心理学とコーチング ~対人認知 その2~(2020/02/18)

前回に続き、心理学的アプローチである「対人認知」を取り上げます。

前回の最後の下りで「思い込みの隘路」という表現を使いました。「この状況を理解し克服することがコーチングにおける重要なテーマである」ということです。そこで、対人認知において一般的に陥りがちな傾向に触れておきましょう。

ステレオタイプ的認知

比較的限られた情報しかないにも関わらず、何らかの形で他者を類型的に把握しようとする傾向です。人は一般に「わからない状態」を回避したいという性向があります。あいまいな状態のままでいることが苦手で、「○○ということだよね」と、とりあえず理解したという状況をつくろうとします。そこで「理解するにあたっての拠りどころ」を求めます。それがステレオタイプ的認知です。

容貌、体形、外観的特徴、性、年齢、職業、出生順、血液型、といったカテゴリー的情報によって相手を分類し、それぞれのカテゴリーに共通するとされるパーソナリティ特性をその人に当てはめてしまう、という認知の仕方です。

例えば、「日本人は生真面目である」「米国人は社交的だ」といった十把ひとからげで認知してしまい、冷静に考えれば、すべての日本人が生真面目で勤勉ではないことはわかっているのに、仲間内の話では、このカテゴリー化が飛び交うのが通例といえそうです。

時間と労力をかけないでとりあえず相手を把握する、という点での効用は否定できませんが、個人差への視点が希薄になります。さらに一般論であっても、カテゴリーのなかには科学的根拠のない文化的バイアスにより形成された否定すべき内容も散見されます。

このステレオタイプ的認知以外にも、一般的に陥りがちな傾向はいくつか存在します。

ハロー(後光)効果

ある一面の優れた能力を対象者の全体能力としてとらえてしまう傾向のことです。その優れた能力を、例えば「偏差値の高い某大学出身者」であることを根拠にしてしまうと、ステレオタイプ的認知と重なってしまうことになります。

逆ハロー効果

ハロー効果は対象者を実力以上に評価してしまう場合ですが、逆とあるように、対象者の一面の欠点を全体に拡大し評価してしまう傾向です。事業や芸術の分野で大成功した人たちが、全体観を持ったバランスある人たちばかりか、というと決してそうではなく、むしろ特化した能力を最大限発揮し、欠点とされる部分を自らコントロール、あるいは理解者を得てその欠点をサポートしてもらえる環境があったことで偉大な発明につながった、という事例はたくさんあります。

仮定された類似性

自分が好意を抱いている他者に対しては、その他者のパーソナリティを実際以上に自分と類似したパーソナリティであると認知する傾向です。「恋愛についてのウイットに富んだ金言至言」はたくさん存在するところです。その“錯覚”が媒介となって恋愛のエネルギーが高まっていく、ということもありますので一概に否定できませんが、それが高じることでストーカーになってしまったとしたら大いなる迷惑です。

対人認知において、留意しておかなければならい傾向を取り上げてみました。コーチングのスタートは、まずは相手のパーソナリティを把握し、ありのまま受け入れるところからスタートします。その最初の段階でボタンの掛け違いが生じてしまったら、リレーション形成そのものが成立しないことは自明です。

相手を正確に認知する行為は、実は多大なエネルギーを要するということなのです。そして、相手を理解する前にまず自分自身のパーソナリティを正しく把握することが何より大切であることを理解いただけたと思います。

(日向 薫)

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