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意図を読む力がないとリーダーは務まらない

最近、よく国会などで「忖度(そんたく)」という言葉が話題になります。
「忖度(そんたく)」とは、他人の気持ちをおしはかるという意味です。

人間には意図のない行動はありません。
相手の気持ち、感情、意図は何かを察知することです。

すべて私たちの行動は自己観からきています。
「自分はこういう人間である」
「〇〇という人は、こういう人である」
自己観とは、自分によって認識される自分と言い換えることもできます。

自己観には「相互独立的自己観」と「相互協調的自己観」がある

「自己」は文化や社会的状況または国や地域によって異なると考えられています。
社会心理学では文化的自己観と呼び、文化的自己観には「相互独立的自己観」と「相互協調的自己観」があるといいます。

自己とは他人や周囲のものごととは区別される独立した存在であるとする「相互独立的自己観」に対し、「相互協調的自己観」による自己は、他人や周囲のものごとの結びつき、その関係を重視します。

スタンフォード大学のヘーゼル・マーカス博士とミシガン大学の北山忍博士によると、「相互独立的自己観」は欧米社会、特にアメリカに見られ、「相互協調的自己観」は東アジア文化圏に多く見られるといいます。

日本社会は「相互協調的自己観」

日本社会は、他人と何らかのつながりで共通の組織に属し、その中での協調的関係を維持することを大切にします。

欧米の「相互独立的自己観」が共有されている文化圏においては、他の人とは異なったユニークな能力や才能が尊重され、積極的に自分を表現することが重要になってきます。

それに対して「相互協調的自己観」が共有されている文化圏では、自己を規定するときに、他者との関わりを非常に考慮します。つまり、周囲の期待や社会的役割のような、自分の環境を取り巻く「外的要因」に影響される傾向があります。

日本では、「他人に迷惑をかけない」「自分勝手な行動をしてはならない」ということを大事にしています。そのため周囲の人の気持ちに敏感に注意を払い、周りの人に自分を合わせ、期待に応えることが求められます。

日本社会において「忖度(そんたく)」ということが問題になるのは、こうした文化的背景によるものと言われています。

リーダーに求められる相手の知識、価値観、経験則、意図を汲み取る力

歪んだ形で「忖度(そんたく)」が行われるのは問題ですが、相手の気持ちをおしはかることは、日本人の美徳であり、大事にしたいところです。
特にリーダーには、相手の知識、価値観、経験則、意図を考えることを求められます。

言葉の奥にある相手の気持ちや感情を掴めないとリーダーとは言えません。
「先生、それってセクハラですよ」
相手の気持ちや感情を掴むには、言葉だけでなく相手の表情や態度、声のトーンや息遣いなどノンバーバル(非言語コミュニケーション)な部分をキャツチすることが求められます。

沈黙の中にも相手の気持ちや感情は流れています。
表情が心を語っていることがあります。

相手の意図を読むには「積極的傾聴」が必要

相手の意図を読むには、「積極的傾聴」とも言われる傾聴力が問われます。

積極的傾聴とは、相手の言葉や態度を通して、その背後にある枠組みと心を正しく理解する心構えや聴き方のことです。
積極的傾聴には、①共感的理解、②受容の精神、③誠実な態度の3つが必要です。

傾聴はコーチングにおいても基本となるスキルです。
「今日はどんな状態にあるのだろうか?」
相手(クライアント)の主題を念頭に置きながらコーチングを進めていくには、相手の発する合図を聞きもらさないよう注意深く耳を傾ける必要があります。

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