コーチングのスキル「質問の力」(2019/11/15)

質問の質が、人生の質を決める

“質問の質が、人生の質を決める”とも言われます。私たちは無意識に一日何回も自分に質問をしています。「今日の天気はどうだろう?」「今日は何を着ていこうか?」「今日のお昼は何を食べようか?」などと、自分に問いかけをしています。人生はあなたが自分自身に問いかける“質問”の方向に引きずられます。どんな質問を自分に投げかけるか、どんな世界を見ているかにより、人生が変わります。

このように自分への問いかけを変えるだけでも人生を変えるきっかけになりますが、コーチのような第三者からの質問はより大きな気づきを生むことがあります。したがってコーチングでは、この質問の力を磨くことがとても大事になってきます。

コーチからの質問を受け、クライアントは自分の頭で考え、自ら答えを生み出していきます。質問に答えるためにはまず自分で考えなくてはならず、考えるプロセスで頭の中が整理され、棚卸しされていきます。

効果的な質問は、頭の中の漠然としていた考えをより具体的なものにしていくことに役立ち、視点を変えて新たな可能性を見出すことを助けます。また、質問によりゴール達成のための具体的手順を明らかにしていくため、行動を促すことにもつながります。

人と人とのコミュニケーションにおいて、質問には大きな力が秘められています。現在、質問力はひとつの能力として重要な時代になりました。今回は質問の目的や種類、具体的方法について考察していきます。

コーチが相手に質問する目的

コーチがクライアント(相手)に質問する目的は次のようなことにあります。通常の質問の目的は、質問する側の「情報収集」であり、質問する側のために行いますが、コーチングにおける質問は、相手、つまり質問される側の「気づき」を促す等相手のために行います。

(1) 視点を変える
見方を変えれば、可能性が広がります。

(2) 未来の絵を一緒に描く
ワクワクする未来は人を行動に駆り立てます。質問によって未来を描きます。

(3) モデルを探す
「サッカーの○○選手ならどうする?」というように、尊敬する人や憧れの人をイメージすることで、自分の目指す姿やありたい姿を考えるのに役立ちます。

(4) 具体的にする
抽象的なことは、人によって解釈が違うことがありますので、誤解を生じることがあります。そのために、具体的かつ明確にします。

(5) 気づき、ひらめきを促す
私たちは自分で考えだしたのが結局一番好きです。自分で考えたことは、行動や結果なつながりやすいです。

(6) 目標を設定する
ゴールのない目標は実現が遅くなります。マラソンで細かく目標タイムを決めて走っているのは、目の前に小さな目標達成が、大きな目標達成につながる道だからです。
質問によって、目標を明確にしていきます。

(7) アイデアを発展させる
質問することで新たなアイデアが生まれ発展します。会話が楽しくなります。

(8) 経験、知識を発掘する
誰だって上手くいったことはあるはずです。これまで培ってきた経験、知識、人脈などを掘り起こし、リソース(資源)を明確にします。

質問の種類

質問には、「オーブン・クエスチョン(開かれた質問)」と「クローズド・クエスチョン(閉ざされた質問)」があります。

オープン・クエスチョン

「オーブン・クエスチョン」とは、開かれた質問、答えに広がりのある質問と言われ、具体的には、「いつ(When)」「どこで(Where)」「だれ(Who)」「何(What)」「なぜ(Why)」「どうやって(How)」の5W1Hを使った質問のことです。これによって、相手から様々な考えを引き出すことができます。

What(何)
「何が問題なのですか」「必要なことは何ですか」など問題をはっきりさせるのに有効です。また、「それをするみとはあなたにとってどんな意味がありますか」など、相手に何かを考えさせ、事実を明らかにするのに役立ちます。

Why(なぜ)
理由を聞いたり説明を求めたりする時に使います。
しかしながら「なぜやらなかったのですか」と言われると責められていると感じたり、批判されていると誤解される場合がありますので、使い方には注意が必要です。

「How(どうやって)
「それはどうやったらいいと思いますか」というように、方法や対策を考えるのに有効です。

Wen(いつ)、Where(どこで)、Who(だれ)
「それはいつまでにできますか」など、確認や具体的な行動計画を立てるのに有効です。

クローズド・クエスチョン

クローズド・クエスチョンは、「はい(Yes)」か「いいえ(No)」で答えられる質問です。閉ざされた質問と言います。クローズド・クエスチョンは、相手の緊張をほぐし、お互いの気持ちを確認しながら話を展開できますので、相手との関係性が薄い初対面の人などとの話の切り出し方として有効です。
一方、詰問となりがちで、相手は言わされていると感じることがあるので注意が必要です。もし、相手がそう感じたら、納得しないで「ハイ」と言っているかもしれません。それに、クローズド・クエスチョンばかりですと、自分で考えない指示待ち人間となってしまう可能性があります。

チャンクダウンとチャンクアップ

チャンクとは、かたまりという意味です。チャンクダウンはかたまりをほぐす、チャンクアップというのは、かたまりをつくるということになります。チャンクダウンは具体化の質問、チャンクアップは抽象化の質問です。
最初に出されたアイデアは、漠然として抽象的であることが多いです。それを行動レベルに落とし込んでいくことが必要です。そのことをチャンクダウンと言います。かたまりをどんどん小さくしていって、「見てわかる、聞いてわかる、触れてわかる」という状態にします。反対に、「要するにどういうこと?」といったように、より大きなかたまりにして聞くこともあります。これをチャンクアップと言います。

3つの問い方

質問には、3つの問い方があります。
「相手の答えを引き出す質問」「相手に確認する質問」「相手の考えを深める質問」です。

1.相手の答えを引き出す質問

「答えは相手の中にある」というのが、コーチングの前提となる考え方の一つです。相手も気づいていない相手の能力や可能性を引き出すためには、相手が自由に答えられる状況をつくることが必要です。そのためには、オープン・クエスチョンが有効です。

2.相手に確認する質問

事実の確認や相手の意志を確認する場合の問い方です。この場合はクローズド・クエスチョンが有効です。クローズド・クエスチョンは、広がってしまった話題を絞り込み、相手に確認することができます。例えば、「やりたいことがたくさんある」という相手に対して、「その中で最初にやりたいことは何ですか」「AとBを比べて、どちらを優先させたいですか」というように、相手の意志を明確にすることができます。

3.相手の考えを深める質問

(1)未来を予測させる質問
「5年後はどうなっていたい?」など、相手のありたい姿、目指す姿を考えさせる質問です。

(2)リソースを引き出す質問
過去の経験や人脈など、自分が持っているもの、培ってきたものをリソース(資源)といいます。目に見えるもの以外に活用できるものはないか探すことができます。
「過去に同じような経験・体験したことを思い出してみてください。その時、どんなことをして乗り越えましたか?」「あなたの強みは何だと思いますか?」「誰かこのことについて相談できる人はいますか?」といった質問です。

(3)視点を変えさせる質問
第三者から見た自分や自分から見た自分への主体を変えた問いかけや時間軸、空間軸を変えた質問によって、相手の視点を変えて気づきを起こす質問です。

視点を変えることが新たな道をひらくことにつながります。例えば、上からではそれが見えないとしても、横に移動したり、下に回ったりしてみれば、その姿を確認することができるかもしれません。あるいは、その対象から遠ざかってみることで、全体像もより鮮明に見ることができたりします。
次のような質問がこれに当たります。
「もしあなたが、あなたの部下だったらどう思いますか?」
「もし時間が1日48時間あったら何をしたいですか?」
「もしなんの制約もなく、自由にできるとしたら、どんなことをしてみたいですか?」
「10年後のあなたは、今のあなたにどんな夢を追求してほしいと思っているでしよう?」

視点を移動する」質問(例)

移動の種類 立つべき視点 質問例
視点の主体を変える コーチには何が見えるか (フィードバックする)
対象者には何が見えるか 「相手はどう感じていると思いますか?」
「相手の人から見たら、この件はどのように映っていますか?」
第三者には何が見えるか 「あなたの親友なら、あなたにどのようなアドバイスをすると思いますか?」
「あなたが社長と仲が悪いことで、一番迷惑を被るのは誰ですか?」
「それをすることで、会社にはどのような影響がありますか?」
「社会的にはどのような意味がありますか?」
視点を事実に向ける 事実を整理する 何があったのか、話して頂けますか?
事実を確認する そう思ったのは、具体的にどのようなことがあったからですか?
視点を肯定に向ける セッションを始めてから、できていることは何ですか?
視点を細分化する まず、何から始めることができますか?
数値化の視点に立つ 理想の状態を100としたら、今はいくつですか?
視点の時間軸を変える 将来からの視点に立つ 「5年後にはどうなっていたいですか?」
「30年後の自分から今の自分に声をかけるとしたら、何て言いますか?」
「その問題をそのままにしておくと、将来的に何が起きますか?」
「ではいつ頃までに対処すべきでしょうか?」
「あなたが望む結果を得るために、今やらなければならないことは何ですか?」
「逆にやめた方がいい習慣はありますか?」
過去からの視点に立つ 「(仕事などが)うまくいった時はどうでしたか?」
「その問題はいつごろから起こっているのですか?」
「その問題が発生する前と、発生した後で大きく違う点は何でしょうか?」
視点を仮定に向ける 制約条件を無視した視点に立つ もし何の制約もなかったら、どうしたいですか?
制約条件を加えた視点に立つ もし明日で世界が終わるとしたら、どうしますか?
目標とする人物の視点に立つ もしあなたが坂本龍馬だとしたら、何をすると思いますか?
視点を外部のリソースに向ける あなたが助けられる人がいるとしたら、まずは誰が思い浮かびますか?
視野を広げる 視点を感情に向ける それをやっていて、どのような気持ちがしますか?
飛躍の視点を持つ あなたは、もっとできると思います。
目標を2倍にしてみませんか?
視点を原点に戻す セッションを通じて達成したいゴールを、もう一度確認してみませんか?
全体の視点を持つ 仕事以外では、どんなことが気がかりになっていますか?

(4)言葉の意味を明確にする質問
抽象的であいまいな言葉を明確にする質問です。例えば、相手が「コミュニケーションが悪い」と言った場合に、「あなたにとってのコミュニケーションって何ですか?」といった質問をすることです。

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