどん書いていくんです。「できた~っ!」て感じたことがこんなにたくさんあった。これが自己肯定感につながっていきます。
ただ、みなさんお一人おひとり書いた内容は違うと思います。だから「パーソナライズ」なんですね。「できるようになる」というのは、人生にとって素晴らしいことなんです。

松本さんは続けて、「組織に活用するにはどうしたらいいか」について紐解きます。

「組織内個人目標」と「パーソナライズされた個人目標」が串刺しされると…

先ず会社の目標があると思います。これを達成する上で各部署が目標を持っています。その目標が達成できたら、会社全体の目標も達成できる。つまり連結されているわけですね。
それにプラスして「個人目標をセッティングしていくといいよ」、となります。それが「組織内の個人目標」です。ただ、ほとんどの会社はここ止まりです。

でも最大限パフォーマンスを上げようとすると、先ほどお話しした「パーソナライズされた個人の目標」の実現が鍵を握っています。これと「組織内個人目標」がつながれば…やる気が出ませんか?
これを紐づけさせる活動は、ほとんどの会社はやっていません。「それは個人の問題だろっ!」というわけです。でもこれを串刺しにするとパワーが出ると思いませんか?
これができると個人から会社まで一気通貫となります。パワーが生まれます。

この後、「モティベーションに影響を与える要因」について、「エストロゲン」「テストステロン」が話題に上ります。廣器会メンバーとのやりとりも生まれ、楽しいひと時となります。

最後に、「出張労災保険二次検診」についての紹介もありました。これは、「医療機関が企業や事業所に出向いて行う労災保険二次健康診断」のことで、通常の労災二次健康診断と同様に、一次健康診断で異常が見つかった場合に、脳血管や心臓の状態を詳しく調べるための検診と特定保健指導を提供するという内容です。
「会社、従業員にとってメリットがある制度にもかかわらず、認知が低いので…Jと、JHCが、同制度が広がっていくことを支援している旨、お話しされています。

これにて講演が終了し、松本さんに大きな拍手と「ありがとうございました!」の声が会場に響きます。そして拍手が終わったそのとき、最後の最後…「松本さんが、モティベーションにここまで入れ込んだ理由について教えていただけますか?」という声が聞こえてきました。(会場 :「 わーっ、いい質問だ」という声がかかります)
すべての講演が終わり安堵されたのか、リラックスされた松本さんはしみじみとご自身の人生を振り返り、言葉にされます。

講演が終わり松本さんは静かに自分を振り返ります…

私は若い頃、「成功したいな」「金持ちになりたいな」というのがあったんです。その当時はですね。今は全く価値観は変わったんですけど…そこでいろんな仕事をやったんです。ただ全部失敗するんですよ。「何でかなあ~」と思った時に、SMIというものに出会って、「考え方を変えないと、結局状況を変えても何も変わらない。自分で変わらないと、環境とか職場を替えても同じ結果になる」ということに気が付いたんです。
それからですね、「成功って何だろう?」という概念について考えました。それは「過程であって結果ではない」ということです。さっき言ったように「うまくいかないことばっかり」ということも一面の真実です。ですから自分の人生深掘って深掘って、苦しんで苦しんで……
「充実した人生って何だ?」って考えるんですけど、苦いモノとか辛いモノとかって、子どもって嫌いじゃないですか。でも食べていくとおいしくなる。
それって、辛いことでも実は、「解釈によっておいしくなる」。人生って「味わうんだな」という解釈に変ったんです。そういうことなんです。……

廣器会のメンバー全員が、静かに語る松本さんの声を噛みしめるように受けとめます。会場全体に「共感」の感覚が広がります。

その後の懇親会でも「モティベーション」「パーソナライズされた個人の目標と会社の目標の関係」などなど、会話に花が咲きとても充実した「第4回廣器会」でした。

松本さん、本当にありがとうございました!

坂本 樹志 (日向 薫)

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