無料相談・資料請求はこちら

「日銀のゼロ金利政策の本質とは何か?」をコーチングのチャンクアップで語り合う1on1ミーティングです!

財務省は10日、普通国債の発行残高が9月末に過去最大の993兆7965億円になったと発表した。6月末から9兆4612億円増え1000兆円が目前に迫る。
(日本経済新聞11月11日 5面 経済・政策面より引用)

心理学を学びコーチングの資格を有する新進気鋭の若手A課長と、部長職を長く経験し、定年再雇用でA課長のチームに配属された実践派のSさんとによる、日本経済新聞の記事に触発されての1on1ミーティングです。さて、今回はどのような展開となるのでしょうか?

アイスブレイクは「アドレナリンからセレトニン志向へ」…

(A課長)
おはようございます。Sさんが早起きなので、私も影響を受けて早朝から仕事するパターンとなってきました。7時くらいからPCを開いて、そうですね、16時くらいにはPCを閉じて、翌朝までとりあえず会社の仕事は忘れるようにしています(笑)

(Sさん)
いいことです。Aさんのリズムを皆が知っていますから、部下は喜んでいますよ。部下からすれば終業後の19時とか20時にメールが上司から届くとたまったもんじゃない(笑)

前回は、バブルのころの仕事ぶりを1980年代後半にヒットしたリゲインのCMソングにかぶせて、語ってしまいました。その頃は、自分がワーカホリックという病に冒されていたことに気づいていなくて、アドレナリンが常時出ている状態がノーマルと感じていました。コロナによって「ニューノーマル」…中国語で「新常態」となりますが、それに照らすと、私の当時の仕事スタイルは「オールドノーマル」である「旧常態」でした。

(A課長)
そういえば、世の中全体にアドレナリンという言葉を口にするのが減ってきたように感じます。失われた30年、新型コロナ、とどめはロシアの暴虐な行動による世界秩序の大混乱… つまりアドレナリンをコントロールしたいという、セレトニンを希求する時代が到来した、ということだと思います。

(Sさん)
セレトニンですか? なるほど。Wikipediaによると…「ドーパミン・ノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働きをするほか、生体リズム、神経内分泌、睡眠、体温調節などに関与する」とありますね。

ワーク・イン・ライフで、柔軟な時間のプランニングが実現!

(A課長)
セレトニンは、日光を浴びると増えるようです。特に朝の過ごし方がポイントと書いてありますね。朝食をしっかり食べ、散歩するといいみたいです。

モノは考えようで、コロナ前は、満員電車によるストレスフルな朝が常態でしたが、リモートワークはそれから解放されるわけだから、有意義な朝の時間をプランニングすることができます。
Sさんが5時くらいから起きていると聞いたので、月曜朝8時からの1on1が常態となりました。Sさんのおかげで毎日がいいリズムです。

(Sさん)
そう言っていただくとありがたいですね。コーチングは忖度しないということですから、素直に感謝です(笑)

(A課長)
さて、今日の1on1のテーマですが、このところ円安、物価高が毎日のように報道され、私たちもそのことを実感する日々です。物価高は国民一人ひとりに直接的な影響を及ぼします。つまり、リアル感が伴うので、世論に敏感な日本政府はその対策をいろいろ打ち出しています。このあたりについて意見交換してみませんか。

国債の残高は未体験ゾーンを更新し続けている!

(Sさん)
了解しました。
「総花的といえる政策の財源は?」と言うと…国債の発行ですね。そういえば11日金曜日の日経新聞に、その状況をマクロに捉えた記事がありました。
ええっと… 5面の経済・政治面で、タイトルは「国債残高1000兆円迫る」です。記事は、一般政府債務残高と国の付加価値であるGDPの比率の国際比較に触れています。

国際通貨基金(IMF)によると、地方政府と社会保障基金も合わせた一般政府債務残高のGDP比は21年に262.5%に達した。米国は128.1%、ドイツは69.6%、英国は95.3%で、日本は主要7カ国(G7)の中で突出して高い。

本当に心配になります。
ただ私の感覚ですが、国債の残高が500兆円になった年、ええっと、2004年ですね。この頃の方が「マズイぞ…」という認識を日本中が共有していたように記憶しています。
ところが1000兆円になった現在は、こうやって日経新聞などが警鐘を鳴らしていますが、マヒしてしまったというか、切実感に乏しいような印象です。

一般政府債務残高は、地方債なども含めた日本全体の借金残高です。金額が記されていないので、調べてみましょう。…1457兆円です。ものすごい金額になっている。

国債には種類があって、普通国債のうち国の資産として残る建設国債の発行は、法律でも認められているので、問題は特例国債である赤字国債です。つまり消えてなくなる経費支出です。「税収及び税外収入等に加えて、建設国債を発行してもなお不足する歳出財源を補うため特例的に発行される国債」と説明されます。
初めて発行されたのは1975年で、その年は2兆円規模でした。

戦後30年は赤字国債発行ゼロで国家を運営していた!

(A課長)
Sさん、詳しいですね。ググっているのは財務省の資料ですか?

(Sさん)
ええ、共有しましょう。
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/hakkou01.pdf

(A課長)
…なるほど。
これを見るとバブル経済の余熱があった3年間は発行されていないし、それまでも一桁の兆円なので、国債残高もそれほどの金額ではなかったのですね。

それがバブル崩壊を日本中が認識した1994年から発行が復活しています。それでも1997年までは、何とか一桁で踏ん張っていたのが、1998年に16.9兆、1999年には24.3兆と、踏ん張る意志が決壊したというか、20兆円から30兆円台が常態化してしまう。そして2年前の2020年は単年度で、なんと85兆円です。

ただ国は濡れ手に粟というわけにいかない。借金ですから満期がきたら国は購入者にお返ししなければならない。

(Sさん)
ところが… マイナス金利という言葉が登場するくらい、金利負担のない状態がず~っと続いたことで、国債費は意外に抑えられている。
国債費は、利払い費と期限が到来した元本の償還費などですが、金利である利払い費は抑えられているので、この15年は毎年20兆円を超えたあたりで変わらない。

(A課長)
そうはいうものの、ロシアのウクライナ侵攻によって、世界経済が逆回転をはじめましたね。世界中が物価高の嵐に見舞われ、各国の中央銀行は政策金利をどんどん引き上げています。米国FRBの政策金利は、どこまで上がっていますか?

長期の凪は終焉し、金利はいよいよ動き出した!

(Sさん)
直近は4%くらいでしょうか。インフレ退治は政策金利をアップさせることで対応するのが常道です。まさに米国がそれをやっています。とにかく優先順位は「物価対策」なのですね。

バイデン大統領はドル高を容認するような発言をしています。ドルは世界の基軸通貨ですから、各国の通貨は一様に下落します。ドル独歩高の様相です。円は、あれよあれよという間に151円台まで下がりました。32年ぶりということです。

諸外国は、米国との金利差が拡大しないよう、自国通貨を防衛するため、金利を上げています。それなのに世界の主要国で唯一といっていいほど、日本は政策金利を上げないのですね。孤高の日本です。

世界に倣え…というのが辺境の島国である日本のメンタリティですが、日銀の黒田総裁の姿勢からは、違和感を覚えるほどの頑固さが伝わってきます。つまり円安是正の熱はあまり感じられません。日銀総裁のコメントは市場に多大な影響を及ぼすので、慎重な物言いになるのは理解できるのですが…

唯我独尊(?)の日銀政策…

(A課長)
Sさん、コーチングのチャンクダウン、チャンクアップが脳裏に浮かんできました。チャンクとは「かたまり」であり。チャンクダウンは、かたまりをほぐす、チャンクアップは、かたまりをつくる、という意味になります。いずれもコーチングの「質問のスキル」です。コーチビジネス研究所の「コーチング情報局」に、その用語解説があります。

チャンクアップは、バラバラである断片を、意味のあるかたまりにしていくことです。様々な考えに振り回され、混乱しているクライアントに対し、的確な質問を繰り出すことで「優先順位づけ」ができるよう、コーチはサポートします。

まさに日本政府が打ち出している政策の在り方が、そのクライアントの状態であり、チャンクアップが求められているのではないでしょうか。

(Sさん)
するどい視点ですね。元来総花的である日本政府の政策は、ここにきてますます錯綜している印象です。チャンクアップが必要だ。
Aさん、日本政府の総花的な政策全体のチャンクアップにチャレンジするのは、さすがに荷が重すぎるので、どうにもわかりにくい日銀の政策意図をチャンクアップしてみましょうか?

(A課長)
やってみましょう!

(Sさん)
150円を突破した円安は、いったいどうなるのか… と心配しましたが、あまりにも急激だったので、10日~11日の2日間で7円ほど一気に戻していますね。昨日の日経新聞の報道です。11日の外国為替市場での円相場は1ドル138円後半で取引を終えています。
とはいえ予断を許さない。経済観測ほど、人の予想を裏切るものはないですから。

そうそう、10月17日の日経で「なるほど…」と感じさせる記事を見つけています。Aさんに紹介しようと思っていました。記事のタイトルは「ドル高、“仁義なき通貨選別”」です。見出しは「円安、政策のジレンマ映す」となっています。

(A課長)
日銀政策のチャンクアップにつながりそうですね。

「政策金利-インフレ率」はインフレ深刻度を測る指標…

(Sさん)
黒田総裁の意図が少し伝わってくる内容です。
2つの表があって、一つは、主な通貨として17カ国を選び、今年の7月末から10月14日の間、米ドルに対して何パーセント変化したか、という表です。変化といっても軒並み下がっているわけで、唯一メキシコペソだけが1.4%上がっています。
日本は10.5%の下落で、16カ国中、下から4番目の大幅な下げとなっています。

もう一つは、インフレの深刻度を「政策金利-インフレ率」で求めた表です。メキシコ以外は、対ドルでの通貨下落率が大きい5カ国を抽出しています。
インフレ率が高ければ、その分政策金利を上げざるをえませんから、その式の結果、マイナス幅が大きいと、さらに金利を上げないと、物価上昇は是正されない、ということです。つまり、マイナス幅が大きい国は、インフレの深刻度が高いということです。

日本円は、ニュージーランドドルのマイナス11.5%と並ぶ10.5%という大きな下落ですが、インフレ率が2.4%と高くないので、▲0.1%というマイナス金利でも、インフレ深刻度は、米国、英国と比べて、それほどでもないという結果となっています。

(A課長)
これは1カ月前の記事ですよね。一昨日の日経に「衰えぬ物価高 景気に逆風」というタイトルで、10月の企業物価が9.1%に上昇し、円安の影響がいよいよ川下である消費者物価指数のCPI…Consumer Price Indexに拡大してきた、と切迫感を感じさせるコメントとなっています。

(Sさん)
ええ、記事の最後は、JPモルガン証券藤田亜矢子チーフエコノミストの「エネルギー以外にも物価上昇が広がり、12月にはコアCPIの伸びが3.7%まで高まる」、というコメントで〆ています。

コアCPIは、すべての対象商品がカバーされた「総合指数」から、価格の変動が激しい生鮮食品、つまり生鮮魚介、生鮮野菜、生鮮果物ですが、これらを除いて計算されたインフレ率です。私もその可能性はあると思います。ただし、日本は米国や諸外国のようには上がらない… ほどほどで収まると思うのですね。

日本のCPIは諸外国ほど上がらない…?

(A課長)
それはなぜでしょう。

(Sさん)
う~ん… ここからはロジックではないので割り引いて聴いてほしいのですが、「流通業態の変遷」をテーマに1on1を語り合った際、私は流通業が高度化していったその核に「価格破壊」があると話したと思います。

(A課長)
ええ、4回シリーズでやりました。稲盛さんの『京セラフィロソフィ』を語り合う前です。

(Sさん)
この「価格破壊」は、もちろん米国のウォルマートなどの影響を受けています。日本はそれを「美学」にまで高めて取り組んだと思うのですね。その完成形がDAISOだと思います。

(A課長)
Sさんは、9月27日にそのことを熱く語りましたね。

(Sさん)
「この品質レベルの商品を100円で売っていいの?」と感じる商品群です。だからこそ、ではないですが、高所得者層が立ち寄らない店…では決してありません。日本中のすべての人が立ち寄るショップだと思います。

私は「欧米の富裕層とは?」と、よく考えるのですが、彼らは、身の回りをゴージャスにしていくというか、とにかく派手にお金を使います。それを周りは是としている印象です。
欧米には、日本人にはわかりにくい階級社会が、はっきりと存在します。富裕層は骨の髄から富裕層として振る舞い、セレブの世界に身を委ね、高級品で身を包みます。

一方で日本は、「メザシの土光さん」…これは昭和すぎますが、お金を儲けても「清貧の思想」にメンタリティを感じる文化がまだ残っていると思うのですね。「もったいない」です。バブルの頃、「成金」がもてはやされもしましたが、その崩壊によって「つわものどもが夢のあと」を共有しましたし…

ですから、CPIが高まって来ると、節約を始め、そこに意義を見出していく人が増えてくると思います。

(A課長)
米国は8%近くまでCPIが上がりましたが、日本はほどほどにとどまる、という判断をSさんはしている訳だ。
諸外国のガソリン価格が2倍、3倍に跳ね上がっているのに、金利政策ではなく、兆円単位の補助金によって物価をコントロールしようとしているのが日本だ。

(Sさん)
補助金については、日本政府と日銀の思惑は一致していると思います。
予断を許さないのが経済動向なので、CPIについては、あくまでも現時点の私見です。ここまでの見解を踏まえて、いよいよテーマである日銀の政策意図のチャンクアップです。

(A課長)
煙に巻く黒田総裁の発言を紐解く…「日銀の最優先事項を明らかにする!」が、今日の1on1のゴールとなりますね。

(Sさん)
はい、それは「何が何でも政策金利を上げない」です。私はそのように結論付けています。10年物国債を対象に、金利動向を踏まえ0.25%の利回りで無制限に買い取る“指し値オペ“を実行しています。かなり強引な手段です。

黒田総裁は円安を否定しています。ただし、それはポーズとはいいませんが、世界の中で孤高の政策となった「ゼロ金利政策」を墨守することが黒田総裁の原理原則であり、それによる副作用は割り切るという覚悟だと思います。

日銀の最優先課題は、「何が何でも政策金利を上げない!」なのか…?

(A課長)
めずらしくはっきり断言されましたね(笑)

(Sさん)
ちょっと興奮してしまいました(苦笑)
根拠は1000兆円の国債残高です。現状の国債費に占める利払い費は、加重平均金利が1%弱ということもあり、10兆円程度に収まっています。このことは金利が1%上がると利払い費は10兆円増加する、ということです。

もちろん、この増加額がいきなり発生するわけではありませんが、膨らみきった国債残高が減らない限り、確実に訪れる現実です。
Aさん、10%の消費税で得られる税収はどのくらいだと思いますか?

(A課長)
う~ん、金額は定かではありませんが、主要3税のなかで消費税が最も多いと記憶しています。

(Sさん)
そうなんですね。21年度の国の一般会計の税収は67兆円で、そのうち消費税は32.6%を占める21兆8886億円でした。

仮に金利が2%上昇すると、国債の利払い費が新たに20兆円必要となります。他の税源での増税を回避した場合、消費税率を倍の20%に高めなければ、最低限の政策の維持すら不可能になります。少子高齢化は顕著に進むので、年金の自然増などを踏まえると、もうカタストロフですね。

(A課長)
黒田総裁、そして日本政府が心に秘める、その最優先事項が明快になったような気がします。ただ、黒田総裁が発言をあいまいにせざるを得ないのも理解できます。イスラム金融は別として、金利は経済活動の根本です。さらに国債が1000兆円まで膨張してしまった、その責を負うのは日本政府であり日銀ですから…

もっとも、それを強く求めたのは、「増税はイヤだ! でも現状の公共サービスはそのままで…」と、先送りを是としてしまう日本の世論です。チャンクはバラバラで、芯がどこにあるのか見えない…

日本経済復活のカギは「給料を上げること!」

(Sさん)
ただし、可能性はもちろんあります!
グローバル化が行き渡った大企業を中心として、企業はお金を貯めこんできました。ですから、生きのいいベンチャーに、そして秘めたる力を持つ中小企業に投資し、イノベーションを連鎖させるのです。それによって付加価値であるGDPが高まります。
12日の日経新聞3面に「半導体“空白の10年”挽回へ」という記事も登場しています。30年ガマンした底力を解放するタイミングです。

(A課長)
そのためには、まず給料を上げないと!

(Sさん)
おっしゃる通り! 付加価値であるGDPを構成するファクターの半分以上は個人消費です。所得が増えれば人はモノを買い、サービスを享受します。

バブル崩壊を経験した日本は土地神話からも脱却し、モノの価値、サービスの価値を見抜く眼力を身に付けました。この「識別能力」は、世界の中で群を抜いていると思います。いよいよ日本人の「美学」を世界に知らしめる時代がやってきました。
失われた30年を、だてに過ごしたわけじゃない!

(A課長)
今日の1on1は、私が国家政策という大きなテーマを提案したので、どこまで深掘れるか心配しました。ところがSさんの奔放な発言で、頭がフル回転したカンジです。

(Sさん)
こちらこそです。チャンクアップがキーワードでした。改めて対話によって考えが広がっていくことを実感しています。引き続きよろしくお願いします!

坂本 樹志 (日向 薫)

現在受付中の説明会・セミナー情報