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元Jリーグチェアマンの村井満さんは「コーチング×スポーツ」が真実であることを「独自調査」で「証明」されていた!

東京都中小企業診断士協会認定研究会「ワールドビジネス研究会~中小企業国際化ネットワーク」の2024年度第1回社会貢献事業(講演)が、銀座の中小企業会館で実施されました(9月24日)。今回のコラムは、その感動体験をお届けしようと思います。登壇されたのは、Jリーグ第5代チェアマンを歴任された村井 満さんです。

コーチングの本質は「受容と共感」に基づく相互理解

まず、タイトルの「コーチング×スポーツ」に注目していただきたいのですが、弊社(株)コーチビジネス研究所の問題意識として、今世紀に入って日本で広がってきた「コーチング」は、1964年の東京オリンピックの頃に、ingが付されない「スポーツコーチ×根性論」というイメージに影響(ネガティブな)されているのではないか、という想いがあります。その「誤解を解こう」と始めたのが「CBLコーチング情報局(コーチング大百科)」です。
Jリーグのチェアマンであった村井さんが、それは「誤解」であると「論理的に証明されていた」ことを、今回の講演で知ることになります。強烈な感動体験でした。

村井さんは、サッカーチームの監督やクラブ経営を経験していない異色のチェアマンです。その村井さんはチェアマンに就任されると早々に、幹部を集めて東京ドームホテルでの「合宿」に臨まれます。「素晴らしいサッカーを目指そう、そのことを多くの人に“しっかりと”伝えようじゃないか」…これをゴールに白熱のディスカッションが行われました。そして村井さんは、メッセージとして「チェアマンの3つの約束」を発表します。

  1. 痛がってコロコロするのはやめよう
  2. 審判に駄々をこねて試合を延ばすのをやめよう
  3. スローインとかコーナーキックをわざとゆっくりやってイライラさせるのをやめよう

会場は爆笑に包まれます。私たちは、村井さんの楽しく、かつ熱き言葉にどんどん引き込まれていきます。村井さんは経営・マネジメントの手法を用い、「仮説」を立てて調査を実施します。
Jリーグには毎年120人の新人が入るそうですが、10年前に入った120人について、多項目の要素を挙げて(要素分解)、現在も活躍している選手を徹底的に追跡調査し、プロファイリングする、という試みです。
プロスポーツですから、「ボールをピタッと止めることができる」「足が速い」「当てられても倒れないフィジカル力」など、当然身体能力を中心とした要素です。
結果は……「どの要素ともほとんど相関がない」という結論でした。そこで、視点を変えた要素50項目を新たに並べて再調査を行うのです。ディプスインタビューも実施します。その検証結果を語る村井さんの言葉は……意外なものでした。

「傾聴力」が、ずば抜けて共通するものとして抽出されたんです!

村井さんは「サッカーは理不尽なスポーツです」と、私たちがあまり考えたことのない視点でサッカーを捉えます。脚だけしか使わない。90分戦い抜いても「0対0」で終わることも多い(こんなスポーツは存在しない)。オウンゴールという他のスポーツにはない専門用語もある。どんなにすばらしい結果を出しても、代表監督のイメージするサッカーにその選手がうまくかみ合わないと選ばれない。などなど……

長谷部誠選手は心の線が細かった。浦和レッズのときは胃薬を飲んで試合に出ていた。それを克服し、最高のキャプテンシーを体得します。
一般入試で明治大学に入学。大学サッカーを経てJリーグに入った長友佑都選手は、小柄で、当たられると飛ばされる。そのハンデを「当たられない俊敏な動きと抜群の走力」を身に付けることでクリアし、世界が注目する左サイドバックプレーヤーとなります。
岡崎慎司選手は致命的に足が遅い。それなのに日本のトップストライカーにまで成長しています。
本田圭佑選手はユース時代、とにかくサッカーが下手だった。それが世界の有名チームからオファーがかかる大選手に変身します。
コラムの最後に、村井さんの次の言葉を紹介し、「コーチング×スポーツ」のコラムを終えることにしましょう。

サッカーとは真面目にやっても「心が折れる」スポーツです。日本が誇る最高のプレーヤーのこの4人も、さまざまのシーンで心が折れています。ただ、この4選手に共通するのは、「折れた心をピンと立て直すことができる」ということだったんです。この折れた心を立て直すための必要な能力が、この「傾聴力」でした。

坂本 樹志 (日向 薫)

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