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第19回:戦略人材の給与はどう判断するか ─内部育成・外注・採用を比較して見える “意思決定の軸─

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前回は「既存社員と同等のプロファイルなのに希望額だけが高いケース」について整理しました。本稿では一歩広げ、社内に蓄積のない専門性が必要になり、戦略人材の採用を検討している場面で考えるべきポイントを取り上げます。
デジタル化の加速、新規事業、組織変革など、これまでの延長では対応できない課題が増えるなかで、外から専門性と推進力を持つ人材を迎え入れる必要性が生まれています。とはいえ、採用はあくまで選択肢の一つ。まずは、そもそも戦略人材を“採用すべきか”という前提を整理し、そのうえで給与判断の軸を考えていきましょう。

「内部育成」「外注」「採用」──三つの選択肢を整理する

戦略人材が必要になったとき、最初に確認したいのが 内部育成・外注・採用 の三つの選択肢です。特徴やコストを比較したうえで、採用の必要性を判断します。

1. 内部育成(社内で人を育てる)

向いているケース

  • 中長期で専門性が必要
  • 育成できる人材と余力がある

メリット

  • 組織文化に合った人材が育つ
  • 給与は社内バランスに則って見直すが、大幅増にはなりにくい

デメリット/コスト

  • 研修費・OJT負荷など育成コストが発生する
  • 習得まで時間がかかる
  • “今必要”には間に合いにくい

2. 外部委託(外注)

向いているケース

  • プロジェクト単位の成果が必要
  • 常時求められない専門性

メリット

  • 即戦力をピンポイントで活用できる
  • 費用は変動費で固定費が増えない

デメリット/コスト

  • 専門家・コンサルの単価が高い
  • 社内に知見が蓄積しにくい
  • 依存リスクがある

3. 採用(戦略人材を迎え入れる)

向いているケース

  • 企業の中核領域に専門性が必要
  • 継続的な推進力が必要
  • 内部育成・外注では限界がある

メリット

  • 専門性と推進力を社内に蓄積できる
  • 長期的な価値創出につながる

デメリット/コスト

  • 入社時から固定費(給与)が発生し、長く残り続ける
  • ミスマッチ時の影響が大きい

三つを比較し、採用が現実的な選択肢として浮上した場合に採用活動をスタートさせます。
そして、多くの場合、そこで “給与の市場相場と社内相場の差” という最大の壁に直面します。

採用時に直面する“市場相場”と“社内相場”の差

デジタル、マーケティング、経営企画などの専門職は、求人市場では 700〜1,000万円台 の募集が多く見られます※1。一方、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」では管理職層は 500〜600万円台 に収まります※2。

背景には、専門人材の希少性、“スキル+変革推進力” へのニーズ、市場の需給バランスがあります。こうした状況から、社内相場の枠内での採用が難しい現実が生まれています。

日本的雇用が生む「固定費化リスク」

一方で、日本企業には、正社員を長期雇用する前提、基本給を下げることが難しいという特徴があります。
そのため、入社時の処遇が長期固定費として残り、基本給を下げられず昇給が積み重なり固定費が増えていきます。特に高年収になりやすい戦略人材では、採用時の判断に慎重さが求められます。

最終的に見るべきは「人」ではなく「役割価値」

このような背景を踏まえたうえで、採用時の給与判断の軸とすべきは、“この人にいくら払うか”ではなく “この役割が会社にどれだけの価値を生むのか”という視点です。
この専門性が実現する未来、内部育成や外注では代替できない理由、3年後・5年後に担うべき責任、推進力も含めた事業インパクト――これらを整理することで、給与を “コスト”ではなく“未来への投資” として判断できるようになります。

おわりに

戦略人材の採用は、会社の未来をつくるための重要な意思決定です。
内部育成・外注・採用の三つを慎重に比較したうえで、その先にある 「役割価値」 という一本の軸に沿って判断することが大切です。

この視点があれば、外部人材の採用を選んだ場合でも、市場相場と社内相場の狭間で迷うことなく、組織の未来につながる採用へとつなげることができます。

参考データ・出典(エビデンス)

※1:求人市場(戦略人材の市場相場)

※2:社内相場(管理職の平均賃金:公的データ)


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CBL認定アソシエイトコーチ
Support Runners代表
エグゼクティブコーチ/人材採用支援アドバイザー
山本 知子

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