先日、養命酒製造株式会社で「コーチングが生み出すトランスフォーメーション思考」というテーマで講演をさせて頂きました。
「成人発達理論とコーチング」という観点からトランフォーメーション思考について考えてみました。
トランスフォーメーションとは、改革とか変容などと訳されています。
養命酒製造株式会社は、400年以上にわたり「養命酒」を作り続けている老舗です。
老舗企業として永く続いている企業に共通しているのは、守るべきものは守りつつ、時代の変化に合わせて進化し続けていることです。
養命酒製造株式会社も新たな取り組みに挑戦し続けています。
企業や組織に陥りがちなのが、いつの間にか現状維持や守りに入ってしまい、変化への適応が遅れてしまうことです。
創造や変革は、これまでとは異なる未来を創り出すことです。
「どうなりたいか」という未来のビジョンを創るには、「何をやりたいか」という自分自身の価値観を理解していることが必要です。
「やりたい」と思っていることが、実は周囲の人や組織から言われて「やるべきこと」を自分の「やりたいこと」と勘違いしていることがないでしょうか。
自分の価値観だと思っているものが、自分以外の価値観であることも少なくありません。
価値観とは「何を大切にするか」という選択の基準です。
価値観を生み出す代表的な要因は、個人の内的動機です。動機とは、何かの行動を起こす際の要因であり、内的動機とはその要因が心の内面に、無意識のうちに存在するものです。
ところが価値観は外側からの影響を受けて生まれる場合もあります。
ビジネスの世界で、特に強い影響を及ぼすのは、所属する会社や組織の価値観です。
オーナー企業の場合は、特にオーナー経営者個人の価値観に大きく影響されます。
あるいは、会社において長年、形成されてきた企業風土や組織の規範といったものに影響されることもあります。
さらに人事評価制度も個人の価値観に大きな影響を与えます。
組織には共有の価値観が必要です。
共有された価値観があるからこそ、同じ方向を向いて頑張ることができます。
自分軸の欠如に陥っていないか
しかしながら、人は無意識のうちに外部から影響された価値観に従ってしまうことがあります。自分の価値観の拠り所を外部に置いてしまうと、外部の基準が変わった時に、自分も変わることを強いられます。
戦争や大きな災害、病気などを境に「価値観が変わった」と言う人がいますが、このような外部の変化が激しいほど、その変化に翻弄されることになってしまいます。
企業の中でも見られます。若い頃はとても評価が高く、出世の先頭を走っていたにも関わらず、組織の責任ある立場に就くと力を発揮できなくなってしまう人がいます。
その原因の多くは、自分の軸をしっかり持っていないことにあります。
目指すべき目標を与えられれば力を発揮しますが、自ら創造することができないからです。
創造性の欠如に陥っていないか
こうした無意識のうちに外部の価値観に従うことのもう一つの問題点は、創造性を欠如させてしまうことです。
組織の価値観が強固であればあるほど、メンバーの思考や行動は同質化してしまいます。
「大企業病」と言われるような組織の硬直化がまさにこれです。
価値観が同質化した組織は、多様な環境変化に適応できない恐れがあります。
自分の価値観に従って選択を行うことは、責任感と勇気のいることです。
外部の価値観に翻弄されないためには、自分の真の価値観を理解し、信念や信条を持つことが不可欠です。
自分の価値観や自分自身を理解するうえで、力になるのがコーチやコーチングの存在です。
コーチからの働きかけによって自分一人では気づけなかったことに気づくことができます。
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